くろまつ

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恩寵のような光の祝福/三宅唱×上白石萌音×松村北斗×月永雄太『夜明けのすべて』/テート美術館展の感想を添えて

「アレ、なんやろ」 早朝にメールチェックしていると、向かいの席の上司が、背後の天井を指差していた。身体を捻って見上げてみると、天井に光の波がゆらめている。何やろう、と一緒に見に行くと、会社のビルの横に大きな池があり、朝の太陽の鋭角な光線が水面で反射し仕事場の天井に届いてきらめいていた。冬の朝の汚れを含まない澄んだ空気を伝って、天井に映し出された光の波間を見て、ふっと笑みがこぼれてしまった。なにか一時でも恩寵のような祝福を受けているような不思議なひとときだった。 そんな朝を迎え

    • 月が満ち、海上に浮かんでは、脱兎は不条理の海峡を駆ける(NODA・MAP『兎、波を走る』観劇感想覚書)

      序 「波兎」の紋様は、兎の繁殖力の高さもあり、今も繁栄の象徴として人気が高い。もともとは謡曲「竹生島」に由来していて、湖面に月が写ってるのを見て、兎が波を走っているようだ、とか言ったのに由来している。そんなだったと思う。昔の人はおしゃれである。私もこれは観劇中に薄ぼんやり思い出すほどにうろ覚えで、帰ってちょろっと調べたことをさも最初から知っていたかの如く書いているだけである。 ところで私は、何故に月に兎がおらなあかんのだ、と幼い頃思っていた。たしかに、あまりにやることがなさ

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        くろまつと申します。 noteはじめました。

      恩寵のような光の祝福/三宅唱×上白石萌音×松村北斗×月永雄太『夜明けのすべて』/テート美術館展の感想を添えて