私的傑作漫才15選 ③、④

続いて、3つ目のネタに行く前に、
そういえば、僕は2000年生まれなんです。
M-1グランプリが始まったのは僕がわずか1歳のとき。だから、前期M-1の記憶なんてほとんどないわけで、「ブラマヨのあのネタに衝撃を受けまして、、」とか言っても嘘すぎるんですね。せいぜいTHE MANZAIの途中からしか賞レースはリアタイしてない。。ここに書かれてるのは、そんな世代のイチお笑い好きが感銘を受けたネタたちです。

③シャンプーハット 
【【浴衣de漫才 2017】2017.08.05-哔哩哔哩】 https://b23.tv/pIpwRBD 
28:40あたりから

シャンプーハットのあのくだり。
3番目にして、早くもネタ選べてないけど。あのくだりはもう、ひとつのネタと言ってもいいでしょう。あと、いい動画が意外とあがってないのね。
まあ、あのくだりです。アレです。皆さんご存知の。
皆さんご存知くだりを必殺技的にずっとやる系漫才師の中では最若手の気がするんだけど、そんなこともないのか?
つまりはずっとこれでやれるほどの大発明。
超偉大な漫才師のひとつ。

もし生でシャンプーハットの漫才を見たことがない人がいたら、ここで読むのやめて、是非NGKへ見に行ってください。アレをやってくれます。アレは生で見ないとです。

そりゃ大体のお笑いが生で見た方がいいんだけど、これは特に生で見ないと。
というのも、観客との駆け引きで成立してるくだりなので。
アレに当事者として、巻き込まれるというのは、もはや体験だよね。漫才じゃなくて体験。毎回、アレを発動されると、首思いっきり縛られてるみたいになるって言うか、金縛りにあったみたいな。で、なんとか息をするためには笑うしかないっていうあの感じ。ほぼ脅迫です。あれは卑怯だ。笑わないと殺されるんですもの。めっちゃ覇王色。てつじのあの語り口はマジで覇王色。動けなくなる。こいちゃんのギョロ目も。あれこそ覇王色。劇場の空気がグッと圧縮される感じ。他であんまりないんだよなあの感覚。あれを笑わずに劇場去る人っているんだろうか。泣き笑い不可避です。

まず、対お客さんっていう、縦方向の笑いっていうのは、大きい笑いになりやすいですよね。自分のことを言われてるわけだから。リアクションをとりやすい。とらないといけないし。これコントや落語の本編では通常できないから、漫談や漫才の強みのひとつなんだけど。これのたぶん最強バージョンがシャンプーハットのアレなんですよ。これ以上のを考えてみるんですけど、やっぱ物理的にありえないんですよ。漫才というフォーマットにおいて。いや、探しゃあるだろ。頑張れ。って思われるかも知れませんが、、ほんとにないものはないんです。だって、これ逃げようがないでしょ。笑わなくても、笑っても詰められるんだから。貶められるんだから。理不尽に。最高に理不尽に。しかも、全員が。
べっぴんさんのくだりで、当事者になれるのは飛ばされた1人でしょ。でもこれは全員貶められるからね。しかもその発動条件が、笑わなかったからと、笑ったからだよ。漫才見たときのリアクションってこの2択しかないのに。一網打尽です。
かまいたちのM-1のネタで、観覧のお客さんに対して「M-1史上最低の客です。」っていうボケがあったけど、ここめっちゃウケてたでしょ。この部分だけを引き伸ばして、完全体にしたみたいなのが、シャンプーハットのアレ。しかもアレを何十年とやって、アレの師範代になってる。そりゃ卑怯だよ。禁止カードになってもいいと思うくらい。

④相席スタート 「合コン野球」
https://watch.amazon.co.jp/detail?gti=amzn1.dv.gti.9cac43d9-423d-1336-3931-0f23213c8a9f&ref_=atv_dp_share_seas&r=web エピソード14の34分あたりから

M-1グランプリ2016決勝で披露された名作。これこんな面白いのに、調べたらこの年の最下位なんですね。えみりー(上沼恵美子)だけすごい高かったイメージがあったんだけど、90点でそんなこともなかった。でも他の全員80点代だからね。低っ。実は僕、えみりーとは結構点数の感覚が近かったりしたので辞められたのは寂しいです。ミキの評価高かったりとか。
いや、そんなんはどうでもよくて、、
このネタめっちゃ面白くない??
ものすごい完成度の高さだと思うんだけど
台本も演じ方も。100点じゃない?
僕が審査員だったら余裕で99点とかつけてた気がするから、危なかった。僕じゃなくて良かった。

物事を野球に例えるって誰が最初にやったのか、いつからやってんのか知らないけど、今やかなり一般化してるじゃない?で、それをもう実際にやって見せちゃうっていう設定の親しみやすさ。野球って集中して見なきゃならない瞬間がかなり決まってるスポーツじゃないですか。サッカーっていつ何が起こるかわかんないけど、野球はピッチャーが球を投げない限り、ホームランでないじゃん。だから漫才に取り入れた結果、どう見たらいいかめっちゃわかりやすくなってる。どう進んでくかがハッキリしてるから、1回1回盛り上がりが出来やすくなる。そんで、もうその設定とシステム自体が面白いから、二人ともそんなボケてもないし、ツッコんでもないんだよねこれ。お互いに正しいことを言って正しい振る舞いをしてるだけ。それでめっちゃ面白い。僕、正しくて面白いとかボケてないのに面白いっていうの異常に感動しちゃうんですよね。
考えれば考えるほどやっぱ100点だなあ。山添のフレーズ全部当たってるし(いや、山添の言い方おもろすぎ)。次どんな球が来るかワクワクするし、最後に、最初言ってた球が来たところでちゃんとピークの笑いが来てるし。オチも綺麗すぎるくらい綺麗だし。これ以上このネタを改善できる気がしないし、全く抜け目ないと思う。お手本中のお手本。あと、見栄えが最高にいい。1人がマイクの前で、もう1人が横でバット持って構えてるっていう。「野球漫才」って名前つけれるもんね。そこが、なんか昔っぽいっていうか。師匠っぽい。「よっ!伝統芸!」感。こんな漫才が作れたらなあ。そしてこんなに上手く出来たらなあ。という綺麗なネタ。美しくて惚れ惚れ。

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