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摂食障害

誰にでも、食欲が落ちて食べられない日があったり、逆に普段より沢山食事をとってしまう事があると思います。摂食障害の場合、自分の意思で食べる事をコントロールする事が難しくなり、ほとんど食事をとれなくなったり、食べても吐いてしまったり、逆に自分が苦しくなるほど食べるまでやめられなかったりします。
摂食障害の主なタイプには、神経性やせ症(拒食症)、神経性過食症(過食症)、過食性障害があります。どの摂食障害のタイプも自らの意思でコントロール出来ないので、身体への負担もどんどん増えていき身体的疾患の発症にもつながり、日常生活が満足して過ごせなくなったりします。また低体重や過体重によって日常生活で活動の幅も狭くなっていってしまいます。結果的にうつなどの精神疾患を患うリスクも出てきます。
 
神経性やせ症には、摂食制限型と過食・排出型があります。
摂食制限型は食事を制限します。嘔吐・下剤などの乱用はありませんが体重は低体重になります。
過食・排出型は食事を制限するが過食する事もあります。嘔吐・下剤などの乱用があり、体重は低体重になります。
 
神経性過食症は食事を過食してしまいます。嘔吐・下剤の乱用があり、体重は標準体重以上になりますが、嘔吐・下剤の乱用があるため、行き過ぎた体重の増加は多くはないです。
 
過食性障害は食事を過食してしまいます。嘔吐・下剤などの乱用もないため、過体重が多く見られます。
 
ではなぜ、摂食障害になってしまうのでしょうか。色々な原因や要因があると思います。例えば、モデルの様な体型になりたい、両親から痩せるように教育されてきたなどがきっかけで、食事を制限する中で強迫的になってしまい摂食障害になってしまったりする事もあります。しかし、摂食障害の多くの人達は、モデルの様な体型になりたかったり、そのような教育をうけてきたから、そうなってしまうのではないのです。やせ続けたり、食べ続けたりする背後には挫折感があるのです。そもそもの始まりは思い通りにいかない現実の問題のなかにあるといえます。日常生活で、勉強が中々上手くいかなかったり、人間関係が上手くいかず過剰なストレスを溜めていたり、仕事が上手くいかなったり、精神疾患に患っていたりすると、苦しみが感情を支配していきます。その時に痩せ続ける事、食べ続ける事が効果を発揮するのです。痩せ続ける事、食べ続ける事は手っ取り早いストレス対処法なのです。
やせている=よいこと、という日本の文化では、やせることによって、賞賛の言葉を得やすくなったり、取り組みの成果は明確な数字として示されるので達成感を得やすくなったり、やせが進むと感受性が鈍くなり日常生活のストレスを忘れる事が出来たり、痩せるとテストステロンというホルモン量が上昇し集中力が上がり、勉強や運動に集中できるようになったり、食べ続ける事でその事に意識が集中して向くので嫌な事から解放されたりします。
このように、日常生活での挫折感を紛らわすために、徐々に摂食障害という病気になっていってしまいます。一回、摂食障害になってしまうと、元に戻る事が怖くなってしまい、中々抜け出せなくなってしまいます。
また、周りの方が摂食障害の方に対して、本人の理解もなく、「もっと食べなさい」「食べ過ぎないようにしなさい」など、本人の行動を無理に修正しようとすると、本人は反発しやすくなり対立しやすくなります。ですから、摂食障害の知識を周りがしっかりつけ、本人の心の背景をしっかり理解し、本人の摂食障害の状況を否定するのではなく、受け入れて、本人が抱えている挫折感などを解決していく試みが必要となります。そして本人の挫折感などを解決していく事と並行して、少しずつ食事をとれるようにサポートしていく事も大切になってきます。その際に周りの方の対応として、本人が目標としている自己実現のためには(仕事に行く、学校に行く、旅行に行く)、この位の食事をとる事が必要などと伝えていくなど、上手く動機づけを高めていく関わり方も大切になります。また、食べる事に対して、過度に不安がある場合などには、抗不安薬などの薬物療法を検討していく事も必要になるかもしれません。
 
また、回復とは体重が戻る、過食や嘔吐をしなくなるといった症状の消失を指すだけではありません。本人が望み、決めた人生を送れるようになる事も回復であり、パーソナル・リカバリーと言われます。長期化している時こそ、本人のパーソナル・リカバリーを応援する姿勢が大切になるのではないかと思います。
本人の出来ている事、夢を持っていることなどを評価し、その上で、症状を減らすために、より適切な形でストレスを対処していける方法を学んでいく事が重要になるのだと思います。
 
長々と読んで頂きありがとうございました。

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