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運動は認知症の予防に繋がる

認知症は誰もがなりうる可能性がある病気です。
認知症の症状は、脳の障害によって直接起こる「認知機能障害(中核症状)」と、何らかのきっかけによって引き起こされる「行動・心理症状(BPSD)」とに分けられます。
 
「認知機能障害(中核症状)」
・記憶障害 ・判断力の低下 ・見当識障害 ・実行機能障害 
・失行・失認 ・失語 など
「行動・心理症状(BPSD)」
・暴言、暴力 ・徘徊 ・妄想 ・興奮 ・睡眠障害 ・意欲低下 
・幻覚 ・不安 ・焦燥感 など
 
行動・心理症状(BPSD)は、認知機能障害による心身の不調をベースに起こる症状です。その他にも入院や生活などの環境の変化も要因の一つです。
認知症の方は、「認知機能障害(中核症状)」、「行動・心理症状(BPSD)」の症状により、生活の質が下がってしまいます。

そのような認知症発症予防の為に行える事として、運動があります。
運動が身体に良い事は皆さんご存じでしょう。これは認知症予防に関しても有効です。
運動する事によって足腰の筋力が維持され転倒予防になります。転倒は骨が脆くなっている高齢者の骨折の原因となり、その治療で長期入院になると認知機能も悪化します。転倒で長期入院にならない為にも日常の運動は大切なのです。
 
また高齢者の筋力低下、運動不足は歩行速度の低下をもたらし、歩行速度の低下が認知症発症の極めて重要な危険因子である事が分かっています。
これまでの研究では、歩行速度がおおよそ80㎝/秒以下まで遅くなると、認知症発症の危険性が急速に高まると言われています。
80㎝/秒の速度と言われてもピンとこないと思いますが、おおよその目安があります。
日本の横断歩道の青信号の時間は、歩行者の歩行速度が100㎝/秒で渡り切れるように調整されています。横断歩道で信号機が青から赤に変わるまでに渡り切れないと、歩行速度が100㎝/秒以下となります。これを目安に意識的に早歩きすることを習慣にするようにすることも、予防の面からしても大切になります。
このように早歩きは認知症の発症予防に効果的と考えられます。実際に歩行速度が速い人は認知症発症のリスクが64%低下し、遅い人は23%増加すると言われています。
脳科学的にも散歩やジョギングなどの適度な運動をすると、脳血流が増加し、全身の筋肉から脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質が血液中に分泌されることが分かっています。このBDNFは脳に作用して脳細胞の新生を促す効果があります。特に記憶の中枢である海馬の萎縮を予防する効果があると言われています。
 
認知症の予防にも体力向上にも、適度な運動を習慣化する事は良い事かもしれません。
 
最後まで読んで頂きありがとうございました。

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