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長野県上田市で魔法少女と出会った話~北条まどかは動かない~

今から6年前の、ちょうど桜がさきだしたころのことだったと思う。私は長野県の上田駅を訪れた。

大河ドラマ『真田丸』で有名になる前から、上田は『サマーウォーズ』の舞台、そして徳川家康を恐れさせた英雄真田幸村ゆかりの場所として、そこそこの知名度をほこる町だった。

新幹線の改札から階段をあがって別所線の改札前へ向かうと、そこには、古びたローカル線の雰囲気には不釣り合いな一人の少女が立っていた。

まず目に入ったのは彼女の衣装だった。エナメル製の桜色をした袖なし服に身を包んでおり、すそからは若葉色のスパッツがのぞいている。濃いめの桜色にそめられた髪は桜の花びらをかたどった髪飾りでとめられ、後ろでポニーテールになっていた。右手には桜の花がついたステッキを持っている。一目でいわゆる「魔法少女」だと分かるデザインだ。

袖なし服で脇を露出しつつ服のすそからスパッツをちらりと見せるという「いろいろ分かっている」デザインだが、服と切り離された袖を腕に通しており、スパッツも少し長めなので、露出自体はかなり低い。男性受けしそうだが女性から冷たい目で見られることもなさそうな、したたかなデザインだと思った。

……いや、改札前に少女が立っているというと少し語弊がある。厳密には改札前に少女のボードが立っていた。

ボードの下部分を見ると、別所線存続支援キャラクター北条まどかの文字があった。どうやら別所線のPRのために作られたキャラクターのようだ。

その時、改札の向こうからアナウンスが聞こえてきた。列車の到着を告げるその声はとても快活で、どこか幼いひびきを残していた。

(もしかして、この子がアナウンスを?)

改札を抜ける。ホームは客ばかりで、桜色の髪と衣装の少女の姿はなかった。

……本人がいないのはあたり前なのだが、あの声が北条まどか本人のものなのは事実だ。地元出身の声優、真田アサミ氏が声をあてているらしい。

あとで調べてみると、北条まどかはtwitterをやっていた。しっかりと上田や別所温泉、そして別所線のPRをしつつ周囲からのリプライに丁寧に反応する一方、なじみのイラストレーターに「私のイラストはよ!」とファンアートを描くように指示したり、大河ドラマ『真田丸』のラッピング車両「真田丸号」が走りだした時には「真田丸号の写真はよ!」といい放ったあげく「真田丸号」の写った写真を大量にリツイートしてtwitterのタイムラインを埋めつくしたり、秋になると「松茸はよ!」とフォロワーへくり返しツイートしたりと、いい具合にやりたい放題だった。

(この子面白いな、何か協力できないかな)

2016年ごろ、私はWEBメディアで旅行の記事を書くようになっていた。北条まどかを支援するのなら、これを利用しない手はないと思った。

私はさっそく記事原稿を書くと北条まどかの生みの親である上田市役所に送りつけ、「お宅の北条まどかをWEBメディアで取りあげていいか?」と問い合わせをした。すぐに「記事を読んだが『真田丸号』についてふれるのであればNHKの許可がいるのでは」というごもっともな質問が市役所から返ってきたので、NHKにもメールで事情を説明した。NHKからもすぐに「あなたが撮った写真はあなたの好きにしてよいし、それによって『真田丸』に注目が集まれば喜ばしいことです」という趣旨の返信が返ってきたので、掲載先の「LINEトラベルjp」へ原稿を送りつけた。

その結果できたのが以下の記事である。

長野県上田駅・別所線の存続を支援する魔法少女「北条まどか」とふれ合うhttps://www.travel.co.jp/guide/article/20706/

ちなみに記事に出てくる北条まどかフィギュアやバッジはすべて私の私物だ。

北条まどかは律儀にリツイートしつつtwitterでお礼をいってくれた。

あと、

彼女はエゴサが得意らしく、私のセクハラ発言を目ざとく見つけてコメントを投げてきたことがあった。

彼女はいわゆる「低浮上」であり、2ヶ月くらいtwitterを放置することがザラにある。その割に一度現れるとエゴサで見つけてきた自分に関するコメントを一気にリツイートしてフォロワーのタイムラインを埋めつくすことも少なくない。

最近は特に低浮上の傾向が強く、5、6、7、9月に最近の天気に関するつぶやきをしただけでこれといった動きがない。例年は秋になるとフォロワーに対して

と松茸を要求していたが、それもなかった。

つまり何を書きたいかというと、

北条まどかちゃん、

応援してるからtwitter更新してくれ~~~~~~!!!!!

#旅行 #北条まどか

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