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【アンパンマン】ヤーダ姫について語る

今日はアンパンマンに出てくるヤーダ姫の話をします。そういう気分なので。

ヤーダ姫って誰?

ヤーダ姫は、1990年公開の映画『ばいきんまんの逆襲』で登場したゲストヒロインだ。怠け者な国民により滅びたヤーダ国のお姫様であり、故郷をよみがえらせる力を持つメコイスの壺を探して旅をしている。その名の通り「やーだ」が口癖だ。

ここで「それだと必要の半分くらいしか説明できていないのでは?」と思った方は、恐らくある程度アンパンマンにくわしい方だろう。

後半でその辺りは補足するので、このまま読み進めてほしい。

ヒロインとしてかわいい

アンパンマンの映画に登場する人型タイプのゲストヒロインは、大抵かわいらしいキャラクターとして描かれている。

ヤーダ姫もデザインが洗練されており、声優は日髙のり子(くわしくない方向けに説明すると『タッチ』の朝倉南や『となりのトトロ』のさつきの声の人)なのでかなりかわいらしく仕上がっている。

くわしくは後述の「実は怠け者ではない」の段落で語るが、「やーだ」が口癖のわりに性格も素直で好感が持てるキャラクターだ。

作中ではばいきんまんに追いつめられて崖から転落して気絶するなどひどい目にあっており、そこが妙にかわいいと幼心に思ったので、女の子がかわいそうな目にあっている姿がかわいいと思うタイプの趣向の方にも受けるかもしれないと思ったが、これは私だけかもしれない。

実は怠け者ではない

怠け者な国のお姫様であり「ヤーダ」という名を持つ彼女だが、その設定に反して怠け者ではなく好人物として描かれている。

滅びた自国の復興のために旅を続ける勇敢かつ使命感のある人物であり、ことあるごとに「やーだ」と口に出すわりにアンパンマンを始めとした味方には素直かつ誠実にふるまう。

メコイスの壺がなかなか見つからないことに文句をいったり、ピンチになると弱音を吐くこともあるが、幼児向けの作品にありがちな「初めは身勝手だが改心して誠実になるキャラクター」ではなく、初めから人格がある程度完成した人物だ。

「怠け者の国のヤーダ姫なのに使命感が強い頑張り屋」と聞くと矛盾している設定に聞こえるが、そうではない。

彼女のテーマソング『ヤーダ姫の冒険』では「せっかく生まれてきたのに何にもしないのはヤーダ」と歌われており、『アンパンマンマーチ』の「何のために生まれて何をして生きるのか、答えられないなんて、そんなのは嫌だ」と歌詞がリンクするように作られている。

彼女の「やーだ」はネガティブな「やーだ」ではなく、現状を良しとせずに自らの力でより良くしていこうと試みるポジティブな「やーだ」なのだろう。

他人の空似

さて、冒頭でも書いたように私のヤーダ姫の説明は大事なことが欠けている。

ヤーダ姫は2人いるのだ。

もうひとりのヤーダ姫は、2001年公開の『ゴミラの星』に登場する。11年越しの再登場というわけではなく、まったくの別人だ。

彼女はヤーダ星のお姫様である。自分の星がゴミに埋もれ危機的状況になってしまい、アンパンマンに協力を要請してくる。声は女優かつ歌手であり、2009年に覚醒剤の所持・使用・逃亡からの逮捕で世間を騒がせた酒井法子である。

こちらのヤーダ姫は名前や境遇がヤーダ国のヤーダ姫と同じであり、髪の色や前髪、顔つきも非常に似ている。

その理由は(私が調べた限りでは)明かされていない。特に深い意味はなく、セルフパロディやスターシステム(同様のキャラクターを俳優のように別の役として再登場させる手法)によるものかもしれない。

亡国に帰っていく彼女の末路は

私がそうだったのだが、彼女の末路は小さい子どもが見ても少々不安なものになっている。

物語のラストで、彼女はメコイスの壺を使って美しくかがやくヤーダ国を復活させる。だが、映画の中で確認する限り国に人の姿は映っていなかった。

国に誰もいないことについては作中ではふれられていなかったが、建物だけが美しくよみがえった無人の国で、彼女はどう生きていくのだろうか。

仮にかつての国民が映っていないだけでどこかに隠れていたとして、あまりの怠け者っぷりに一度滅びてしまった国をどう建て直すのだろうか。

ヤーダ姫は丸腰で砂漠を移動しメコイスの壺を探すなど過酷な旅をしていたが、家来や親にあたる王様、女王様はいないのだろうか。

彼女の未来に希望はなさそうに見えるが、がんばって生きてほしい。

ちなみに、映画の後の時系列で主役ではなくモブ要員として再登場しており、やつれた様子などは見られないので、少なくとも生存はしており、衣食住に困らない程度の生活はできているようである。

あとがき

アンパンマンに登場するキャラクターは端役に至るまで語れることが多いが、今回は特にいろいろ語れるヤーダ姫について取り上げた。

ちなみにこれを書くために少し検索してみたところ、ここに私が書いていることは大体他のアンパンマンファンたちがすでに取り上げていた。

逆にいうと、それだけ印象的でツッコミどころのあるキャラなのだ。

最後に蛇足

ヤーダ姫って宙をすべるように動く乗り物に乗って小動物と一緒に行動しているけどナウシカをリスペクトでもしてるの?

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