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『殺戮兵器一八〇号』裏設定、小ネタなど

拙作『殺戮兵器一八〇号』の各話を解説(というか語るだけ)する冊子を作ろうと目論んでいましたが、断念したので本記事で公開します。

本記事では『殺戮兵器一八〇号』の話のすべてを書いてるので、本編未読の方はこちらのマガジンからぜひ!
noteで全10話無料で読めます。よろしくお願いします。

※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。性的な表現、流血表現がありますのでご注意ください。

なお、今回の記事に使用している画像は「WEB公開したもの」でなく、「再録本に収録したもの」です。
また、再録本を作った際、各話にサブタイトルをつけました。それに合わせて本記事も進めていきます。

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こんな感じで、各話のセリフを引用してサブタイトルをつけていました。そして話数を区切って公開していましたが、話の流れを鑑みて、今回の記事は〇〇編というように区切りました。よろしくお願いいたします。

邂逅編(1話)

1話・それがここの常識さ(2021年2月21日公開)

1サムネ

公開は2021年2月21日でしたが、2019年頃に作品全体の構想を練り、2020年6月ごろから作画を始めていました。

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ユチョル中尉について。
チユンに横暴な振る舞いをしていましたが、本当は不遇な彼女には同情していました。ユチョル中尉もチユンと同じ貧しい地区の生まれで、かつて歳の離れたきょうだいが居たからです。情に厚く、反国家組織内では、信頼されている重要人物でもありました。
しかし結局、彼も軍人という権威を使って弱い立場であるチユンを抱き、組織の入団を強いたことに変わりはありません。ユチョル中尉は、決して善人ではありません。でもちょっとだけ良いところもあるかも…みたいな描写を、再録本の方には追加しました。

和解編(2〜4話)

2話・だって他の人間と違うから(2021年3月7日公開)

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一八〇号が名簿からチユンを特定するというストーカーみたいなことをしてますが、一八〇号は人間としてのモラルとか道徳とかプライバシーとかわかってないので…という言い訳を添えさせてください。
今見ると一八〇号のチユンちゃん呼びが初々しくて微笑ましい。

3話・じゃあ一生わかんねー(2021年3月20日公開)

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チユンがまだ一八〇号に心を開いてないツンツン期なので心なしか顔がキツめです。ここから本当に心開くのか…?と自分でも心配になりました。

4話・ヒョンジュンとして生きられる(2021年4月18日公開)

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ヒョンジュン(一八〇号)の一人称には「俺」「オレ」「おれ」があります。
「俺」は殺戮兵器として動いているときの自分(一八〇号)のこと、
「オレ」は普段のひょうきんな自分(ヒョンジュン)のこと、
「おれ」は両方、
を指しています。文字表現だからこそできる表現として、このような一人称にさせました。

変貌編(5〜7話)

5話・オレはチユンが好きだ(2021年5月11日公開)

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 なぜテリュン衛生班長がチユンと物理的に距離を詰めてまでキレたのかがわからないな、と思い、再録本には若かりしテリュン衛生班長の回想シーンを入れました。

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テリュン衛生班長の曽祖父が一八〇号を作ったこと、それにより軍部部隊の衛生班の立場が見直されたこと、それがテリュン衛生班長の誇りです。
一八〇号という兵器を守ること、維持することが自分の役目であると信じ、テリュン衛生班長は「衛生班」という立場にいます。

6話・変わってはいけなかった(2021年5月22日公開)

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「言うこと聞けないなら辱めちゃおうかなあ」のヨンイル少尉について。
”握り拳の人差し指・中指の間に親指を入れる”という「性行為」を意味するハンドサインを、チユンの右手と自分の左手で作ってます。
こんなに「クズ」とか「ヤバい」とか言ってもらえるキャラを描いたのは初めてだし、ヨンイル少尉を超えるキャラは自分ではもう作れない。変態描写に力を入れた甲斐がありました。


7話・オレがいるから(2021年6月8日公開)

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やっと一八〇号(ヒョンジュン)とチユンの思いが交わりました。

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とにかく「ヘイトを貯める、こいつは殺されてもいいなと思われるくらい嫌われていいキャラ」を目指して描いたヨンイル少尉ですが、登場から退場までが突然すぎたので、再録本には「ヨンイル少尉は登場するまで何をしていたか」がわかる場面を入れました。

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これはユチョル中尉にチユンについて聞いておいて、いや僕、チユンとかいう警備員どーでもいいっす(笑)(大嘘)と言っているシーンです。
ヨンイル少尉には、若い頃に同じ部隊の隊員に恋心を抱いていたが、その恋は叶わず散っていった……という過去があります。叶わぬ恋を経験して、好きな相手に執着してしまうようになってしまいました。一八〇号もヨンイル少尉も、チユンに対する「好き」の感情が暴走してしまった者同士です。二人の「好き」の形はあからさまに違いますが……。想像以上にヨンイル少尉に対するコメントを頂けました。一番印象が強かったコメントは「ヨンイル少尉、顔だけは良かった」というものです。光栄です。ありがとうございました。

真実編(8話)

8話・俺の血がそう言ってる(2021年6月20日公開)

「血族にまで罪が及ぶ」ことをどう言葉で説明したものかすごく悩みました。
その昔、某国には「九族皆殺し」という刑罰が実際に存在していました。一人の罪が見つかると九親等までの親族を殺すという連帯責任の刑罰です。それが犯罪の抑止力にもなりました。「一八〇号は、殺した人間の血筋を辿って親や兄弟、親戚もろとも滅ぼしていく」という一八〇号の進化は、前述した「九族皆殺し」だと同じことだと説明するつもりでした。
テリュン衛生班長は「自分の曽祖父が一八〇号を作った」ことを誇りに思い、曽祖父と同じ衛生班に所属しています。テリュン衛生班長にどうしても「血族」の話をさせたかったのです。
しかしこの話を挟むことと、漫画としてのテンポを維持させることを両立させられず…ここで弁明することになりました。無念!

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ウェブ公開分ではページの都合で描けませんでしたが、このチユンの憶測は当たっており、全て事実です。

最終編(9〜10話)

9話・すべて終わらせて(2021年7月4日公開)

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ウェブ公開版では擬音がありましたが、再録本では文字を消して1ページ丸々イラストにしました。

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生えている花について。
参考にしたのは(あくまで参考です)「アスター(エゾギク)」という花です。花言葉は「変化」「追憶」です。一八〇号とチユンを照らし合わせてこの花を選びました。
ヒョンジュン(チユンの弟)に、自分がなぜ殺されたのかを語らせるつもりだったんですが、「チユンはそんなことよりヒョンジュンと会えたことに感情を揺さぶられるだろうな」と思い、ばっさりカット。彼の死については、再録本の方に収録しました。
風が吹き、花びらが舞い、チユンが弟のヒョンジュンの向こう側を眺めているのは、かつて弟と重ねて見た一八〇号を見据えて、最期まで案じているからです。

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チユンの絶望するシーンと、一八〇号の絶望するシーンは同じ表現で描きました。

10話・最初からわかってたじゃないか(2021年7月25日公開)

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最終話は慣れないアクションシーンの作画やページ数が多く(一話〜九話は平均二四ページくらい、十話はウェブ公開の方は三〇ページ)、公開まで時間がかかってしまいました。

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テリュンの曽祖父と一八〇号の会話。
「河俊(ハジュン)殿」は一八〇号の元になった人間です。ハジュンは成績優秀でカリスマ性のある、優等生でした。一八〇号の姿形はハジュンそのものですが、性格、言動は真逆です。

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今までの一八〇号(ヒョンジュン)の目の色を見てほしいのですが、殺戮兵器としてのオンオフがわかりやすいように、「ヒョンジュンの時は色を塗らない(真っ白)」「殺戮兵器の時は色を塗る(トーンを貼る)」ようにしていました。
ヒョンジュンと呼ばれた精神を殺し、殺戮兵器一八〇号として目覚めた彼は、目の色が赤いです。

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殺戮兵器と言いつつ、話の中では殺戮と呼べるような殺人をしてなかったのは、9話までの一八〇号が本来の姿に覚醒していなかったからです。タイトルの『殺戮兵器一八〇号』は厳密に言うと、10話最後で覚醒し、自分の血がそう言ってるからと、自分にしかわからない理由をつけて、殺人を楽しむようになってしまう彼のことを指しています。

『殺戮兵器一八〇号』は一八〇号がヒョンジュンになる話ではなく、ヒョンジュンが一八〇号になる話です。
情の脆さ、人間性の変化、思考の変化、環境の変化、をテーマにした漫画が描きたかったのです。心を通わせ、変わりゆく・滅びゆく人間(チユン)と人外(一八〇号)を描きたかったので、『殺戮兵器一八〇号』ではこの終わり方を選びました。

それは誰かにとってはバッドエンドであり、誰かにとってはハッピーエンドです。

登場人物のフルネーム、身長や年齢など

設定本を作る時はこの画像を挟もうと思っていましたが、設定本を作るのを諦めたので用がなくなってしまいました。そしておそらくですが、この画像と再録本に収録したものとで、チユンの身長が違っていたような気がします…。大きな差ではないので支障はないです。

後書き

『殺戮兵器一八〇号』の再録本は2022年に増刷する予定でいますが、まだ未定です。お知らせできるように努めたいと思っています。
2021年は『殺戮兵器一八〇号』と共に在った年でした。また漫画作品を一本でも書けたら、こういう記事を書きたいです。長くなりましたがここまで読んでくださり、ありがとうございました!

※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

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