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パリ、テキサス

大学の図書館にあったレーザーディスクを観たのは25年前だ。こういった事実には未だに慣れることができない。「こういった事実」というは、つまり多くの時間がすでに経過して失われてしまったという事だけど。そして、これは失われた時間についての映画だ。痛みは時間の経過とともに癒されることはなく、形を変えていくだけに過ぎない。主人公が元妻とマジックミラー越しに会話するシーンで、カメラがハリー・ディーン・スタントンからナスターシャ・キンスキーに視点を変えて行き、彼女の刻々と変化する表情と言葉にできない微細な感情の揺れから、一瞬たりとも目を離すことができなくなる。


音楽と音楽の記憶とそのメモ。