日本橋エリアでの家探し(前提+4つのルール)



日本橋エリアとは


まずはどこが一体、日本橋エリアなのか、という大前提から話していきます。(いや、実は日本橋・人形町エリア、とかのほうがわかりやすいかな、と思ったのですが、そうすると、浜町も入らないのか、とか駅名指定感がでるのですよね、そもそもめちゃくちゃ駅が多い地域なので駅名指定になると、名称としては長すぎるし、無用な争いを生むため、ここは最も聞こえが良くて知られてる日本橋を使わせていただいて、日本橋エリアとします)

なんとなくだけど、「日本橋エリアとはなんのことかわかりますか? 」とランダムサンプリングされた東京の社会人に聞くと、9割以上は「日本橋三越があるところ」だとか、「地下鉄日本橋駅があるところ」とか、回答するんじゃないでしょうか。

しかしながら、「マンション購入を検討している人」が指し示す日本橋エリアというのは、日本橋三越があるところでも、地下鉄日本橋駅があるところでもないのです。
まずもって、日本橋三越の住所は、日本橋室町ですが、当該エリアには分譲マンションは数えるほどしかありません。同様に、地下鉄日本橋駅周辺はオフィスビル・デパートが立ち並びこれまた分譲マンションは見当たりません。

つまり、マンション購入を検討している人が、「日本橋エリア」という場合は、必然的に上記2エリア(昭和通りより東京駅側の日本橋三越前駅・日本橋駅、住所で言うと中央区日本橋室町、中央区日本橋)は含んでいないということになります。

では一体どこなのか、というと、これがかなりわかりづらく、上記(中央区日本橋室町、中央区日本橋)プラス日本橋兜町、日本橋茅場町以外で住所名が中央区日本橋〜とつく住所全てです。

日本橋兜町がなぜ日本橋エリアから外れるかと言うと、三越前や日本橋駅周辺と同様に分譲マンションがこのエリアにほとんどないからです。はっきりいって東証、証券会社くらいしかありません。最近は、Kabuto-oneというオフィスビル(1階はレストランやカフェ)ができ、インスタ映えするケーキ屋さんなども増えて、オシャレ感満載で休日なんかは若い人が大挙しているのですが、兜町に住んでいるわけではなくて、外から来ているだけと思われます。

日本橋茅場町は、地下鉄茅場町駅周辺のエリアで、学区も、当ブログが示す日本橋エリアとは異なり、どちらかというと、中央区八丁堀・新川・湊・入舟地域と一緒に検討されることが多いです。

上記を勘案すると、マンションを検討する人が日本橋エリアと言う場合、以下地名にあるマンションを検討している、ということを意味します。(少なくとも当noteではこの前提に依って議論を進めていきます)

自分が住んでいるエリアによっては、ここは入る、ここは入らない等、色々と議論の余地ははあるのですが、当noteにおいては、下記住所を日本橋エリアの構成要素とさせてください。50音順です。

  1. 日本橋大伝馬町

  2. 日本橋蛎殻町

  3. 日本橋小網町

  4. 日本橋小伝馬町

  5. 日本橋小舟町

  6. 日本橋富沢町

  7. 日本橋人形町

  8. 日本橋馬喰町

  9. 日本橋久松町

  10. 日本橋浜町

  11. 日本橋堀留町

  12. 日本橋本町

  13. 日本橋横山町

  14. 東日本橋

ただ、上記分類ではマンション探しをするには細かすぎるので、今後のエントリでは、便宜的に以下8地域分類を使います。

日本橋エリア全体像
  1. 人形町メインエリア;人形町駅入口がある交差点に近く(1-3分程度)、甘酒横丁を含む豊富な飲食店や今半・日山などの老舗が立ち並ぶ由緒あふれる人形町といえばこの辺という代表的エリア
    →日本橋人形町1丁目〜2丁目、日本橋富沢町下半分、日本橋久松町

  2. 三越前至近人形町エリア;三越前駅が徒歩圏(5-8分程度)、人形町駅も5分以内、堀留公園がランドマーク。製薬会社・問屋さん・飲食店・マンションが点在するエリア
    →日本橋小舟町、日本橋堀留町1丁目、日本橋人形町3丁目

  3. 日本橋・茅場町至近人形町エリア;日本橋駅・茅場町駅が徒歩圏(5-8分程度)、人形町駅も5分以内、日本橋小学校や区役所出張所も近く人形町の飲食店街も近いエリア
    → 日本橋小網町、日本橋蛎殻町1丁目、日本橋箱崎町一部

  4. 新日本橋・小伝馬町エリア;JR新日本橋駅・日比谷線小伝馬町駅まで徒歩圏(1-5分)、十思公園がランドマーク、千代田区岩本町や東神田と隣り合わせ、山手線の神田・秋葉原を近く感じるエリア
    → 日本橋本町、小伝馬町、大伝馬町

  5. 浜町エリア;新宿線浜町駅は徒歩圏(1-5分)、隅田川に面した眺望抜け感あるエリア、ランドマークは広大な浜町公園。
    →日本橋浜町

  6. 東日本橋エリア;浅草線東日本橋駅、新宿線馬喰横山駅、JR馬喰町駅まで徒歩圏(地下鉄入口までは3分以内)、浜町と同じく隅田川に面した眺望抜け感あるエリア、浅草橋までも徒歩5分程度
    →東日本橋

  7. 横山町エリア;東日本橋エリアとほぼ同じ、だが、より問屋街感が強い、東神田と隣り合わせのエリア
    →日本橋横山町

  8. 水天宮エリア;水天宮駅が至近(3分以内)、ランドマークは水天宮。高速ジャンクション・TCAT・大きなホテル(ロイヤルパークホテル)が鎮座するエリア。
    →日本橋蛎殻町2丁目、日本橋箱崎町一部

※実は日本橋中洲が入っていないのですが、中洲を浜町に入れるのも、水天宮に入れるのも、違和感を感じる一方、独立して中洲エリアとするほど広い地域ではないので、捨象します。

なぜ上記8エリアかというと、不動産の価格がこのエリアごとに微妙に異なっているからです。なんだかんだ、価格の差異で仕分けた方が、マンション探しはしやすいですし、その差にはそれとなく理由はあるにはあります。
エリアの境界線近くにあるマンションは隣接するエリアの特性を受けます。ですので、ざっくりそのエリアの平均的なロケーション(真ん中くらい)を意味していると捉えてください。
エリア毎のマンション価格で言うとざっくり以下のような序列となっています。
1≧2=3>4≧5>6>8>7

ただ、新築が少ない地域ということもあり、エリア内でよっぽど端っこではない限り、新築が珍重される傾向にある中で、なんだかんだ築年数で序列がつく側面も最近は強く、上記序列は参考までにご覧ください。

日本橋エリアでマンション探しをするにあたって留意することとは?

日本橋エリアでマンション選びをする方に、念頭に置いてほしいこと、具体的には、他エリアでは当たり前であるが日本橋では当たり前ではないこと、逆に他エリアでは当たり前ではないけど、日本橋では当たり前なこと、を4点説明します。

ルール1:タワマンは今までもこれからも過剰に期待してはいけません

昨今はタワマンブームです。2015年付近以降に竣工した駅近タワマンであれば、近郊物件でも人気があります。億ション(ファミリータイプで1億円以上するマンションのこと)も少なくありません。

また、タワマンは板マン(所謂超高層ではない15階程度までのマンション)と比べて異なる価格形成をします。具体的には、同エリア・同立地の板マンと比べると、正直同じ場所にあるマンションなのか、と見まごうほどの価格の違いがあります。正確に言うと、価格上昇・価格維持率が段違いに良いです。それだけ値段が高くても欲しいと思う人が多いと言うことです。
ですので、日本橋エリアも2015年付近竣工くらいのタワマンがあれば、高くてもタワマンにしておけば問題ない、と言うことなのですが、そうは問屋がおろしません。
日本橋には、たった2つのタワマンしかありません。トルナーレと、レガーレです。
トルナーレは浜町、レガーレは人形町にあります。

トルナーレの築年数は18年、レガーレは16年です。竣工は2000年代前半〜中盤なのですが、まあなんというか、2015年以降に建設されたタワマンと比べると少し物足りないと思います。

まず、共有部ですが、ゲストルームなどはありませんし、ジムもありません。また、駅直結でもありません、デフォルトの設備仕様も高くありません。

外観は決して悪くないのですが、その他の昨今のタワマンクオリティと比べてしまうと、サービス設備仕様のレベルが相当程度劣るという。

あとは、賃貸も多いのか、売りに出される物件もさほど多くはないです。特にファミリータイプ、70平米以上が異様なまでに売り出しが少ないです。(私はここ3-4年日本橋人形町エリアで売り出された物件・成約は全て目を通していますが、トルナーレ・レガーレで一度も70平米以上のファミリー向け物件を見たことがないです、そもそもあるのかな?)

かくして、ロケーションは決して悪くないのですが、さほど人気があるわけではない、というのが、日本橋エリアのタワマン事情です。

ただ、人気がないことの裏返しとして、他物件と比較して坪単価がめちゃくちゃ高いわけではないので、どうしてもタワマンに住みたい、かつ、新しさ・広さにはさほどこだわらない、ということであれば、トルナーレ・レガーレを選択肢にしてもよいかと思います。(チャレンジ価格の物件を掴まないようにしましょう)

ちなみにですが、日本橋駅周辺の再開発(現郵便橋付近)で日本橋駅直結のタワーマンションが建設されるそうです。出来上がりは2030年より更に後ですし、値段はこのブログで言う「日本橋エリア」の物件とは比べ物にならないくらい高いでしょうから、さすがにそのマンション待ちという方はいないかと思います。でも楽しみですよね。

ルール2:3LDK 70㎡超と2LDK 65㎡以下の坪単価に歪みが生じている

日本橋エリアはタワマンがあるわけでもなく、よく言えば落ち着いた、悪く言えば地味なエリアなので、購入するのは実需ファミリー層が中心です。

なぜファミリー層に人気があるかというと、共働きの場合は、双方が東京の東側で働いている場合、職住近接のメリットを最大限に享受することができます。電車に乗ったとしてもせいぜい10分、有事の際に歩いたとしても30分程度です。
また、小学校、塾、習い事も人形町の中心エリア(①、②、③エリア)に集中しており、日常の動線上にあります。親が小学生の子供の各種送り迎えをする負担が著しく少なくて済むのです。

正直な話、DINKSの夫婦だと、あえて日本橋エリアに住むモチベーションってそんなに高くないんじゃないかと思います。まず、近くにターミナル駅も歓楽街もありません。
東京駅は近いには近いですが、思いついた時にふらっと行ける距離ではありません。徒歩で言うと少なくとも20分くらいはかかってしまう。
三越前は、三越、コレド室町、室町テラスがありますが、DINKSの夫婦が嬉々として遊びに行くイメージはありませんし、恐らくターゲットにもしていないと思います。
テナントがあまりにも渋いので笑。
歓楽街も、甘酒横丁があるにはありますが、これも歓楽街というにはレトロすぎるでしょう。勿論、おしゃれなレストランがない、と言っているわけではないんですよ。
ただ、何というか、わくわくするような街の勢い、というか、雰囲気があまりなくて、良くも悪くもただひたすら大人で落ち着いた雰囲気を醸してるんですよね。

というわけで、小学生を子供に持つファミリー層が実需の中心と仮定すると、そりゃ3LDKの需要が強くて、2LDK65平米以下の需要が弱くなるのは自明の理だったりします。
このコロナ禍で、お家時間を充実させたい人が増えたので、より3LDK 70㎡超を志向する傾向は強まったかと思います。

さて、では具体的に坪単価にどれくらいの違いがあるのでしょうか?
過去3年程度の在庫・成約双方をReins Market Informationでヒストリカルに見てみましたが、ざっくり坪単価20-50万くらいの違い(築浅物件ではそれ以上)があります。
(勿論、物件によっては、2LDKも3LDKも坪単価が変わらないものもありますが、それは極めてレアです)

ですので、2LDK65㎡以下の物件の坪単価・グロス価格をみると、意外とお手頃じゃん、と思うのですが、3LDK70㎡となると、途端に目が飛び出るグロス価格となる、というのは日本橋エリアあるあるなので、是非ご注意いただければと思います。

Suumoの検索件数を見ても、2LDK 65㎡以下の物件数は3LDK70平米以上の5倍以上ありますので、これだけ在庫に違いがあれば、さすがに坪単価にも違いが出てきてしまう、ということなんでしょうね。

逆に言えば、2LDKでもいいから日本橋エリアに住みたい、という方は、この歪みを利用して、3LDKに比べて安価に物件(専有面積*坪単価=価格、なので、かなりグロスが低い)を手に入れることができるということでもあります。(勿論、売る時も安いということです)

日本橋エリアにおける2LDK/3LDK間の坪単価の歪みが今後解消されるのかは、正直よくわかりません。70㎡以上3LDKの在庫が増えれば、坪単価のギャップが解消されるのか、そうじゃないのか、これは今後の成約単価を観察し続ける他ありません。

個人的な見解としては、日本橋エリアのブランディングを鑑みると、消費性向の低い単身世帯に訴求した街づくりを志向するとも思えず、引き続きファミリー層の引きが強いエリアであり続ける、つまりファミリー向け物件と単身・DINKS向け物件の単価差は存続し続けるのではと思っております。

ルール3:徒歩5分以内であれば駅距離アドバンテージはさほど高くはない

日本橋エリアには沢山の駅が存在します。①〜⑧のエリアだけ見ても、浅草線・日比谷線人形町、日比谷線小伝馬町、新宿線浜町、半蔵門線水天宮、JR新日本橋、浅草線東日本橋、新宿線馬喰横山、JR馬喰町、と、9駅もあります。
そして、日本橋エリアにある限り、どこかの駅は必ず徒歩5分以内です。
勿論、エリアによっては三越前・日本橋・東京駅へのアクセスに大きな違いがあるので、①〜⑧のエリア間での違いは存在するのですが、それぞれのエリア内では徒歩分数では大きな違いはないです。

徒歩分数であまり大きな価格差がつかない、というのは、駅直結物件がない、というのも、一定程度関係していると思います。
つまりは、①〜⑧のうちどのエリアの物件を狙うかを決めた後は、あまり徒歩分数にとらわれる必要はないということでもあります。
逆にいうと、徒歩〜分!と謳っている物件に必要以上に惹きつけられることのないようにしましょう、ということです。5分以内が当たり前なので、5分以内ならいいや、と思っている人は尚更ですね。
徒歩分数をあまり意識しなくてもいい、というのは、他エリアとの大きな違いと思います。
徒歩分数というよりは、どの①〜⑧のどのエリアに属しているのか、のほうが重要です。

ルール4:浜町・東日本橋の隅田川を望む物件以外は眺望・前建との離隔に期待してはいけない

日本橋エリアの多くは元々は問屋街です。基本的には道は狭く、建物がひしめき合いごちゃごちゃしています。所謂、囲まれ感は当たり前にあります。
接道が2面(前後ろ)というのも当たり前で、1面接道(前のみ)という物件も珍しくありません。
日本橋エリアで、眺望の抜け感があるのは極めてレアです。そもそも、そこそこ規模のある公園は、十思公園、堀留公園、浜町公園、の3つしかありません。緑があって建物が混みいってないエリアがそもそも少ないのです。(そして、公園近くの物件の売出しもとても少ない)

一方、日本橋エリアの中でも、浜町・東日本橋エリアは隅田川に面しているということもあり、眺望の抜け感に優れた物件も幾つかあります。ただ、浜町・東日本橋だと、若干日本橋駅・三越前方面からは離れてしまうというデメリットもあるため、眺望とロケーションの良さはトレードオフとなります。

それ以外のエリアは、きてみるとすぐわかるのですが、眺望・前建てとの距離にあまり多くを求めないこと、が基本線となります。

抜群の眺望・前建てとの距離を求める方は、やはり湾岸タワマンに住んだ方が幸せだと思います。
日本橋エリアは複数駅へのアクセス利便性・職住近接による生活利便性に振り切ったエリアだと割り切れる人がフィットする、というのが私の見解です。

今後のエントリリスト

色々とネタはあるのですが、書きやすいものから書いていこうと思います。
もしリクエストあればいただければ幸いです。

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