着せ替えErgoArrowsPro
設計者であるサリチル酸さん(@Salicylic_acid3)のご厚意で、正式販売開始前のキーボード ErgoArrowsPro をひと足お先に提供していただきました。
ErgoArrowsPro は私にとっては理想を形にしたような最高のキーボードで、エルゴノミクス形状ならではの高い入力効率と、指・手首・肩への負荷の少なさはもちろん、見た目や打鍵感・打鍵音の良さに至るまで、5段階評価で星10万個くらいのどちゃくそ高い満足度を叩き出しております。
使っててあまりに疲れないので、一日に2万文字くらいタイプしても140字くらいしか打ってないような錯覚に陥ってしまうレベルです。単なるプラセボ効果、あるいはアドレナリンが出まくってて疲労感が麻痺しているだけという説もありますが。
キーボード本体は最高。なのであとは…
キーボード本体とは別に、自作キーボードの完成度を左右する重要な要素がふたつあります。ひとつは装着するキースイッチ。そしてもうひとつはキーキャップです。
そして私はいまだにこのふたつの要素を煮詰めきれておりません。
ErgoArrowsPro の本体が素晴らしすぎるせいで、今使っているキースイッチやキーキャップでは本体を支え切れていない印象がぬぐえないのです。高級な具材を使ったハンバーガーにはそれに見合うバンズが必要なように、最高のキーボードにはやはり最高のキースイッチとキーキャップを合わせたい。
というわけで、ようやく理想のキーボードに巡り会ったと思ったら、次は理想のキースイッチとキーキャップ探しの旅が始まってしまいました。まったく恐ろしい深さです自作キーボード沼。いったいどれだけの時間と金を沈めれば抜け出せるのか。
というわけで、いろいろ試してみた
キースイッチは検討するべき要素があまりにも多すぎるのでおいおい時間をかけて考えるとして、緊急の課題となっているのはキーキャップです。
大量の1uキーを必要とするため、ErgoArrwosPro で使用できるキーキャップセットは種類が限られています。それでも以前に比べると、選択できるキーキャップがだいぶ増えました。
そこで私の手持ちのキーキャップセットを実際にいくつか装着してみて、ErgoArrowsPro との相性や使用感を試してみたいと思います。
なお日本語配列の可否についてもいちいち記しておりますが、これは私の知り合いにカナ入力を使っている人が意外に多くて、そういう方々の参考になるかと思ったからです。自作キーボードとしては比較的キー数が多めのErgoArrowsProは、カナ入力でも問題なく使えるはずなので。
Acid Caps Ergo
まずは純正のキーキャップセット、ErgoArrowsPro用に開発されたAcid Caps Ergo。さすがに専用キーキャップだけあって、ErgoArrowsPro との見た目の相性は抜群です。
そしてAcid Caps Ergo の良いところは、なんといっても数字行の日本語配列に対応していること。それから修飾キーの刻印を廃して、代わりにグラデーションを無刻印キーを採用していることです。
この無刻印キーを流用して1uキーの不足分を埋めれば、ほかのCherryプロファイルのキーキャップセットが ErgoArrows/ErgoArrowsPro で使えるようになります。グラデーションのおかげで、ほかのキーキャップとの成形色の差異が気にならなくなるんですよね。
Cherryプロファイルのキーキャップは本当にバリエーションが豊富なので、それが自由に選べるなら ErgoArrows系のキーキャップ不足は一気に解消するはず。
Acid Caps Ergo単体でそのまま使ってもよし、ほかのキーキャップと組み合わせてもよしということで、ErgoArrowsProを買うなら Acid Caps Ergoもぜひ一緒に入手しましょう。そのありがたみが、のちのちジワジワと効いてくるのではないかと思います。
ePBT ModernJA
キーキャップの成形色的に ErgoArrowsPro の白筐体ともっとも相性がいいと感じたキーキャップ。オプションのOrtho Kitと組み合わせることで、修飾キーを含むすべてのキーで刻印を一致させた日本語配列を実現することが可能です。
先日まで遊舎工房さんでExtra販売が行われていたのですが、残念ながら現在は入手不可となっているようです。
ePBT SimpleJA R2
ModernJAと同じくAi03さんがデザインした日本語配列対応のキーキャップ。ModernJAと比べてOrtho Kitのキー数が増えており、より柔軟に配置できるようになりました。
ビンテージっぽさと高級感があり、まさにプロの道具という印象になります。ErgoArrowsPro との色味のマッチングも意外に良好。長く使っていても飽きることのない、個人的に一押しのキーキャップです。
CannonCaps CXA BoW
CXAという比較的新しい形状のキーキャップ。Cherryプロファイルのように背が低く、お椀型に浅くえぐれたスフェリカルな形状です(MDAに似てますが、こちらのほうが四隅のエッジが立ってます)。
個人的にオーソリニアやカラムスタッガードのキーボードには(行ごとの境目がはっきりわかる)スフェリカルなキーキャップのほうが使いやすい気がしているので、形状的に ErgoArrowsPro との相性が良いと思います。
セットに含まれている1uキーの数が多く、1セットでもギリギリ ErgoArrows に対応可能。ただし日本語配列には対応不可で、一部の刻印は適当な他キーで代用する必要があります。
Cream Keycap Set(282-Key)
Akko製MDAプロファイルのキーキャップセット。こちらもスフェリカルな形状で高さを抑えたキーキャップです。
安価ながらPBTダブルショットの高品質、かつ282キーというとんでもない数のセットなので、ErgoArrowsPro をがっつり組んでも余裕で1uキーが余ります。
1uのコンベックスキーが含まれていないのが残念ですが、ErgoArrowsPro 以外にも様々なキーボードに対応できるので、とりあえず迷ったらこれを買っておくというのもありではないでしょうか。安いし。コストパフォーマンス的には文句なく最高のキーキャップセットです。
MT3 /DEV/TTY
Matt3o氏がデザインしたMT3プロファイルのキーキャップ。SAプロファイルほどではないもののかなり背が高く、天面の窪みが深い形状になっています。少々クセの強いキーキャップですが上手くハマるととても快適で、私は無印ErgoArrows では主にこれを使っていました。
木製パームレストを装着した場合、ErgoArrowsPro はチルト角のないフラットな状態になります。これがMT3の特性にとてもマッチしているのです。行ごとのキーキャップの高低差と天面の深い窪みのおかげで、Kinesis Advantage のようなお椀型のキーボードを使っているような感覚が擬似的に味わえます。
反面、パームレストを使わないチルト角ありの状態やテントスタンドを着けた状態ではキーキャップの高さが裏目に出て、そのままではとても使いにくいです。良くも悪くも主張の激しいピーキーなキーキャップだと思います。
また /DEV/TTY には日本語配列対応のキットがあって、一時期は ErgoArrows で日本語配列を実現できる数少ない選択肢のひとつでした。ただ現在は Acid Caps Ergo があるので、日本語配列のためだけにあえてこれを選ぶ必要はないと思います。
MT3はオーソリニア向けのセットが充実しており、上手く使いこなせれば ErgoArrowsPro との相性は悪くないと思います。個人的に好きなプロファイルなのでこれからも可能性を探っていきたいのですが、自キ活初心者にはちょっとオススメしづらい。見た目はごつくてかっこいいんですけどね。
ErgoArrowsPro 無刻印/雪
無刻印の白キーキャップ。HHKBの限定モデルに採用されて一時期話題になりましたが、ErogArrowsProの白筐体にも混じりけのない純白の白はよく似合います。
ただでさえ移行コストの高いカラムスタッガードに無刻印のキーキャップを組み合わせた結果、学習難易度がVERY HARDモードになっていますが、無印ErgoArrowに慣れている方やタッチタイピングに自信のある方であれば問題ないでしょう。
無刻印のキーキャップは Amazon などでも安価で購入できますし、Cerry、OEM、DSAなど好きなプロファイルを選ぶことができます。ただし一般的な104〜118キー程度のセットではキー数が不足するので、2セット購入するか、バラ売りのキーを買い足す必要があります。ご注意ください。
無刻印
プロファイル OEM
日本語配列 ——
入手性 ◎
まとめ
ErgoArrowsPro は黒モデルも選べるのですが、私の手持ちキーキャップの関係で今回は白モデルだけの紹介になってしまいました。すみません。あと、ほかにもオススメのキーキャップなどがあれば教えてください。
ErgoArrowsProの購入を考えている皆様に、ほんの少しでも参考にしていただけたら幸いです。
この記事は私のはてなブログから転載したものです。
キーキャップのデータは執筆当時(2023年1月)の内容です
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