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【セルモーター交換01】君に触れられないから斬る!

前の話、「バイエルンを逃し、色々考える(た)」からの続き

エンジンを積み替えるにせよ重整備をするにせよ、工場のあるマリーナへ持って行く必要がありますが、肝心のエンジンがかからないから動かせない。
出張で来てもらいエンジンだけ持って行ってもらう事も考えましたが、
「待てっ!それは最後の武器だ!」BY忍者部隊月光的位置付けですから、自力(に近い方法で)なんとかしたいところです。
念のため保険として聞いておこうと思い、「エンジンだけ下ろして持って行ってもらえます?」と言ったら、「ウチのクレーン車だと、あそこ入れないから厳しいです。最悪は小さい車を借りれば出来ますが…」と言われてしまいました。

どちらにせよエンジンがかからない事には海に浮かべる事すら出来ませんので、スターターだけは動かさないと… と、言う事で、リビルド品のセルモーターを

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買いましたよ。
60,000km保証ってなんだよ… ヨットに走行距離メーター付けなきゃダメか?

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ふふ、新品だぜ(いや、リビルド品だろ)。

暁の中、アクアラインを抜けて

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マリーナへ来ました。

今日はもう色々な事を諦めて、しなければならない事があります。
それはロッカーの壁を切り、エンジンの左側にアクセス出来るようにすること。
施工前の写真を一切撮ってなくて、いきなり施工後の写真ですが、

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ドーン!

ロッカーとエンジンルームの間の壁をガッツリ切り取りました。
もうね、エンジン積んだままセルモーター触ろうと思ったらこれしか無いわ。

閉じる方法はエンジンが終わったら考えます。
別に段ボールでもなんでもいいだろ(引火性が高いのはダメか)。
切り取った板を加工すればはめ込み式とかになるだろうし、そういう簡単っぽい事はその時に考えます。
むしろロッカーを潰して機関室を拡張したと思えば、このままでもいいのでは?だめか、救命胴衣とか入れる場所無くなるし。

これでエンジンの左側からもアクセス出来るようになりました。
色々と失った物も大きい気はしつつも

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今まで苦労していたオルタネーター(ジェネレーター)のVベルトのテンション調整も楽勝です(今までエンジンの前側からアクロバティックな形でアクセスしてた)。

それでは早速作業開始。

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ん?床に救命胴衣じゃないかって?
誰一人、積んでるだけで実際に使わないとも言われる桜マークの救命胴衣。
ウチの船の場合は、船検の時以外はエンジン整備で腹ばいになる時のマットになるんですわ。
むしろ桜マークが付いたマットで、船検の時だけ救命胴衣になる感じ?

さーて、セルモーターは

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こんな感じで2本のボルトで固定されていますので、まずはアクセスしやすい下のボルトからいきますか。

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先週、上の隙間から手(やハンマー)を突っ込んで届く唯一のセルモーターの部分(エンゲージマグネティックスイッチ部)をハンマーで殴ってショックを与えた傷も生々しいですが、それは見ないふりをしまして…
っていうか、最初はプラスティックハンマーでフォックスレベル(←コンコンと言うレベル。今考えた。)だったんですが、やがて金属部分で殴るようにになり、最終的にガンガンになった結果ですわ。

さーて、レンチを入れ、クルッとボルトが回…
スカッ
あれ?クルッと回る以上に、摩擦ゼロで回転?
レンチのサイズ違い??
お前、M12ボルト(19mmレンチ)じゃないのかよ…

慌ててマニュアルを見直してみますが、

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やっぱりM12だよね?
きーー!もしかして小形規格か!と思い

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17mmレンチを入れたらピッタリでしたわ…

ちょっとここで落ち着いて、トイレでも行って、缶コーヒーでもすすり…

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海を見れば遠くには富士山。
本来なら今日は木更津マリーナへ回航している日ではありましたが、

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南西の風10〜12m。
かなり荒れた海況で、エンジンが快調だったとしても回航は延期たでしょう。

さて、なぜ急に作業を止めて海を見ながらコーヒーをすすっているのか?
無理なんですわ、ボルトが17mmレンチだった時点で。

先程の下側のボルトはですね、

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見えるし、普通のボックスレンチでアクセス出来るんですよ。
しかし上のボルトはですね、

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どこ??

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エンジン左側(ややこしいけど、上の図の右側ね)からはエンゲージマグネティックスイッチが鉄壁の守りを固めていてアクセス出来ません。
元々長めのT型ボックスレンチで前からアクセスしようと思っていましたが、目視できませんわ。
それでも「外すだけならどうにかなるだろ」と思っていましたが、持っているT型のレンチは19mmだけ。
17mmのT型なんか持ってないわ!

しかし恐ろしきは間接冷却型エンジン。
2GMではスッカスカで整備に支障なんか出なかった場所が、ことごとくクーラントと海水の温度交換器やクーラントや海水の通るパイプで塞がれて、届かないところばかり。

今日はもう帰らないとまずい時間、とりあえず

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ロッカーのここ以外は全部閉めて。

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ロッカーに入れていたPLASTIMOの110リットルバッグ(船検用ライフジャケットやその他船検用品が詰め込んである)はここに出しっぱなし。
何かと作業中はキャビンが狭くなりますな、毎度の事ですが。

セルモーター交換02へ続く