見出し画像

【非常時の連絡手段】ヨットでも衛星通信

身の回りでは離島クルーズに出た知人、太平洋を横断中のSNSで知り合った方、花火大会やBBQをヨットで楽しむ友人、夏休みに上架して大掛かりな改修み入る隣人なんかがいらっしゃいますが、私は夏休みと言う未知の概念を信じておりませんので平常運転で仕事ですわ。
どちらにせよエンジンは部品の研磨待ち、外もキャビンも熱波で身の危険が…と言う感じですしね(と自分に言い聞かせる)。

そんな中、ヨットにも少し関わるニュースが。
それはiPhoneによる人工衛星との直接通信開始。

■iPhoneと人工衛星の直接通信

昨年9月に出たiPhone16、2ヶ月後には技適ナンバー(総務省の通信機の型式認定みたいなもの)変更が行われ、「これで北米でサービスが開始されている衛星通信が日本でも!」と、私界隈私だけがざわついていました。

それが7月30日のiOSアップデートで、遂に日本でもサービス開始ですわ!
ええ、30日は朝5時からiOSをアップデートして、即立ち上げてみましたよ。

そもそもこれが何の役に立つかと申しますと、やはり救難(っていうか救難用の機能だしね)。
特に昨今の携帯の電波5Gは細かな基地局配置をメッシュ状に… という話はいいか…
とにかく今の携帯は細かく基地局を配置しないと通信エリアを拡げる事ができませんが、やっぱり疎かになるのはユーザーの少ない海の上。

これまで陸上のおこぼれ電波によって支えられてきた海上での携帯電話での通信も、5Gになるとおこぼれと言う概念が無くなり、通信会社が積極的に海上通信エリアを作る努力をしないといけなくなりました。

docomoなんかも

こんな感じのPRをしておりますが、他キャリアも当然それなりの努力を払っている事でしょう(多分)。

そんな中で朗報なのがiPhoneによる衛星経由の緊急 SOS。
その辺の細かい話は

↑Apple自身が書いてますから、わざわざここで書くまでもないでしょう。

過去の記事で何回か書いていますが、私はと言うと石橋を叩いて壊すレベルで救命手段を確保したい性格なので、通信手段の最後の砦としてGarminのinReach miniという衛星コミュニケーターをライフジャケットに仕込んでいます。
これも契約解除でいいね!
iPhoneでinReach miniの(私の欲しい)機能は、ほぼほぼカバーですよ。
これが外洋に出る…みたいな使い方ですと、まだ気象情報の取得とかがあるので手放せませんが、そこはほら、せいぜい数十マイルしか行かない人ですので。

ふーー。
では早速、アップデートを終えたiPhoneを厳かに手に取り、試してみますか。
と言っても、残念ながら(?)今は遭難しておりませんので、デモ画面なんですけどね。
画面を録画してみましたよ。

↑こんな感じ。
全体的な動きは早く、通信速度もInReach miniとだいたい同じくらいのイメージですが、デモ画面なので実際がどうなんですかね?

たまたま翌日は、ちょっと特殊な飛行機(←周辺電波が遮断されにくい)に乗る仕事があったんですが、携帯の画面を見ると

この数日後、旅客機の客室でも一瞬これになった

おー!何がどう言う状態の時にこの表示になるのか分かりませんが、SOSと人工衛星のマークが出てる!
携帯の電波が圏外と言う状況ならとりあえず出るのか?あるいは圏外で、かつ上空が開けていれば出るのか?は不明ですが、確かにポケットに入ってるこの機械iPhoneは人工衛星と直接やり取り出来るみたい。

この衛星通信サービス、(2年後からは)有料ではありますが、保険代と言う事で海や山に行く方々は必須なんじゃないかなぁと思いました。

■携帯以外の手段でインターネット接続

ついでなので携帯が使えない場合の通信手段としてのインターネット接続についても書きますか。

最近は離島への貨客船やフェリーに、試験的にStarlink(衛星通信でのインターネット接続サービス)を導入する海運会社が増えて来ました。
当初は航路上であっても領海外の接続水域(三宅島と八丈島の間とかね)なんかは法制度上利用出来なかったんですが、それも年初に制度改正が行われて、EEZや公海上でも使えるように!

今では商船三井の「さんふらわあ」シリーズ(商船三井は全ての船に積む事をリリースしてました)や名門大洋フェリーの「フェリーきょうと」、ジャンボフェリーの「あおい」… いや、書ききれない程導入されてますわ。
それどころか、

ウチの窓から撮影

これは5月、遠洋航海訓練前に晴海に入港して来た海上自衛隊 練習艦「しまかぜ」。
この写真を撮った2週間後に防衛省が“「かしま」と「しまかぜ」にもStarlink入ってるからね、2027年までには9割の艦に装備するよ”ってリリースを出しました。
なんだよー!この時にStarlink入ってるの知ってれば、アンテナを撮影したのにー!と思いましたね。

そんな感じで、もうこの規模の船や艦でのStarlinkは、既に必須な通信インフラとなっていますわ(確信)。

私も日常的に東海汽船の「さるびあ丸」や「橘丸」でStarlinkを使ってますし、先日数年ぶりに乗ったプリンセスクルーズの「Diamond Princess」も、インターネットの接続の手段がいつの間にかStarlinkに置き換わってました。

↑東海汽船の橘丸船内に貼ってあったお知らせ。
東京都の実証実験と言う形でプライスウォーターがやってる。
おそらく小笠原海運や名門大洋なんかも同じ形でヤク漬けにされて、最終的に本契約するパターンでしょうな。
その時はユーザーは有料になるでしょう。

人間は「便利」を知ると原始時代には戻れない動物なのよね

こう言う規模の船に使われているのはStarlink Maritimeみたいなやつで、初期費用36万円の月額3万円オーバーみたいな感じなんですけど、実はもっと手の届くような感じの使い方があります。

Starlink ROAMと言うコースですと、初期費用5.5万円の月額1万円くらいなんですわ(まぁ、あんまり沿岸から離れるとダメなのかもしれませんが)。

実は私も陸上拠点でStarlinkのResidential?Home?(名前を失念)初期費用5.5万円、月額6,600円のコースを数年前から利用していますが、

入ってた箱でいいだろ…

こんな商品がオプションで用意されていて、通信機器セットを持ち運べるようになっていますので、電源さえあればどこでもネットに接続可能です(オンラインで設置場所変更をする必要あり)。
ええ、こんな高い値段でバッグを買うわけにもいきませんので、私はその辺のバッグを使いましたが、何度かヨットに持ち込んで使った事があります。
上空に障害物が無い状態が必要なので航海中は試していませんが、頑張ったら使えるはずです(ライフハック的インチキなので推奨出来ませんが)。

実際使うとこんな感じで


ささっと衛星を捕捉するし、速度も日常使いには特にストレス無いレベル。
これをいつもヨットに持ち歩けと言うのは現実的ではありませんが、他に使い道がある人なんかは、長期クルージングなんかには是非おすすめしたい一品ですな。