本当にこわいのは(四阿シキ)
「え、女子こわ」
教室から聞こえたその声に、わたしはドアを開けようとしたその手を止めた。
声から察するにうちのクラスのカップルだ。出している名前からして、グループの仲違いを話したのだろう。荷物を取らないわけにはいかないし、自分が関係する話でもなかったので意を決して教室に入る。
と、彼の方がわたしに気がついた。
「あれどうしたの」
「忘れ物しちゃって」
「部活終わったのー?」
彼女の方がわたしに話しかける。
「うん」
仲が良くも悪くもないのでたいした会話にならない。
必要なも