マガジンのカバー画像

ワタシの視線

79
1994年にアメリカ上陸。アメリカに住む日本人としての私が感じたこと、思うこと。
運営しているクリエイター

#老後

アメリカで最期を迎えた日本人のおばあちゃん。

以前書いた、前に住んでいた家のお向かいさんだったおばあちゃんが先日息をひきとった。今年7月に90歳の誕生日を迎えた季江さん。 せっかく日本に帰ったのに半年ももたずに、アメリカに戻ってきた。友達夫婦のところで数ヶ月お世話になったあとに、老人施設に入所した。一人暮らしになった彼女に、私はふと思いついて絵葉書を送り始めた。(上の写真) 私は若い頃から美術館に行ったら最後に気に入った絵の絵葉書を買うとか、旅行先で写真をとると同時に絵葉書を買う趣味があった。当時はもったいなくてそれ

その空いた時間を何をして過ごすのか。

ムスメが4月に17歳になる。運転免許をとるから、水泳の練習も学校も買い物も、私が同乗する必要がなくなる。どこへでも一人で行けるようになる。 「一気にヒマになるじゃん。一体これからその時間どうするの?」 結構な数の友達から真剣な眼差しで聞かれる。その裏にはやることがなくなって時間をもて余して呆然とするのじゃないかという問いが隠れているから、私は首を傾げてしまう。 私にはいくらでもやること、やりたいことがある。 幼児だった子供が大きくなって、一人でお風呂に入れるようになり

あの老人を惨めと見るか、頑張れと応援するか。

10時ごろ家を出て、ムスメの喘息の薬を医者のオフィスまで取りに行った。歩道を、老人がヨタヨタと歩いていた。 ヨタヨタ。脳梗塞を患った父が病院で歩行練習をしていた時の姿に似ている。比較的大通りといえるその道は、最低速度40mph(=時速65キロ)だが、それ以上のスピードで車がビュンビュン走る。その老人の一歩は10cmくらいだったと思う。右肩を少し落として、ちょこちょこと歩いていた。 20分ほど運転して行く途中に、私のいつもの散歩コースがある。このところ天気が悪く歩いていない

アメリカで何十年も暮らしたあとの老後は、日本で?

どんなに長いことアメリカに住んでいても、50を過ぎた頃から日本人は食の好みが和食に戻り日本に帰りたくなる、と聞いていた。そんなものかねぇ、と30代の頃は思っていたが、いやまじで、実際にそうなった。 が、今回は、私の話ではない。 近所に日系二世のご主人と日本人の奥さんの老夫婦が住んでいた。子供はいない。10年以上前にこの街に引っ越してきたとき、同じく近所の韓国人の奥さんに紹介された。いずれご主人の家族のいるカリフォルニアで老後を送るはずだったのが、まだやれるまだやれると言い