【マンガ】私が精神科患者に親近感を持った理由
精神病を患う人は、30人に一人いるという。今思えば、数十人の親類縁者の中にそのような人が一人や二人いるのは当然だろう。
しかし、今も昔も精神病患者は家に引きこもったり、病院に入る場合には外部社会との接触は限られるので、親戚にそのような人がいても接する機会がほとんどないのが実情ではないかと思う。
この伯父が統合失調症になったことは不幸だったかもしれないし、残念な死に方をしてしまったことは、父にとっては後味の悪い、自分のふがいなさを感じる出来事であった。それは、8才の私の心にも影を落とした。彼の統合失調症発症の原因なった出来事については、父がつぶやくように母と話していたのを記憶している。
しかし、まだあの頃は、心に障害を持った人が生きる場所が残されていたような気がする。もちろん、土地柄もあるだろう。
私の父方は北海道で兄弟5人がそれぞれ農業をしていた。多少の障害があってもリハビリ的にできる仕事は、兄弟たちの家に行けばいくらでもある。それは、障害者にとっては恵まれた環境だったと思う。つまり、当時はまだ生活空間や職種に余白があった。
今のように精神障害者が更生するための制度は確立されていなかったかもしれないが、彼らを支える家族やコミュニテイーがあった。
父の兄弟たちは、迷惑をこうむるとか、体裁が悪いとか、厄介ごとをかかえるという意識ではなかったと思う。父の言動からは、精神障害を持つ兄に対して ”可哀そうになあ” という気持ちを持っていたことが、私に伝わってきた。
現在の精神障害者をとりまく状況については、あまり詳しくはないが、都市化が進み、居住空間も狭く人間関係の薄い社会では、ますます生きずらくなっているのではないかと想像する。