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バリ島ウブドを歩く㉑【温厚な犬たち】
ウブドの宿から一歩外に出ると犬がいる。
私の住んでいるオークランドでは、道をうろついている犬はめったにいない。ごくたまに見かけたとしても、それらはキャンキャン吠えて近寄りにくい。かまれたら困るという思いが先に立つ。
しかし、ウブドの犬はみんな温厚である。首輪をしていれば飼い犬であることはわかるけれども基本的に放し飼いなので、パッと目には野良犬なのか飼い犬なのか判別がつかない。
どちらであっても、あまり気にする必要はなさそうだ。なぜなら、それらは吠えてきたリ、追いかけてきたりしないから。のそのそと歩いていたり、適当に居場所を見つけて寝ている。
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ウブドの日中の気温は30度。犬もだらだらしていたい。通る人が自分をよけて歩いてくれることを知っているのか、歩道を遮るようにゴロンと寝ている犬もいる。きっと私が近づくと匂いでわかるはずだが、全く動かない。病気かそれとも死んでいるのだろうかと思ったが、生きてはいるようだった。
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一見、怖そうに見える犬もいたが、人間に対して威嚇している様子を見たことはない。
確かに、ウブドの街は絶えずたくさんのの観光客が訪れる。外部の怪しい人間だからと吠えていたら、身が持たないだろう。観光客は犬たちに対して危害を加えないことをすでに学習しているのかもしれない。
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ウブドの中心をつらぬいている大通り、ジャラン・ラヤ・ウブド通りにも犬はほっつき歩いている。いつも渋滞しているこの通りを犬がウロウロしていると、ひかれるんじゃないかと見ている私はヒヤヒヤする。
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ウブドの街中の犬は、非常に大人しく危険を感じないが、田舎道を歩くと飼い犬は飼い犬らしく吠えていた。
お面の博物館へ行く途中の道は、観光客ほとんど歩かないような場所だった。そこを歩くと塀の向こうの犬たちは狂わんばかりに吠えていたし、放し飼いの犬はさすがに怖かった。私のような匂いを発する人間を、彼らは経験したことがないのかもしれない。
私は放し飼いの犬とは目を合わせないように、そして、私は彼らに対して何の関心も持っていない風を装って内心ドキドキしながら祈るような気持ちで吠える犬のそばを通り過ぎた。
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宿の前の通りの犬は、去勢もせずにブラブラさせていたり、子犬がまだ乳を吸っているかのような膨らんだ乳房だったりする。
飼い犬はともかく、野良犬たちはこのウブドの街でどうやって生き延びるか。それは、ウブドを歩いているとすぐにわかる。
街中の歩道や階段のいたるところに置かれているお供えである。ある種の葉っぱで編まれた小さなかごに、白ごはんやビスケットを載せて線香をたく。これをあさっていれば、野良犬たちが飢えることはないだろう。
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私が泊まっていたゲストハウスでは2匹の小さな犬を飼っていたが、彼らは血統書付きの飼い犬であり、日本のペットのように服を着せられていた。
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2匹とも人なつっこくて可愛いのだが、かまうのも面倒なので追い払ったり、無視しているうちにヒンヒン言わなくなった。彼らは、私との関係を理解したようだった。
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