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バリ島ウブドを歩く ⑪ 【仮面と人形の博物館】Setia Darma House of Masks and Puppets

今日はバスに乗って仮面と人形の博物館(Setia Darma House of Masks and Puppets)へ行ってきた。一昨日も行ったが、バスのカードを手に入れるための手続きと暑さで体力が切れてしまい、そこそこに帰ってきてしまった。今日は行き方も見どころも大体わかっているので気楽なバス遠足気分だ。

この博物館への行き方は、ウブド王宮から赤バスのK4Bに乗り、Raya Mas 1 で降りる。そこから歩いて25分。このあたりには、もう観光客らしき人はいない。大通りから別の道に入ると、歩いて楽しい道になる。歩道はないけれど車通りが多くはないので、それほど危険ではない。

この道では、ウブドの中心街では見られない地元の人たちの生活を感じる。左官屋さん、ランドリー屋さん、木製の工芸品を作る人、花を供える人。線香を炊き、花を供える人。学校に通う子どもたち。私は外部からの侵入者だから、つながれていない飼い犬は容赦なく吠える。観光客だらけのウブド中心街の犬たちは、決して吠えずこびた顔をしている。

学校帰りの子どもたち

お寺ではないのに大きなブッダの像があった。誰もお参りする様子はない。銅像だらけのこの村の先に、仮面と人形の博物館があるというのはもっともだ。

ひっそりとブッダが座っていた。


道路わきに像が並ぶ。

この博物館は展示館が7棟(確か)あり、そのうち5棟は開館している。敷地内には蓮池があり東屋や芝生もあるので、この庭で静かにくつろぐことができる。一昨日来た時には、東屋から見えるのは田んぼで数人の農夫が三角の帽子をかぶって稲刈りをしていた。今日は働く人はなく、無数のカモやアヒルが稲刈りあとの泥の田んぼを激しくつついている。ここ数日 よく雨が降るので、虫が湧いているのかもしれない。

博物館の東屋から見た田んぼ

私の大好きなこの博物館。私以外に誰も観光客はいない。5、6人の男女が庭の手入れをしている。こんなに綺麗で素晴らしいところなのに人が来ないなんて、もったいないなと思った。でも、私はそのおかげで誰にも邪魔されずにこの博物館を堪能できた。

私は 北海道の農家に生まれて、幼少の頃は近くに住む親戚との付き合いも多かった。土臭いものに恥ずかしさを感じた時期もあったが、この歳になると土着的なものや濃厚な地域の人間関係がとても懐かしい。歳を重ねると失ったものの尊さを感じるものなのかもしれない。多分そんな私の感傷的な思いが、“面”という民族的なものへの興味につながっているのだと思う。

それに加えて、私は絵を描くのが好きで、一時期はオークランド市内のデッサン会に毎週4回通い詰めたこともある。顔を描くのが好きだった。いつだって顔を見るのは好きだ。バリに来ても、いろんな人の顔を見て楽しんでいる。バスに同乗していたおばさん、市場のおばさん。ガードマンのお兄さん。スイカ売りのおじさんなど。
だから私にとって、“面”はとても面白い。

この博物館にはバリ島で作られたものだけではなく、日本の能面やアフリカの原始的な“面”なども展示されている。能面は、抑えられた表情から生まれる情念に凄みがあるし、アフリカの“面”は、魔女狩りの儀式で使われそうなおぞましい感じがあるが、妙に惹きつけられる。

日本能面


いろんな国のお面


とても惹かれるこの木像

こういった“面”は写実的ではない方がより面白いと思う。西洋風なマスカレードは、リアルすぎるし装飾的すぎるので、私はあまり興味を持たない。

今日は気温は30度くらいだったが、予報では体感気温が34度。昨日からの雨で湿気が高い。スケッチは諦めて、写真を撮ることだけに専念した。ニュージーランドに帰国した後もここで撮った200枚以上の写真を、眺めたり描いたりして楽しみたい思う。

博物館内 蓮池





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