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【019】『アンパンマンたいそう』の2番を崇めよ


皆さん。『アンパンマン』、子供の頃見ていましたか?私は母親の教育方針であまり見せてもらえなかった。理由は『アンパンマンがただのおっさんにしか見えなくてキモイから』とのこと。原作ならまだしも、アニメはキモくないやろ。代わりに『パワーパフガールズ』『KND』『トムとジェリー』といった暴力的なアニメばかり見せられ、凶暴な大人になってしまった。・・・まぁアンパンチも暴力的だからあんま変わらんか。この性格は生まれ持ったものなのかもしれない。

そんなアンパンマンにわかの私でも歌える有名曲がある。
その名も『アンパンマンたいそう』

”アンパンマンは君っさ~♪”のやつです。
イントロがデンッ!デンッ!デンッ!デンッ!デッ!ウァ↑ーーーーーーウウ”ァーーーウ”ァーーーテ↑ーレ↓ーレ→ーレ↑ーレ→ーレーレーレーーー♬と、やけに激しいエレキが入るヤツです。・・・・・・もしかしたら世代によって違うかも。上のイントロは、ドリーミングverなるものらしい。オリジナルのCHA-CHA版だと、陽気な喘ぎ声になってた。

突然だが、この曲における2番Aメロの歌詞を知っているだろうか?

とりあえず聴いてみてほしい。

だいじなもの忘れて
べそかきそうになったら
好きな人と好きな人と 手をつなごう

アンパンマンたいそう 2番Aメロ

少年時代、初めてこのフレーズを耳にしたとき、違和感を覚えたのを憶えている(日本語キモ)。「”忘れて”じゃなくて”失くして”では?」と。まるで学校にうっかり置いて来てしまった、みたいな軽いニュアンスで大事なものを扱っている感じがして、どうも腑に落ちなかったのだ。

しかし年月が経ち、ある程度情緒が発達したタイミングで、このフレーズを聴き直した際、一つの解釈にたどり着いた。

この歌における"だいじなもの忘れて"とは、「大事な物が何だったのか、そのものを忘れてしまった」という意味なのではないかと。

それが正だと仮定すると、続く”べそかきそうになったら”も、深みが増してくる。きっと、大事な"何か"を忘れてしまった喪失感がはっきりと心の中にあって、その空虚さで訳も分からず泣きそうになっているのだろう。

そんな局面に陥ったとき、好きな人と手を繋いで、一度忘れてしまった大事なものを思い出す様、励ましているのが『アンパンマンたいそう』2番Aメロ。略して"だべ好き"なのかもしれない。

そう解釈してしまってから、この"だべ好き"が、脳内に定期的に流れてくるようになってしまった。街中でアンパンマンを見かけたときは勿論のこと、何か深い悲しみに襲われたときにも「いつか、この瞬間の感情を忘れてしまうのだろうか」と考え込んでしまったりと、日々の思考にちょくちょく入り込んでくる。それぐらい、"だべ好き"が私の心に強く刻まれているのだ。

現実だと大事なものを忘れてしまった際、失った自覚を持たないまま生きていくケースが大半だろう。それ故悲しむことすらもできないはずだ。ただそんな虚しい人間にならないためにも、私たちは、大事なものが何なのか、しっかりと心の内に留めておかなければならない。


私の"だべ好き"に対する解釈が、やなせ先生が伝えたかったメッセージと一致しているとは限らない。ただ私は、この持論を気に入っている。私が貫きたい生き方、スタンスと一致しているからな。

私はもう、アンパンマンになる準備ができている。
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