今日はヘアーカットの日
登場モノ
鬘カツラ子:鬘の妖精
昆布櫛婆:櫛の妖精
鬘カツラ子(かつらかつらこ)と昆布櫛婆(こんぶくしばば)が空調設備の整ったほの暗い場所でおしゃべりしている。
櫛婆:私たちモノにしちゃあ、上り詰めたね。
カツラ子:そうですね~、ここは博物館ですから、選ばれしモノって感じですか。
まぁ、ここに置かれるなんて、モノたちの髪の悩みの奥深さが分かります。
昔っからハゲているモノは存在していて、それは男だけの特権的悩みじゃなくって、女も。
なんたって最古のカツラは女性のカツラ…
あいつはどこぞの超有名な博物館で私たちよりかなり、優遇されているみたいです。
櫛婆:そりゃそだよ、世界最古のカツラじゃね。
お前さんはそんなに歴史があるわけじゃないだろ?
それにしても昔の人は木の実だとか昆布食べてても髪の悩みはあったんだねぇ。
カツラ子:私は明治の生まれですよ。そうそう、明治と言えば「女子の断髪禁止令」があったっけ。
それで4月3日の今日はヘアーカットの日なんですけれど女子がショートヘアにするときには届が必要だったとか。
櫛婆:それ、完全に男尊女卑の男女差別!!そんな日なんなら、非難轟轟。
カツラ子:見つかったら罰金取られてたらしいですよ。それが40年近くも続いちゃったんだから。
櫛婆:罰金を懐に入れっちゃってたんだろうねぇ、だからクダラナイ法律でも続いたんだよ。
なんて嘆かわしいんでしょ。私はもう少し、面白い話をしようかね。
カツラ子:なになに?
櫛婆:昔、とっても仲の良い夫婦がいたんだけれども、奥さんに先立たれてねぇ、
それでも妻恋しいと、男は黄泉の国へ行ったのさ。そして妻と会うことは出来たんだけど
彼女はすっかり魔物になっていたんだ。
魔物になった姿を見られた奥さんは「恥をかかせられた」と
怒ってね、手下の魔物たちを男に仕向けたのさ。
男は自分のカツラを投げつけたり櫛の歯を投げつけたりして逃げおおせました。御仕舞い。
カツラ子:まさか~、そんなの神話の話でしょ…って、昆布櫛婆、歯が抜けてる…
じゃ、あなたは、もしや、その時の?
櫛婆:そりゃあ、あんたの早合点さ、だって私の名は昆布櫛婆じゃなくって、
Comb櫛婆だよ。どうしてこんなに立派なところに紛れちゃったかねぇ、ヘッヘッ。
カバー写真
ブラッサンプイの婦人像(B.C.36,000)フランス
大変貧乏しております。よろしかったらいくらか下さい。新しい物語の主人公を購入します。最後まで美味しく頂きます!!