今日はサンゴの日
好は彼の武器である目を潰され、耳に鉄の杭を打たれ、珊瑚色した真っ赤な血溜まりにうずくまって、
絶命する寸前だったが、弟たちは無事だろうか?神様、どうか、幼い兄弟を助けてくださいと祈り意識を失った。
中は最後の爆弾を無駄にすまいと、自分の体にネズミ取りの糊のように張り付く爆弾をくくりつけ、
アテローム軍団に単身、突撃し、自らの生皮が穿がれる激痛に耐えながらベトベトになりそこに倒れた。
球と胞は目の前の惨劇を受け入れることができず、縮こまっていた。
球
守らなければならなかったずんぐりむっくりさんの身体をメチャクチャにしたのは誰?僕らなの?僕はもう、アテロームたちを一欠片も食べられないよ、胞兄さん、腹がはち切れそうなんだ。
胞
球、可哀想な球、ああ、僕らはアテローム軍団の罠にハマって主に危害を加える側に回わされたんだ。主のために僕らが死ぬのは何でもないことだ、
でも僕らがずんぐりむっくりさんを窮地に追い込んだとしたなら、僕らはなんのために生まれてきたんだろう?
球、もう、無理をしないで、もう、無理をするな。好兄さん、中兄さんは何処だろう?
球
胞兄さん、霧でよく見えないけれど、あそこの吻合部で、倒れているのは好兄さん…
?今、ツバを吐きかけられたのは好兄さんだね。好兄さん、中兄さん、みんな、みんな、死んでしまったんだ。
そうして球は泣き出すと、腹が裂けて中からはドロドロとした未消化のアテロームたちが飛び散り、活性酸素は黒い雨のように降り注ぎ、胞の顔を濡らした。
胞は
球〜、球〜
と叫んで、
わずかに残っていた殺菌リゾチームスプレーを自らに噴射した。
溶岩のようにドロドロと流れ出るアテローム軍団は好中球胞きょうだいを飲み込み、彼らの姿をコレステロールへと変身させた。
つづく
大変貧乏しております。よろしかったらいくらか下さい。新しい物語の主人公を購入します。最後まで美味しく頂きます!!