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またあの味を求めて

即席麺に足りないのは愛だろうか?

食べても食べても満たされない理由。よしみの味。

インスタント生活に悪いところはない途いう人がいるけど、私は満たされなかった。

おいしいだけじゃ、少量だけじゃわからなかった。

でも倍の量を食べるわけにもいかない。

ふと思った。

母のみそ汁。それだけあれば十分なのにと。

始めての土地で、知らないだしのみで作られるみそ汁は、腑に落ちない味だった。

ルーレットで出て欲しい目のとなりで止まるような。

みそ汁だけど、これはみそ汁じゃない。そう思った。

人が自炊する理由を理解できた。

"あの味"が食べたいからなのだと。

新しいものはワクワクするが、安心も欲しくなる。いつもと変わらない何か。

心を込めて作ったとしても、相手が知らなければ意味がないと言うが、意志疎通ができる間柄だからこそ作ってくれたこと自体に愛を感じる。

だからお店よりだしが利いていなくても、"おいしい"のだと。

どれだけ母に胃袋をつかまれてたのか、今わかる。

父がなぜ、祖母からもらった食べきれないほどのおかずを一生懸命たべるのか良くわかった。

湯気に顔を寄せかぐ匂い、食卓に並んだ待ちきれないほど美味しそうなごちそう、笑みのこぼれるおいしさ。

あぁ、胃袋をつかむって、恋しさを与えることなんだな。そう思った。

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