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3/25 日記 幽霊が近すぎる

読んだ。面白かった。
近畿在住ホラー好きとしては「あの山がモデルか」とわかる感じもリアリティがあって良かった。最近読んだ中では呪い!有害!死!お前も終わる!な感じで一番怖かった気がする。
おすすめです。


こういう怖いお話を読んだり見たりすると、やっぱりお風呂とかトイレとかで一人になった時、ふ……と思い出してうっすら怖くなる。
しかし、その怖い想像はいつも秒で消えてしまう。

なぜか。

我が家でその想像をすると幽霊が近すぎるからだ。


確かに私はやや小ぶりな中型犬が機嫌良く暮らせる、程よいサイズの部屋に住んでいる。

しかし、限られた土地の中、メインの居住スペースにしっかりと場所を割いてあるため、お風呂、脱衣所、トイレ、玄関、廊下などの多少狭くても差し支えない「家の怖いっぽい場所」は、人が二人立つと満員になってしまう。

「風呂場で背後に誰かが立つ」恐ろしい想像をしたところで、2秒後には「いや、近すぎるな……」と冷静になってしまうのだ。

人によるかもしれないが、幽霊が近すぎると「何でそんなに近いのか」みたいなことが気になりすぎて幽霊が怖いことを忘れてしまう気がする。
超自然的な恐怖よりも、パーソナルスペースに侵入される本能的な嫌悪感が勝り、現実的な不快感を覚えそうだから。


こちらが全裸の丸腰だとして、この狭さで背後に立ってたら……。

まず、反射で叩いてしまう………………。絶対………………。そして手を出してしまったことに反射でビビってしまう…………。あっあっすいません……。

そういう現実的な対応をとった時、幽霊がそのまま消えたらまだ怖い。けど、立ってたら「どういうこと?」という気持ちが勝って、お湯とか洗剤をついかける気がしてくる。


じゃあ玄関に出たら?

この狭い玄関に幽霊が出たら……。

やっぱ近すぎて靴べらで殴ってしまうだろう。
恐らく役に立たない長くて分厚い百均の木の靴べらで殴る。反射で。玄関に知らない人がいたら反射で不審者認定してしまう。
強盗は襲われる前にとにかく殴れ、魂にそう刻まれているから。(幻影旅団の占い結果)


じゃあさ、トイレに入ってる時にさぁ……ドアの下の隙間から手が出てきたらどうしよう……。にゅっと……。

この場合もドアを開けると100%ドアの向こうにいる人に危害を加えてしまうため、どう考えてもこちらが有利だ。
パンツを上げて逃げられる前にめちゃくちゃドアを開く。パンツを上げて逃げられる前にめちゃくちゃドアを開く!必勝!!!!ドアの素振り!!!!
しかもこちとらお尻を出しているのだ。
自分がお尻を出している時に幽霊が出たらやはり本能的な嫌悪感が勝り、いっそ「戦意」が湧いてくる。負けてられるか、勝つぞ、と。


という具合に、幽霊が近すぎると「自分がどう対応するか」という想像までしっかりしてしまい、いつも刹那的に抱いた不安がそのまま霧散してしまっているのだ。

怖くなる前に生存本能が働いてファイトを想像してしまっている。


幽霊って、近すぎると怖くないんじゃないか。


例えば、キッチンで料理をしていて、ベランダの方を見ると知らない人が立っている。

こうなると、私が叩きに行く前に向こうから何かしてくる隙が生まれて恐ろしい。いや、ちょっとまだ近すぎるかも。家の中はやっぱ近すぎるかも。バーベルか包丁持って行っちゃうな。


でも、部屋の外だったら怖い。
夜道、マンションの共用部分の廊下、エレベーターを待っている時、駅……。

誰かが向こうに立っている。引き返して逃げるか、そのまま通り過ぎるか……。そんな選択肢がある分、次の瞬間どうなるかが想像できなくて恐ろしい。

もしも走ってやってきたら怖い、もしも消えたら怖い、もしも突然ゆっくり左右に揺れ出したら怖い。怖いから背を向けて引き返したら、背後を確認できなくて怖い。


こちらの行動を無限に増やす時間と空間の尺が未来を不確定にし、幽霊を怖いものたらしめるんだろうな。

殴る以外やることがない場合、やっぱ殴っちゃうから。

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