空虚の棺

ほんの少し
何かに躓いてしまったときに
一度でも
「今までどうやって空を見上げていたっけ?」
なんてことを思ってしまったら
次の一歩を踏み出すことが
びっくりするほど難しくて
僕たちは
それを想像出来るのに
実のところ
それが自分の身に起こるなんて
思わないまま生きている
深夜二時の街灯で
虫が死んでいくことだとか
そういうのとおんなじだって
そんなふうに思ってる
どうしようもないよね
そうなってしまったんだから
他人に責を求めない代わりに
手を伸ばしてみることもしないで
実際
何が出来る訳でもないけれど

この世界は本当は透明なはこで
誰だって触れ合っては生きていけなくて
貴方は僕らより
ほんの少し先に
その事実に気付いてしまったのかもしれないな、
なんて
蔓延る蔦がすべてまぼろしなこと
貴方は気付いていたんだなって

抜け殻だけ
残して

やっていられないよね
きっとそう思ったよね
でも
この世界がどれだけ貴方を認めなくとも
どれだけ僕らを拒絶しようとも
この世界は美しいし
貴方の価値は損なわれない
そんなことを思ってしまう
僕は
馬鹿かな
ひどく
臆病に生きているかな

貴方のいなくなったはこの中は
つまらなくて
やることがなくて
だから
そんなことばかり考えているよ。
明日、

躓くのが僕であったら良いのにと
そんなことを思いながら
今日の空の色を
貴方へ向けて記している

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