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コロコロ初のラブコメ漫画『ぷにるはかわいいスライム』は俺の心から欲していたものを満たしてくれるかもしれない


2022年3月15日にコロコロオンラインにて「週間コロコロコミック」なるwebマンガコミックが創刊された。コロコロといえば月刊誌でおなじみだがこちらでは週間連載、そこには『ゲームセンターあらし』や『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』やギエピーでおなじみ穴久保幸作氏の『ポケットモンスター』、さらには『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』や『コロッケ!』『デュエル・マスターズ』『怪盗ジョーカー』『ウソツキ!ゴクオーくん』などといった往年の名作が幅広く掲載されている。

そして週間コロコロからの新連載スタートする漫画も存在する。個人的には『都市伝説先生ウラモン』も主人公である古ノ裏門戸先生がかわいらしく勧めたい(絶対こういうキャラ好きな人いるから見てくれ)が今回話すのはアレである。公開されるや否やインターネットの話題を一斉にかっさらったあの………

(1話扉絵より)

コロコロの居候ギャグ漫画キャラとずーっと生活し続けたら…そんな想像誰もがするのではないでしょうか?しますよね。

(作者の宣伝ツイートより引用)

まえだくん作『ぷにるはかわいいスライム』だ!!「コロコロ史上初・異色のラブコメまんが」と銘打ったように本来コロコロ本誌じゃ摂取できないだろうまさかのラブコメものだ。しかもそのヒロイン枠がスライム少女・同居幼馴染・ボクっ娘とこれでもかと盛りまくった設定で純粋にかわいいキャラデザ、さらにはスライムの体を活かしきったちょっとスケベな描写(初っ端から男子と一緒に寝てたベッドを下半身から漏れ出た体液でベトベトにしたりする。なにひとつ嘘は言ってない)も相まって「小学生がこんなの見たら性癖こわれちゃう!!」というインターネットで好まれそうなパワーある声が多数湧き、おそらく週間コロコロの連載陣において一番注目を浴びた作品ではないだろうか。(ちなみに週間コロコロコミックは月刊本誌読者以外の層、いわばSNSの反応や感想を重点的に考慮してるのでTwitterを使用できる中学生以上の方々もターゲットに含まれてるだろうというのは覚えておこう)


あらすじは上のリンク先の1話を読めば分かるが、いわば「コロコロ作品によくある居候ギャグ漫画もののマスコットくんが成長したらかわいい女の子になってしまって……」というもの。男性サイドの主人公・河合井(かわいい)コタローが小さい頃に作ったスライムに命が宿り、かわいいマスコットキャラを模した「ぷにる」となった。コタロー少年はぷにるを大切な“ともだち”として一緒に暮らし……そして7年後、中学2年になったコタローの目の前で一緒にすやすや寝てたのは多感なお年頃の男子には目のやり場に困る透き通りそうなネグリジェを着た美少女……彼女?こそが「ぷにる」だった。そのスライムはかわいい少女の姿を模していたのだ。後で話すが自分はこのキャラクター設定の発想の巧妙さに驚愕し、そしてかつてはコタロー同じベッドで一緒に寝てたのが当たり前だったのにと顔をしかめるぷにるのかわいさにやられこの漫画の虜になってしまった。自分はあまりラブコメものとか興味を持たない人間なのだが、この描写にはぶっ刺さるものがあった。この漫画には頂点を取って男女問わず人気が出てかわいいグッズを販売してアニメ化したりしてほしい。#ぷにるに100万円プレゼント で世界中から搾取してほしい。1話の時点でここまで思っちゃうくらいに夢中にさせることはなかなかない。

そんなこんなで大盛り上がり中のぷにる、確かに話題になることはとても素晴らしくスタートダッシュは最高のものを切り出したのだが一時期的な熱狂は冷めるというもの、ブームの一環として注目を浴びて終わりという事例はごちゃまんと存在する。しかし、しかしだ、さっきも言ったが俺はこの漫画に頂点を取ってもらいたい。なぜならこの漫画には付け焼き刃で終わらない面白さの地力を感じてるし、そこから生じるコタローとぷにるの物語がどう紡がれどのようなラストを迎えるのか気になってしょうがないからだ。にわか景気で終わらせたくない。ということでここには個人的にそこまで夢中にさせたポイントを記していきたい。


・コロコロの延長だからこそ書けるラブコメもの〜ラブコメはラブと“コメディ”を併せた造語である〜


まず今さらながら改めて承知しておきたいというのは「コロコロコミックでラブコメは普通はやらない」という当然至極の常識である。そりゃ探せばヒロインとのドラマがある漫画だってあるかもしれないが基本的には女の子との恋愛をメインに描くなんてのは全然ない。コロコロはおもちゃとかカッチョいいヒーローとか爆笑ギャグとか……そういう小学生児童が好むものをメインに扱うコンテンツだ。クラスのあの子にホの字とか色恋に興味を持ったら自然と卒業して別の雑誌に掲載されてるラブコメものを読むようになる。それでも児童誌においては売上トップクラス、まさに商業上のムダを極力削ぎ落とした洗練されし美しさ。載せられる誌面も有限であり需要のない作品なぞやる訳がないのだ。

そんなコロコロコミックがついにラブコメものをやるのは革新的でもあるし、なにより先程も言ったが週間コロコロコミックは児童向けだけを前提にしてないコンテンツ(コロコロアニキとかもそうだね)だからこそ可能な挑戦でもあろう。しかしそんなコロコロ発のラブコメは前例という目印もなく航海させるような無謀な賭けなんかではなく、むしろコロコロの延長線だからこそ描ける他作品のラブコメにはなかなか見られない独自性という強固な地盤がそこには存在していた。いわばラブコメのラブ&コメディ居候ギャグ漫画の延長としての作風だ。


いくらかわいい女の子の姿を模してようがぷにるはスライム、コタローにベタベタひっつけば形が崩れて取り込んじゃうし、人気アイドルに変形して胸が大きくしすぎて「おっぱい揉ませていただけませんかね?」とクラスメートに頼まれたら(なんちゅう欲望に忠実な行動力だ!)胸だけスパーン!と切り取って渡したり……やってることが完全にコロコロのギャグの延長である。同じく週間コロコロコミックで人気過去作品として掲載されてる『ケシカスくん』の自身の体を活かした消しゴムギャグのそれに近い。普通のラブコメ漫画ではとうてい描くことができないコロコロならではのギャグ。あと多少えっちな展開になろうとも台無しになるようなギャグにしちゃえば却って下品さが減少されて見やすくなってると個人的には感じた。エロも露骨すぎると下品に感じちゃうし、いくら児童向けでないからといってやりすぎはなんかコロコロらしくないし……

そしてそんな居候ギャグ漫画のマスコットに振り回されるコタローのツッコミにも注目すべきだろう。初っ端の体液でベッドをビショビショにしちゃったぷにるに容赦なく脳天から手を叩きつけるコタローくん、これも完全に居候ギャグ漫画でマスコットくんが粗相した際のツッコミのそれである。バカをやるギエピーをはっ倒すレッドのそれ。普通の人間の女の子相手なら暴力すぎて不安になるが彼からすれば彼女?はあくまで姿を模してるだけで小さい頃からずっといたスライム……だからこそ可能なツッコミでのメリハリをしっかりつけてるのでとても見やすくなっている。これは作者のまえだくん氏がツッコミ役に強いこだわりがあるゆえだろう。まさにラブコメというコロコロでは前代未聞のコンテンツをやりつつも、その地盤にはコロコロが長年培った居候ギャグ漫画の延長としてのノウハウがちゃんと根付いているからかつてコロコロ読んでた人ならすんなり受け入れられるようになっている。


・設定の落とし所がめちゃくちゃうまい。〜3年前の読み切りがまさかの返り咲き〜


続いてはこれだ。キャラクターの個性を出すためにはキャラ付けとして様々な設定を盛ることになる。しかしそれはあまりにゴチャゴチャつけすぎると却ってキャラクター性が読者に把握されにくいし、そんな設定がただ付けられ活かされてないならなんでそんな無駄な装備つけたのとなってしまう。設定によるキャラ付けというのは難しいものなのだ……そんな中でヒロイン枠のぷにるの2話時点で判明している設定を見てみよう

・スライム娘
・居候系幼馴染
・最初はマスコットな見た目なのに成長して美少女になっちゃった
・ボクっ娘ですます口調
・自分が「かわいい」という自意識が高い

かなり盛りまくってる。属性の重装備か。しかしそんな設定盛りだくさんであってもそれらが乱雑に散らばってなくすべてうまい具合にまとめあげられていると自分は感じている。なぜならそもそも彼女?ぷにるは居候ギャグ漫画のマスコットキャラの延長線上に存在するからである。

まずは一人称がボク&ですます口調の部分。普通のかわいい女の子がそんなんやったら「ああそういう設定のキャラなのね」とワンクッション置いてから認識されるだろう。ぷにるもその一人なのだが彼女?には元マスコットくんという過去がある。小さなマスコットくんが一人称ボク&ですます口調ってのは割とよくある設定であり、つまり彼女?の一人称ボク&ですます口調というのは自分自身の特異なキャラ設定ありきで存在するという説得力があり、そのキャラが抱える設定のフレーバーをさらに芳醇なものへと昇華させているのだ。キャラの属性をなるべきしてなった絶対的なものにまで押し上げたこの発想が天才的すぎると感服してしまう。

そしてその設定の根本に存在する「コロコロによくある居候ギャグ漫画キャラが時が経ち美少女に成長して…」のやつ。これについては…なんと作者がかつて別冊コロコロにて読み切りで掲載した居候ギャグ漫画『かわいいぷにるはスライム』が存在するのだ。まさかマジで「かつてあった漫画の後日談が〜」みたいな雰囲気すら出てしまうとは!

ちょっとだけ試し読みすることができる。ちなみに掲載されてた別冊コロコロ2019年4月号(NHKのチコちゃんがコロコロのキャラを叱ってる表紙が目印)はぷにるの人気もあってか執筆当時ではAmazonの在庫が空になっていた。ふろく抱き合わせ商法とかもあるコロコロの電子書籍化はようやっと最近になって行われたのもあって古いのはなかなか手軽に読めないものなのだ……

まあAmazonで買った内の一人が自分なんすけどね。中身はギャグ漫画として普通に面白かったのにコロコロ本誌では全く人気が出ずに途絶えていた。のだが……(みんなも好きな作品が続いてほしいならアンケートなりで声が相手に見えるようにしよう!今作なら #ぷにるはかわいいスライム で感想をつぶやこう!)


とはいってもあくまで読み切りは読み切り、現在連載してる本作の前日譚ではなく、作者曰く当時まったく人気なくて編集も忘れてるから新作として企画提出したら通ったという漫画家よくあるな過去作の再利用というもの(分かる人には分かる風に言うと平成武装正義団が後の覚悟のススメのプロトタイプになってるみたいなやつ)。先程言及した一人称ぼく&ですます口調も読み切り時代から引き継いでいる。しかしそれでも「あぁなんか当時そんな作品あったな〜ってそれがこうなっちゃったの!?」という『ぷにるはかわいいスライム』の設定をより深める存在になっていると自分は捉えている。これは偶然の産物だろうが…とにかく偶然もまたいいものである。

そんでもって最後の「居候系幼馴染」だ。これについては、いやこれこそが一番重要だと思うし、これでラブコメをやるというのがタイトルに書いたように“俺の心から欲するもの”なのだ。


・幼馴染ガチ勢が描く幼馴染系ラブコメ〜「アイシテル」と告げたらきっともう二度と戻れないかもしれない〜

(Crystal Kay「こんな近くで」より引用)


まずは今作『ぷにるはかわいいスライム』の作者まえだくん氏が個人的に描いてる作品『学園ケンQ部』について知っていただきたい。

普通の男子高校生・理梶賢作(通称ケンちゃん)が小さな頃から家族のように一緒に過ごしてる幼馴染の女の子・才媛鈴(通称Qちゃん)の変な発明に振り回されたりする日常コメディ漫画である。出版社や仕事とは一切関係ない個人的に描いてる作品とは思えないハイクオリティぶりで普通に面白い……のだが見所はなんといってもケンちゃんとQちゃんの異性幼馴染コンビが繰り広げる関係性であろう。

リンク先の話だけでも「水筒を互いに飲み回しても気にしてない」「男の部屋に平気で上がりこんでスカートで寝そべってる」「なんならボディタッチとかも平気でしてる」「なんなら互いに(見た目は)裸になっても性的な展開は起こらない」と異性とはいえ小さな頃からずっと付き合いある腐れ縁な幼馴染だから可能なやつばかり(そうか?)
さらには他のやつでは「水着の自慢したいだけで水着で訪問し男の部屋で水着のまま待っている」「バレンタインなんざ僕は無縁ですよと嘆いてたらQちゃんが来るも、彼女には別にそういう期待はしてない」「別の異性幼馴染コンビが買い物してるのをデートだとからかうが、傍から見れば自分達のことを棚に上げてるように見える」「外伝でお互いに同じベッドで寝てもドキドキしたりしない」「でもここぞという時にケンちゃんのえっち!と言う(ずるいぞQちゃん)」「でもQちゃんが不審者に遭遇したら颯爽と護ってくれるケンちゃん」と……すごい。本当にすごい。幼馴染もので俺が見たかったものがこれでもかと詰まってる。なぜならこのケンちゃんQちゃんは「作者が考えた最強の幼馴染(リンク先はケンちゃんかわいいよねという感想からの呟き。俺もそう思う)」だからだ。そしてその作者まえだくん氏は幼馴染ものが大好きなのだ

幼馴染ガチ勢だこの人!こんな人が幼馴染系ラブコメを描いたなんてそりゃ……そう、幼馴染。『ぷにるはかわいいスライム』はコロコロ定番の居候ギャグ漫画のマスコットと小さい頃からずっと一緒に暮らしていれば、そのマスコットとは実質幼馴染であるという天才すぎる発想で幼馴染ラブコメものへと落とし込んできた。本当に過去の読み切りの設定(もちろんラブコメ要素皆無とだけは言っておく)を再利用して自身の趣向にまで発展できるものなの!?これだけでも感服してしまうのだが、さらにまえだくん先生はもうひとつこんなツイートをしていた。

このツイート内に出てる「みかちゃんとせげくん」も彼が描いた異性の幼馴染コンビであり、天乃宮美香(ボクっ娘お嬢様)が幼馴染せげ(無口でかわいいもの好きな竜人)のことをケンQコンビと違い男性として意識しちゃって……な関係だ。そんな彼らは学園ケンQ部にもレギュラー出演してるぞみかちゃんがQちゃんのトンデモ発明の実験台にされるというあんまりな役回りだが

ここにて言及されている「異性と意識したら終わりだから反発してるタイプの幼馴染」、これこそが『ぷにるはかわいいスライム』でのコタローとぷにるの関係と言えるだろう。幼馴染ラブコメものといえば「周りはヒロインのことかわいいとチヤホヤしてるが、小さい頃から見てる俺だけは奴の本性を知ってるので女としては……」がお決まりのパターンだが、そのパターンに嵌め込むずっと一緒なヒロイン側を美少女の姿を模したスライムとしているのだ。それも元は女の子どころかマスコットキャラとして存在してたのを。というか今の所ぷにるの性別すらあるのか正直分かってない…(だからこの記事では彼女?と表記している。コロコロ本誌での出張宣伝1Pまんがにおいてマスコット時代を「ぷにるくん」と呼んでるし)

こいつは彼女でもかわいい女の子なんかでもねえ…!ぷにるっていうただの化け物のスライムだ!

2話のコタローの台詞と同話の1シーンより。そりゃクラスメートの男子2人から見たら彼女?は大半の読者が捉えてるように「変幻自在なかわいいスライム娘」かもしれない。けれど偶然ぷにるを生み出してしまったコタローは正体を知っている……自身の体をかさ増しするために洗濯のりとホウ砂水を服の上(を模した素肌)からドバドバ注入しているように、こいつは子どもでもホムセンで材料買って作れるような“玩具としてのスライム”なんだ。かくいう本人も自身の体を切除して提供した際に「スライム遊び」と言ってるし。ファンタジーに出てくるホムンクルスみたいな人造生命体でもピキーと鳴くようなスライムとしての種族でもないのだ。なにかと性癖狂うなんて言われる今作だが自分はこのコマにて奴は異種族どころか生命体ですら怪しいとまじまじと見せつけられてるようで一番衝撃を受けた。てかこれと恋愛やるのマジで?

こうなると「異性として意識したら終わり」の意味もかなり変わってくる。そりゃかわいいマスコットとしてなら意思を持ったおもちゃ相手でも友達として親睦を深められるだろう…一緒に暮らした7年間はそうだった。しかしそんなおもちゃなスライムが今じゃドキドキしちゃうくらいかわいい女の子の形をしている……幼馴染ラブコメ定番の「女として見れない」の部分というのは視聴者という第三者目線からはなんだかんだで贅沢な悩みだよなと思われがちだが(結局かわいい方がいいしそれがラブコメとしてのウリだから)今作はコロコロ定番のホビー販促漫画でありそうな“おもちゃ寄りのスライム”を対象にすることによって、その「異性として意識したら終わりだから反発せねばならない」気持ちについてこれでもかと説得力をつけている。もう一度言うが過去作の読み切りの設定を再利用してここまで活かせるもんなの?すごすぎやしませんかね……

しかし今作はラブコメ漫画、コメディはコロコロらしく抜かりないが“ラブ”という恋愛要素もウリである。まずはさんざんコタロー目線でこのスライムのことをあーだこーだ言ったとはいえぷにるは普通にかわいい。それも女の子としてのかわいさを備えて。同じベッドで眠る可憐な美少女……いくらその正体が昔からどんな奴か知ってるおもちゃのスライムとはいえ年頃の少年ならばドギマギしてしまう。幼馴染ラブコメものあるあるな「友達を“女”として見てしまう変遷の瞬間」を、姿形を自在に変えられるスライムという形で視覚的にこれでもかと分かりやすく見せつけている。再三言うが読み切りのネタの再利用にしては設定の使い方があまりにもうますぎる……

そんなおもちゃなスライム・ぷにるがなぜ女の子の姿を模してるのかというと「コタローにかわいいって言ってもらいたいから」という健気で、それでいて相手が変わってしまった事実を証明してしまう切なさが漂うもの。コロコロ出張宣伝1pマンガでの回想シーンにおいて生まれた際に「かわいい」と言ってくれたあの言葉…そんな言葉をかけてくれた少年とずっと過ごした素敵な日々……7年後、少年は「かわいい」と言ってくれなくなった。むしろ距離を置こうとするようになった(それでもめげない)。かわいいスライム・ぷにるにはその理由が、コタローがどうしてそうなってしまったのか……友達が変わりつつあるのをきっと分かってないだろう。

「コロコロはホビーとか扱う児童向けの雑誌であり、恋愛に興味を持ったら卒業する」序盤に書いたように皆さんもご存知のお決まりごとだ。中学2年生のコタローはきらら先輩にうっとりしたりアイドルの梨花ちゃんを推したり…決め手は同居人との口喧嘩の際に「スライム遊びする小学生って歳じゃねーの!」とすっかりコロコロ卒業するお年頃になってしまった(キュティちゃん好きはコロコロの管轄外なので…)。それでも彼の遊び相手…小さい頃からずっと友達だったスライムは昔みたいに「かわいい」と言ってもらいたい。だから彼が興味ある女の子の姿を真似る。けれどその姿が却って困らせることに気付いてない。お前はおもちゃのスライムであって、女の子ではないんだ……それなのに………


幼馴染。それは小さい頃に仲良くなった関係のこと。そんな関係が成長しても変わらず続くパターンだって存在する……そして成長と共に関係が変わってしまうパターンも勿論ある。なにかと性癖破壊うんぬんで話題になりがちな今作だが、よく見ると幼馴染ラブコメとしての「互いに成長してしまったことによって生じてしまったズレと、それでもなお関係は続けられるのか」という成長期の子どもらしい等身大の葛藤を真面目に含んでいると自分は感じた。さすが幼馴染もの大好きな作者だけあってコロコロとしてのギャグで見せつつ幼馴染ラブコメ要素はしっかり入れ込んでいる。そして自分はそんな幼馴染ものとしての長く付き合ってる仲ゆえの強い想いや、長い付き合いがあるからこそ拒否してしまう複雑な気持ちの繊細さに魅入られてる部分もある。ありふれた言い方をすれば“尊い”だろうか?

それはともかくこの記事の執筆当時はまだたったの2話までしかやってない。どこかミステリアスな雰囲気ある(あとでけーおっぱいもある)きらら先輩が何者なのか、そもそも扉絵にいる後ろ髪束ねたイケメンくんはさらに何者なのかと分からんことだらけ。ここから彼と彼女?はどんな物語を繰り広げるのか?たぶん前途多難だとは思うが、ひとつだけどんな結末を迎えるかの確信もある。それは……


これはスライムのぷにると中学生のコタローがともだちじゃなくなるまでのお話…。

(1話ラストより)


“ともだちじゃなくなる”って……マジかよ!?こんな幼馴染ガチ勢の描く幼馴染ラブコメで“ともだちじゃなくなる”は……そういうことじゃん!?オイオイオイオイとんでもねえことになりそうだなこの漫画……


・おわりに

いかがだっただろうか。基本的に自分は完結した作品しか執筆しないポリシーがあるのだが、今作については1話を読んだ時点であまりに衝撃が走って熱気冷めぬ内に書いてしまった(他にこのパターンは忍者と極道がある)とにもかくにも自分はこの漫画にはにわか人気で終わらずいてほしい。幼馴染もので救われる命だってあるのだから


ということで今回はこれまで……と言おうとしたが、せっかくだし作者まえだくん先生の他作品や、作者が愛してやまない“アレ”についても宣伝しておきたい。なおこれは個人のおせっかいでやってるのでそこについてはご了承ください

まずはまえだくん先生が手がけてる他のコミック2種。ふなっしーのは梨の体を切断するギャグがあるけどぷにるのスライムギャグ見るにそういうの好きなのだろうか…太鼓の達人は「良」が有名かもしれない

なんと学園ケンQ部のQちゃん少々ケンちゃんのLINEスタンプが販売されてるよ!どれも日常生活で使いやすいものばかりだ!(これは私の作ったダンスマシンだはよくわかんない)

そしてまえだくん先生を語る上で忘れちゃいけないモリ・ゲーム。かの有名格ゲーマー梅原大吾とチーム組んだ経験ある程の実力を持つ「もりっつ」氏がアラサー以降には懐かしいゲームをメインに配信プレイする……のだが見ればあまりのすごいプレイに啞然とするだろう。まえだくん先生はそんなモリ・ゲームの大ファンでロゴデザインやTwitch用スタンプを製作したりとかなりの貢献してるし、なんならぷにるでバズったらモリゲーム宣伝するべきと積極的に布教している。こわい……

それでは!

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