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花寺のどかはなぜダルイゼンを助けなかったのか/ヒーリングっど♡プリキュアについて後編

見出し画像は39話「ついに決戦!?とびこめ!ビョーゲンキングダム」より。プリキュア達の活躍によりビョーゲンズは心を入れ替えすこやかになり、すこやか市への奉仕作業をニコニコ笑顔で行って……というひなたが見た変な夢。当時は2021年の新年早々でアバンがこんなんだったので初夢という部分もあっただろう。それにしてもグアイワルとシンドイーネはともかく今回メインで話すダルイゼンは本編では絶対こんなふざけた顔はしないのになんちゅうキャラ崩壊じみたことを夢想してんねん平光……
……自分はこんな調子のいい絵面が出てきて即座に感じ取った。「お前たちビョーゲンズがなぁなぁで許されるような最後には絶対しない。笑って逝けると思うなよ」という宣告を。

・飛ばしてもいい前置き

《前回のだいたいのあらすじ》『ヒーリングっど♡プリキュア』の42話「のどかの選択!守らなきゃいけないもの」にて命の危機に面してたダルイゼンを拒絶し助けたくないと力強く言い放った花寺のどか、その行為を前に視聴者はどよめいたし感想も賛否両論で大いに揉めたし新番組予告で人魚がマンホールから出てきた。俺はどうしてこのような展開になったのか悶々し続け放送終了から半年後になってようやく辿り着いた……ヒープリというのは普通の女の子が心から感じたままをなんとしてでも貫きたいという割と初代ふたりはプリキュア寄りの作品だったという事実に。そしてそんな花寺のどかに心から無理だと思わせたダルイゼンとは一体どんな奴だったのか…………

ということで前回の内容の続きになります。今回はいわば敵サイドのビョーゲンズをメインに扱ってるぞ。(注意!:この記事においてビョーゲンズ特にダルイゼンについて書いてたら結果的にけっこう容赦なく批評している内容になってしまいました。なのでそこらへんに対してナイーブな方は覚悟して見るか今の内にブラウザバックした方がいいかもしれません。この記事に対して批判とかしたりお気持ち表明したりするのは構わないけど、だからといってそれに対応して内容を変更するつもりはないので……)

あとリフレインについては割愛させていただきました。彼についてはビョーゲンズ無関係だし。そんな悪い奴じゃないし。さすがのすこやか市の住民のみなさんだと心温まる救われ方だったよね……旧校舎を美術館にするだなんて観光業で財政とか潤ってるんだろうなぁとか思ったり



・ビョーゲンズとは何者なのか

プリキュアシリーズもかれこれ十数年と長き歴史が続き多種多様な作品が描かれてる。それぞれに色々なプリキュア、色々な世界観、色々な信念、そしてそれらに反する色々な敵キャラが存在する。敵の描き方もシリーズ毎に多種多様だ。時には与する組織の構造や生まれ持った生態によって苦しめられる敵をプリキュア側が助け和解するドラマというのも描かれる。満と薫、イース、セイレーンなどなど……さらに時にはキリヤくんやダークドリームのような助けたくても助けられなかったという哀しい結末を迎えたキャラクターも存在する。多くのファンがそのような展開を好むのは紛れもない事実である。

そもそもがプリキュアシリーズの敵キャラは悪事を働いてるとはいえどこか憎めないキャラ付けされてる場合が多く、映画でも出てたブンビーさんのような世知辛い中間管理職おじさんとかのように敵側に感情移入してしまう視聴者もよくいるだろう。それこそ現在放送中の『トロピカル〜ジュ!プリキュア』の敵・あとまわしの魔女に仕えるチョンギーレやヌメリーにエルダちゃんなど配下の方々は組織内で家族のようにアットホーム和気あいあいと過ごすし仲間が行方不明になった際は一生懸命に探すほどの良好関係、あんまりプリキュアや市民の頑張りに対して否定的な発言しない(その頑張りの素であるやる気パワーは奪うが)し「なんでキミたち悪事働いてるの?」と疑問を持つレベルの微笑ましさだ。もっともこれから話す“彼ら”の反動が強いのだろうが……


その“彼ら”というのが『ヒーリングっど♡プリキュア』の敵、ビョーゲンズ。言わずもがなだが病原菌やウィルスがモチーフの敵キャラ(作品の設定などの企画は前年から綿密に始められるものなので現実の某ウイルスとは本当に無関係)であり、今回はプリキュアシリーズでは珍しくメインで話すダルイゼン含め一切の和解の余地なく倒されていった敵組織である。

2話「パートナー解消!?わたしじゃダメなの?」より。すこやか最高〜!じゃ流石にあんまりなので。彼らが今作の幹部ポジションのテラビョーゲン達。ダルイゼン、シンドイーネ、グアイワルと絶妙に安直な名前というかヒーローショーものパロディに出てきそうな敵の名前みたいと最初は自分も思った。しかし彼らはそんな緩いネーミングセンスにも関わらず……

そりゃ一番最初の『ふたりはプリキュア〜Max Heart』においても敵は全部倒されるなりで消滅していたが、初代においてドツクゾーンにも雪城ほのかより一つ下の歳の少年キリヤくんとの分かり合いたくとも許されなかった悲しき友情のドラマがあった。しかし今作はいかにも彼の系列を感じさせる美少年敵幹部ダルイゼンは全く別の末路を辿った。心から彼を助けたくないと強く感じた花寺のどかによる完全なる拒絶である(もいちど言うがこの結末も1話の時点で決めていたので現実の某ウイルスに対する世間的背景も無関係なのは改めてご了承していただきたい)キリヤくんの他に『ドキドキ!プリキュア』のイーラ、『キラキラ☆プリキュアアラモード』のリオ君といったプリキュアシリーズ恒例の顔の良い美少年タイプの敵はたいてい理解や共感などで決着がつく形ばかりなのに、むしろそんなジンクスなんざ知らんがなで全く救われない結末だった。

そんなプリキュアシリーズでは珍しく同情の余地なく消えていったビョーゲンズ達。それこそ前作スタプリのノットレイダーの皆さんや前々作HUGプリのクライアス社の皆さんのような理解・共感し和解するような終わり方とは真逆なまでの断絶ぶりで、ついつい敵サイド視点で見ちゃう人によっては本当にキツい一年間であったろう……というよりアニメージュのインタビューにおいてシナリオ構成担当の香村純子氏も「最近のプリキュアはずっと和解が続いてたから(自分がやるなら)優しさに漬け入る悪を絶対に許さない話にすると決めていた」とそこらへんの和解展開が続いてたことを意識してたと述べるほど。

その流れが決定的になったといえば20話「今、つながる願い…!わたしたちキュアアース」のこれ。地球を汚す悪しき魂バテテモーダに対しさっきまであんなにラテ様に対して見せてた優しさを一切も見せぬ無慈悲さで倒すキュアアース。これから倒される敵の名を知る必要などない。地球を護る使命のために顕現した純粋なる戦士。令和のゴセイナイト。ビョーゲンズスレイヤー。後にダルイゼンに対してのどかがどう感じたとラビリンが問う場面でラテに入室しない方がいいと止められるのも納得である。

バテテモーダが浄化された後もまだまだ続く……メガビョーゲンの破片メガパーツから生み出された新たな幹部としての活躍を期待されるネブソックとケダリーもそれぞれ登場した24話と28話という1話限りで即浄化されるというスピード対処っぷり。もはやメガビョーゲンみたいな今週の怪物枠と同じレベルだ。特にケダリーは割と主要キャラになれるだろうバックボーンを備えてたのに。

最終決戦の43話「キングの進化!蝕まれたすこやか市」において攻撃を跳ね返すネオ・キングビョーゲンのビョーゲンズを吸収する特性を利用する突破口のために、シンドイーネの持つメガパーツを奪い取り込むしかないと決意するキュアアース。しかしそれを察知したシンドイーネが所持してるメガパーツを自分自身に使用してしまった!それなら彼女をナノビョーゲンになるまで弱毒化し彼女を取り込むしかないわね。浄化技でダメージ与えた所にラテの提案でさらに浄化技を叩き込む!絶対逃さねえからなとガッチリ掴むアース!さっきまで「アスミちゃんを危険な目に遭わせたくない!」と言ってたのに敵にはそんな優しさなど見せない温度差!!

とまぁプリキュア側が敵に容赦なさすぎる癖にみんなを護りたいとぬかしおってな前編でのネオ・キングビョーゲンの揚げ足取りみたいな不満を抱く人もいたかもしれない。しかし思い出していただきたい……彼らが何者であったかを。何をしてきたかを。彼らビョーゲンズの目的は地球を自分たちが住みやすいよう大地や自然を病魔で蝕み侵食すること。それは他の生命が生きることができない死の惑星にすることというのを。

「自分たちにとって住み心地のいい世界に変えようとしてんだよ」
「でもそれはビョーゲンズ以外の生命はどんどん弱って死んじゃう世界ペェ!」

上のニャトランとペギタンの台詞とイメージ画像は2話「パートナー解消!?わたしじゃダメなの?」より。世界を闇に包む、絶望で埋め尽くす、支配征服する…シリーズごとに敵の目的は様々で(最終的にはどの作品も死んだも同然みたいな悲惨な状況に追い込まれそこから逆転していくが)今作のビョーゲンズは明確に他の生命を虐げ苦しめ、そして最終的に“死”へと導く存在であると早々から言及されている。ここまで生々しく殺生な側面が出てくるのもシリーズにおいては珍しい。

「わかっただろ?無理なものは無理なんだって。見ろよ……あいつは諦めてるぜ?」

11話「力を一つに!ミラクルヒーリング!」より。メガビョーゲンの素体にされ長い時間が経過してしまったせいで命を使い果たされる寸前にまで衰弱しきった花のエレメントさん。このまま完全に消費されてしまえば……蝕まれた土地は元に戻らない、即ちエレメントさんの“死”である。生物を媒体にして発生させる怪人はプリキュアシリーズ数多く存在し、早く倒さねば大変なことになる問題はよくあったものだが実際に命の危機にまで追い込まれる描写もしっかり出してるのはこの作品ならでは。
この後みんなが頑張りエレメントさんは生きる気力を取り戻し、そしてメガビョーゲンを浄化することが出来たがいつもと違い即座の完治には至らず時間がかかると……

そして1話にてキングビョーゲン達の襲撃を受けたヒーリングガーデン、その蝕まれた土地は1年以上経ったという最終回においても未だ傷痕が残り続ける……本編においては命を奪われるまでのケースはたしかに発生しなかった、しかしそれは彼女たちプリキュアの必死の活躍で食い止めたからこそ。その手が届かぬ所では……忘れるなかれ、ビョーゲンズの蝕むというのはこういうことを。

このようにビョーゲンズは他者の命を脅かし、虐げ、搾取し、最終的には……女児向けアニメには出すことを躊躇される単語をあえて用いるなら“殺す”ことに特化した存在である。己の都合だけで地球の生命全てを根絶やしにしてしまう害悪極まる病……それがビョーゲンズという生命体なのだ。ラビリンらヒーリングアニマルが侵攻を食い止め手がつけられなくなるくらい強くなる前に早急に浄化しなければ、それこそビョーゲンズの思うがままにさせていたら地球はあっという間に滅びるだろう。和解や共生など入る余地がそもそも無いものと言える。

たしかに彼らビョーゲンズも時にはコミカルな描写はあった。水族館で人質に取ったペギタンを奪還しようとする平光ひなたとキャットファイトするシンドイーネ、アリキュア(アリのようにちっぽけなプリキュア)と変なあだ名をつけるシンドイーネ、赤道直下でメガビョーゲンに昭和にも程がある酷な熱血指導でしごくグアイワル(絶対そんなんしてないだろなちゃぶ台返しのイメージ映像つき)、キングビョーゲンを出し抜き下剋上を果たした際に真っ先にするのが自分の城をDIYで建築するグアイワルext……しかし思い出していただきたい、彼らはそれだけでないことを。たまに見せる邪悪な部分はかなり濃いことを。

いかにもザ・脳筋な見た目のグアイワル。彼はとにかく自分が強くなりたいとひたすら願う男であり、それを叶えるために時に見た目どおり横暴さを振るい、そして時に見た目に反しての狡猾さを用いてのし上がろうとする……20話にてメガパーツの有効性に初めて気付いたバテテモーダが他幹部を出し抜こうとするのに気付かぬマヌケではなく俺の後輩だろうがとタカる目聡さ。さらには前回で話したように39〜40話にてプリキュア達をあえてビョーゲンキングダムへ誘い込みキングビョーゲン…ただのモヤな癖に王を気取ってる目障りなボスを消してもらい彼がキングへと成り代わり、さらにはプリキュア達をビョーゲンキングダムへ閉じ込めるという策略家ぶりを見せつける。
……しかし彼の野望も見抜かれていた。モヤというよりナノビョーゲンの集合体を個として扱われていたキングビョーゲン、プリキュアに浄化してもらったのは所詮その分けたナノビョーゲン集合体の一部分に過ぎず、すこやか市に忍ばせていたもうひとつのキングの一部分によって彼は吸収という形で喰われ……最期の台詞はよりにもよって「かばよ!」というアホな言い間違い。結局は今夜の晩餐だと知らず皿の上でいい気になって踊っており、喰われる寸前までその事実に気づかなかった愚か者に過ぎなかった…

自身の名前を授けてくれたキングビョーゲン様のために戦うラブウォーリアなシンドイーネ。その彼女の愛の恐ろしさは終盤において牙を剥く……愛しのキングビョーゲン様に弓引いて自分が王になったと思い込んでるバカを偉大なるキングビョーゲン様に“献上”したのは憎むのも納得の報復行為としてまぁ分かる、しかし彼女は別にキングに対して敵意や反逆心を向けてないダルイゼンすら嬉々としてキングビョーゲンの糧として捧げた。娘の命を救いたい一心で道理に反する行為してた我修院博士だって良心の呵責があったのにシンドイーネは全く迷わない。一応言っておくが彼女はダルイゼンに対して別に不快な感情を抱いてる訳ではない。ドリームステージでは(成り行きとはいえ)共闘したこともあるくらいだ。ただひとつ、バカを喰らい元の美しい姿を取り戻したキングビョーゲン様が彼の命を喰らいさらなる進化をお望みになられてるから。そのためなら別に仲間が死のうが構わない、愛のためなら。それだけだ。
……完全に心酔しきった彼女だ、いくら餌としてキングビョーゲン様に喰われようが都合のいい捨て駒と見捨てられようが(事実キングはその程度と見ていた)本望だと笑って消えるだろう。しかしそれは許されなかった。ナノビョーゲンにまで弱毒化されアスミに取り込まれ、自身が心から愛するネオ・キングビョーゲン様を倒すための手段に用いられた。主への愛を、主の為なら同族含め他者の生命がいくら死のうが構わない妄信的な偏愛者が最も不本意な結末であるかのように。


こんな命に関わるガチで容赦ない侵蝕行為をしてくる凶悪な奴らと戦わなきゃならないのが、純粋な戦士であるアスミちゃんを除いて見習いちゃん達(ベテランは負傷中)とよりにもよって「普通の女の子」というのをストーリー展開で強調させた少女たち。彼女たちは等身大の女子中学生、精神的にも未熟な部分はあるし時にはベストな解決策を出せない時もある、しかしそれでも自分たちの大切なものを…すこやか市の豊かな自然、そこに住む優しき人々や生き物、自分たちを支えてくれているそれらを明確に殺しに来てる敵から護るために立ち向かっているのだ。どれだけ強大な敵を前にしても。自分たちが今できることを精一杯振り絞りながら。花寺のどかが特にそうであったように。
躊躇なく倒すプリキュア達を前にそりゃ(前作スタプリは相手側の心情を察しないことによる軋轢をガッツリ描いてたのもあったし)敵サイド目線でつい見てしまう人もいるだろう、だけどせめてその敵がどんな存在であったかを忘れないでほしいし、そもそも今作はそれ以上に結果がどうなるか正しいか分からないであっても自身が感じた等身大の気持ちを貫き通したいという作品で一年間やってきたのだ。オールスターズメモリーズでも触れた初代『ふたりはプリキュア』が基本的にはそうであったように、それもまたプリキュアという作品の一部分なのだ。

それはともかくシリーズ構成担当の香村純子氏は基本的に敵に対して無慈悲なる最期を送ることに定評ある脚本家であるのも事実。前編でちょっと触れた『快盗戦隊ルパンレンジャーvs.警察戦隊パトレンジャー』やそれより前の『動物戦隊ジュウオウジャー』シリーズ構成ではないが半分ほど脚本担当してる『仮面ライダーウィザード』でも敵幹部の最期は報われないものばかり。そもそも香村さんって敵サイドのドラマと辿り着く結末がスーパー戦隊シリーズにおいてトップクラスに哀しみあふれる『超獣戦隊ライブマン』に影響受けてるもんね……そう考えるとグアイワルやシンドイーネの、そしてこれから話すダルイゼンの最期も……オールスターズメモリーズの敵であるミデンはキュアエールが相手で本当に良かったな……ステイシーくん大丈夫かな……おっと脱線しそうになった


そしてそんな邪悪な奴らの頂点に立つラスボスも当然のように他者の命をなんとも思わない邪悪極まる存在で……

「いずれかの生命が蔓延れば、別の生命が絶滅へと追いやられる。この世界はそのようにできてるのだ」
「生きるということは戦うこと、戦いに勝った者だけが生きることを許される。その勝者が我一人であったということだ!」

千年以上前にテアティーヌと先代キュアアース・フウに敗れたものの秘かに生き続け、今度こそはとテラビョーゲンを従え地球の自分達…結果的としては自分しか住めない星にせんと企むキングビョーゲン。ヒーリングガーデン襲撃の際に痛み分けとして弱毒化され、物語開始時にはナノビョーゲンの集合体として活動してた……複数のビョーゲン群体をキングという個で扱うというビョーゲンズにおいても特殊な生態である彼ならばグアイワルやダルイゼンといった他のテラビョーゲンを吸収し自分自身が進化するための糧にすることも可能という訳である。
ダルイゼンを助けず地球の生命を護るとぬかすキュアグレースを(己の非道を棚に上げて)責めたように、彼のようなビョーゲンズもまた地球の住む生命の一人だろう、しかし同族だろうと貪り食い、さらには地球上の生命全てを蝕み絶滅せんとする殺戮行為すらも「生きる上で発生しうる弱肉強食や淘汰といった自然の摂理に過ぎないし、自分はその法則に従っただけ」と都合のいい持論を並べ全く悪びれないという他者との共存を自ら拒む真に相容れない生命体である。

生きることは戦うこと……そうだね……わたしもそう思う……
そんなキングビョーゲンの虫のいい言葉を花寺のどかは否定しなかった……長い間ずっと病魔と闘い続けた彼女はその事実をよく知っている……そして支えてくれる皆がいるからここまで生きてこれた。その皆だって時に間違ったりしながらも仲間と一緒に精一杯生きてる……まさに貴方の言う通り……
勝者の余裕とばかりに駄弁ったキングの持論は「お前だけが生きるために自分達を、自分達を支えてくれる大切な人達を死なすってんなら、自分達が大切な人達を護るためにお前を浄化しても同じ論が通っちゃうんだぞ」と言わんばかりにプリキュア達を奮起させ復活の機会を与えちゃって、さらには皆の生きたいという全生命の力を全て束ねられてしまって倒されてしまった!まさか自分自身の殺生を正当化する為にいけしゃあしゃあと並べた都合のいい論をプリキュアにそっくりそのま返されるのが敗因になるとは……前回述べたようにヒープリは正しさとかよりも自分自身が心で感じたものを貫く作品なので敵の論で敵をカウンターパンチしてぶっ倒すことだってできちゃうのだった。

そんなビョーゲンズとは正確には関係なくて本編の敵と違って最後には改心したけど一応エゴエゴについてもちょっとばかし触れておこう。

我修院サレナ博士が奇跡の花の精霊であり娘でもあるカグヤのタイムリミット迫る命を助けるために、早急に一定数が必要な「ゆめのつぼみ」を人間から強奪するためにビョーゲンズの細胞を素体に生み出された人工生命体エゴエゴ(さらっとオーバーテクノロジーしてませんか博士)自らギガビョーゲンのように他の生命を取り込みパワーアップしたりするぞ。
ゆめのつぼみが奪われた相手がどうなろうと構わぬと名前のとおりエゴイストな奴……と思わせておいて、完全なる加害側の本編のビョーゲンズと違いそもそもが我修院博士の(人道に反すると知りつつも娘を救うにはそうせざるをえないという)エゴイズムな目的の為だけに作られ利用されるだけの存在にそんなエゴ丸出しな名前をつけられたとけっこう不憫な奴でもあり、我修院博士に頑張った成果を褒めてもらいたくもカグヤしか見てなく冷たく当たる生みの親に鬱憤が溜まり………
最終的に命残り僅かだったカグヤを取り込み大暴れするも、プリキュア達を通じて「他者を想う優しさの強さ」を知りつつ浄化されそなござ(プリキュアシリーズにおけるなんか無害な妖精になること)して命を取り戻したカグヤ本人に謝罪して彼もちゃっかり生還し物語を終えたのだ。まぁ彼も博士に利用され続けたみたいな被害側な部分あったし、ちゃんと自分がどういけなかったのか理解して悪事を謝ったし、そういう終わり方でも許されたんだろうな………“彼”と違って

そしてあらかじめラスボスの最期を話しておいてでも最後までとっておく敵幹部が一人、エゴエゴと違い許されなかった“彼”であるダルイゼン。彼は何者だったのか、彼はなぜあのような結末を迎えたのか、これから見ていこう

これから話す顔の良い美少年敵幹部ダルイゼン。余談だが声を担当する田村睦心さんは過去作において『スマイルプリキュア!』35話「やよい、地球を守れ!プリキュアがロボニナ〜ル!?」にて冒頭のアニメでロボッターを操縦する熱血少年・タケルとして出演していたりする。よりにもよってあのハチャメチャ回からこれ演じるとか差が凄まじい……



・ダルイゼンとは何者だったのか

まずは全ての始まりが明かされた28話「苦しみの再来!?ダルイゼン、あなたは」の回想シーンから見てみよう。

11話ラストで野生のヌートリアが寄生されバテテモーダが生まれたように、メガビョーゲンはある程度成長してしまうと他の生物に侵入し幹部級のテラビョーゲンにまで成長する可能性を秘めた“種子”を残す。あの時もそうだ…きっとヒーリングアニマル戦士も浄化に苦戦したのだろうか、彼らの知らぬ間に種子が排出され、当時その現場の近くにいた少女、幼き頃の花寺のどかへと……

たまたま近くにいた。それだけだった。しかしそれで彼女の…花寺のどかの人生は大いに変わってしまった。彼女は罹ってしまった。そして彼女は苦しんだ……それこそ長きに渡る入院生活という「普通の女の子」としての日常ができぬほどに。

しかしその病はある日を境に急に消え、後に彼女は退院した。なにがあったかというと…

キングビョーゲンが地球侵蝕における最大の邪魔者であるヒーリングアニマルを滅する(女児向けアニメで実質殺すみたいな割と物騒な物言いだが本当に言ってる)…いわば物語の始まりになったヒーリングガーデン襲撃のために現存するビョーゲンズ達を召集したことで謎の病はのどかの肉体から抜けてきた。宿主である少女の生命を食い続け人の形を成したテラビョーゲン・ダルイゼンとして。ヌートリアから生まれたバテテモーダがネズミのようであったように、小鳥から生まれたネブソックが鳥のようであったように、そしてケダリーが人の姿であったように、彼がいかにもシリーズ恒例の顔の良い美少年キャラの造形してるのは人から…それも後にプリキュアになる娘から生まれたからというよりにもよってな理由付け。悪趣味な落とし所か?

「やれやれ……生きてるってかんじだね……」
「ま、これから俺たちビョーゲンズが星ごと蝕んじゃうんだけどね」

そして1話「手と手でキュン!二人でプリキュア♡キュアグレース」冒頭においてキングと共にヒーリングガーデンを襲撃、長テアティーヌやベテランヒーリングアニマル戦士の命までは奪えなかったがしばらく戦えぬ程度に負傷させれば後は十分……奴らに素早い浄化をされねばやりたい放題に侵蝕版図を伸ばしいくらでも強くなれるビョーゲンズの特性で地球なぞ簡単に侵略……自分達以外は生きることもままならぬ死の星にできる。こうやってダルイゼンは楽して目標達成できると思いきや侵蝕を食い止める存在が出てきた。力及ばずで放っておいても構わないだろう見習いヒーリングアニマルと、そもそも戦う力なぞ備わってない一般人・花寺のどか…(当時は彼も知らなかったとはいえ)自分が生命を食らってた過去のせいで他者が病魔で苦しむのを助けなければならないと強く思うように“なってしまった”少女がプリキュアとなって立ちはだかってきたのだった。

花寺のどかの命を吸い、人じみた体と意思を持った病・テラビョーゲンのダルイゼン。そんな彼だが上でキングビョーゲンに命を狙われた際に触れたようにビョーゲンズという組織の中ではかなりマトモな人物だった。野望大きくキングビョーゲンよりも俺がキングに相応しいと目論むグアイワル、キングビョーゲン様さえいれば他はどうだっていい狂信者シンドイーネ……それぞれ組織内において人格的に問題を抱えてる奴らばっかのテラビョーゲンどもにおいて彼は本当に真面目くん。なんなら他2人がやってたギャグみたいな描写すら一切ない

そのマトモさが特に分かりやすかったのは22話「ラテ逃げないで!消える体と芽生える気持ち」のビョーゲンキングダムの一幕。前回21話でバテテモーダからカツアゲしたメガパーツを彼みたいにメガビョーゲンに用いたら強化されたのを観測したグアイワル、そしてダルイゼンはそのメガビョーゲンからさらにメガパーツを採取し……それを即シンドイーネに渡したのだ。うまく使えば情報アドバンテージとして優位に立てるのに何やってんだよとグアイワルは腹立ち申し立てるも「地球をさっさと蝕むために使えるもんは隠さず共有した方が効率いいだろ」とごもっともな意見を仰る。あくまでビョーゲンズとしては変な野心とかも無く真面目に働く奴なのだ…いかにもやる気のなさそうな名前の割には

「(プリキュアに攻撃され)兄ちゃんコイツらなんだ!?」「いーっつも兄ちゃんの邪魔をするんだ」
(24話「いま行きます!お手当てを風にのせて」より)
 
そのメガパーツを用いてネブソックやケダリーを生み出したのもダルイゼン。理由は「自分たちテラビョーゲンが増えればメガビョーゲン作れる人手が増えて地球蝕むのが捗るのではという実験」とこれまた組織内でのメリットを取った真っ当なやつ。とはいってもメガパーツから生まれた変異体テラビョーゲンはメガビョーゲンみたいに周囲を蝕むことはできるが、自分たちみたいにナノビョーゲンは生成できないみたいで結果としては単にメガビョーゲン作るのと変わらなかったし、本人がその後に進化しギガビョーゲンという形でエレメントさん以外の生命でも怪物を生み出せるようになったから手間かかるのもあってケダリー以降は作ってないが……

「オレは最終的にこの星が暮らしやすくなれば何でも…」
(6話「ママはどこラテ?おるすばん大脱走!」より)

そもそもダルイゼンは「ビョーゲンズである自分が過ごしやすい世界になってくれれば他はどうだっていい」とトゲが立たないゆる〜い思想で活動している。媚びへつらうバテテモーダに興味ないくらいに組織間で仲が良いという訳ではないが、そっちの方が自分にとっていいならば協力する時はするというスタンス。だからグアイワルがキングになったって自分にとっての状況は変わんないしで気にしてなかった。少々ドライだが他2人に比べればまぁ……

このようにビョーゲンズ内ではなかなかに無害な存在で終盤キングビョーゲンに喰われる被害者ぶりも合わせて「コイツそこまで悪くないんじゃ?」と一瞬思わせるくらいには組織内でのトゲの立たなさである。こうやってマトモなとこ羅列して書いてくと自分もそうやって錯覚しそうに……
錯覚?そうだ。彼はあくまで“ビョーゲンズという組織内においては”マトモであるだけだ。敵間の関係としては、だ。そして彼はビョーゲンズ……今作の敵であるのだ。


「あんた……人の心ってものが無いの!?」
「無いね。人間じゃないし。」


「あなた達……なんでこんなひどいことするの!?」
「ひどい?なにが?」

「地球を病気にしてみんなを苦しめることだよ!!」
「決まってるだろ。オレはそっちの方が居心地がいいからさ。」
自分さえ良ければいいの!?

「いいけど。」

そして6話「ママはどこラテ?おるすばん大脱走!」の放送当時いろいろ言われた例のシーン。作物のイチゴを、イチゴにいた実りのエレメントさんを、イチゴを我が子のように育てる農家の人を、配達に来ていたお母さんを、そしてメガビョーゲンによって汚染された土を塗りたくられたラビリンを汚し苦しめるなんてどうしてそんな酷い事するんだと訴えるグレース!(言ってる事が母と同じで親子だなぁと)それに対するダルイゼンの返答は単純、そしてこれから描かれる展開を決定的なものにしたような発言であった……
キュアグレースは、花寺のどかはかつて病に伏せていた頃に多くの人に助けられたからこそ生きる希望を失わないでいた。当然お母さんにも。自分の看病のせいで仕事を辞めてた母が、自分が回復したからようやく再就職したのが嬉しかった。そんなお母さんも危険な状況に追い込まれたから真っ先に駆けつけた。そこにいたのはかつての自分が苛まれたような苦しみを自分の大切な人にも含めばら撒く行為を、自分以外がどうなろうと知ったこっちゃないと悪びれもしない、自身とは真逆にも程がある存在だった。そしてお前自身もこうしてやろうかと頬に……改めて見たら彼はキリヤくんやイース様といった歴代の和解とかする敵とは序盤から明らかに描き方が違う。毒々しい土を塗られたグレースの愕然とする顔がすべてを物語る

自分の暮らしやすい世界になればどうなったっていい……すなわちそこに本来暮らしてる生物がどうなったって気にする訳ない。いくら人が苦しもうが、メガビョーゲンの媒体にしたエレメントさんが死のうが、ダルイゼンは意に介さないどころか積極的に潰す……自分が生きやすくするために。それだけで理由は十分だと言わんばかりに。彼はビョーゲンズ、他の生命を蝕み、苦しめ、搾取し……そして最終的に殺す。自分がそうした方が都合がいいから。

あまりにも理解できなくて動揺したが尚更負ける訳にはいかないと決心するグレース!二人相まみえる!と思ったら………

仲間がピンチなのでメガビョーゲンの元へ飛んで行き……

「あいつ……オレにキレてたのに。」

せっかくいい所だったのにこっちほっぽりやかって…そりゃキュアグレースは誰かを助け護るために戦ってるのでそうなるわ。自分さえ良ければいいお前とは違う。なにムッとしてる。

そんなこんなでメガビョーゲンは浄化され「ふ〜ん…キュアグレースね」と因縁を覚えるようなテンプレ台詞と共に退散したダルイゼン。……既に決めていたあの結末を知ってのうえで改めて見るとあらかじめ埋め込まれていた事実に気付く。ダルイゼンは花寺のどかに対して因縁めいた感情を抱いてるが、一方でのどかはダルイゼンには目もくれず当然ちゆちゃんやひなたちゃんを優先してる。感情の一方通行、意図的に“溝”を形成している

「へ〜えプリキュアじゃん。今日はもう来ないと思ったよ」
10話「緊急お手当て!メガビョーゲンがいっぱい!?」で分割して出動した際にキュアフォンテーヌ単体に対して言った台詞。自分以外どうなろうと知ったこっちゃないくらいに興味がないのでプリキュアの名前なんか覚えてないダルイゼン。そんな彼でもキュアグレースの名前はわざわざ覚えてる。

ダルイゼンにとってキュアグレースは名前を覚えるくらいには興味を示した存在なのだろう。しかし等の本人キュアグレースにとっては友達や家族に住民そして自然(エレメントさん)の方が大事だし、むしろ彼はそれらを傷つけることに一切の良心も躊躇がない「理解できない相容れない存在」として見てる。顔が良いのもあってのどか側も興味を向けるのかなと思わせるが彼女はそんな気を起こす余地などさらさら見かけない。徹底してる。一貫してる。

「思い出したよ。オレを育ててくれたのはキュアグレース、お前だって……」

ますます気に入ったよ、キュアグレース…また会おうぜ
そして28話のケダリーを通じて上記の回想を完全に思い出した…だからどこか引っかかっていたのか。『この出会いが運命』とOPの歌詞のような感情を察したように去るダルイゼンの一方で事実を告げられたグレースは、のどかは……

((ダルイゼンを育てたのがわたしなら……わたしがなんとかしなくちゃ……!))

「わたしがダルイゼンを作り出しちゃったから……そのせいで地球が……だからわたしがなんとかしなきゃ……もっとがんばらなきゃ……」
自分のせいで奴を、自分の大切なものを傷つけかつての自分のように苦しめる病魔を生み出してしまったと自分自身を責め追い詰めるだけであった。翌週の29話「のどかのストレス?気分転換をさがせ♪」でもっと強くならねばと運動量を増やしたり弁当をドカベにしたりと許容範囲外の無茶なことをしてしまうほどに焦ってしまい……一方的にロマンチックな運命を感じてるみたいだがそれはお前だけであって、当の本人は(お前のせいで)培われてしまった資質もあって仲間になかなか打ち明けられないくらいに苦しんでるぞ。でもそんなの彼は知る由もない。彼はそういう奴だから、自分さえ良ければそれでいいから

一方的に思い上がってるダルイゼンがのどかを肉体的はおろか精神的にも苦しめる事実をまじまじと見つめて書いてる自分も頭抱えてしまってる。これでも放送当時から ダルのど だので敵×主カプ好きが大賑わいしてたのに。この前作なんか主人公が敵が悪に堕ちてしまった境遇を理解した瞬間に真の力に覚醒した程だっちゅうのに(そういう作品だからです)でも1話の時点であの結末は決めていたと言ってるので意図的にこの思い違いの差を書いてます。そういうの好きな人を罠にかけるかの如くなミスリード描写。でもよく見ればこの陰鬱なる事実に気付くだろう。


もう既に負の積み重ねばかり泣きたくなるがまだまだ続く。お次は33話「思い出の再会!過去のわたしの贈り物」これは花寺のどかが入院時代にお世話になった担当医の蜂須賀先生と再会する話であり……

ごめんね……今すぐに君を治してあげることができなくて……でも、僕たちは諦めない。だからのどかちゃんも諦めずに戦ってほしい!」
現代医学では手の打ちようのない謎の病として扱われるビョーゲンズの存在…医師である蜂須賀先生ですら劇中のプリキュア達が万全なる解決策が出せず悩むように、彼もまた当時のどかを蝕む病に対しどうしようもなく、心から励ますことしかできなかった。それでも患者は嬉しかった、心の支えとして持ち堪え続けられた…

そんな大切な恩師である蜂須賀先生が医者を辞めると知ってしまい、自分の病のせいで…と考えそうになるのどか。しかし逆で完全な処置できない不甲斐なさに落ち込んでた自分を退院時の手紙…心からの感謝の気持ちで彼の心を助けていたのだ。だから当時ののどかちゃんみたいに原因不明の病で苦しむ人を助けたい故に海外の研究機関へ転職することにした。“助ける”という手段が変わっただけ。そしてそれに気付けたのは彼女が助けてくれたから……

無駄な頑張りなどではない、そしてお互いに助け合ってるんだというまさにヒープリらしい話……なんだけど当然ここで注目するのはダルイゼン。彼にも重要なターニングポイントが挟まれるのだが……

「どうしたダルイゼン?我はお前にも進化しろと命じた筈だ?」
シンドイーネがメガパーツを自ら取り込んだことによって進化し、それを見たグアイワルは俺も負けちゃらんねぇと自ら進化した。しかしダルイゼンは様子見と言ってたが……別に競争心とか無くてあくまで自分さえ良ければそれでいい精神な彼のことだ、なんでわざわざキングに催促されてまでやんなきゃなんねぇんだよとムッとする。
……なぜキングはわざわざ進化を急かすのか?シンドイーネが進化した時点で既に決めていた……自分の“進化”のために

「別にキングビョーゲンのためじゃない……これはオレのためだ」

メガパーツによる進化はテラビョーゲンですら多大な苦痛を伴う……“キングのために”でこんな苦しみ悶えるのなんか嫌だ、あくまでオレのためだと自分に言い聞かせ插入する……その先にあるのは結局は“キングのために”であることなぞ今は露知らず

それでも痛みに耐え抜き進化を果たしたダルイゼン。さっそく車を運転してた男性(蜂須賀先生)をギガビョーゲン化させる。圧倒的な強さに苦戦するプリキュア、しかし目の前で苦しむ人がいるなら絶対諦めない。況してや自分を助けてくれた先生なら!
「へぇ〜、(キュアグレースの)知り合いなんだ」
「絶対助ける!先生にもっとたくさんの人を助けてもらうために!」




「………バカバカしい……!」


「人のために頑張って何になるんだ!自分のことだけ考えた方が幸せだろ!!」

「これで終わりにしてやるよ…」
なにが誰かのためだ、こっちはその他人のために望んでもないのに痛みに苦しんだんだぞ。それなのにお前はそんなことを平然とぬかしやがって、お前は……!
“誰かのために”でオレは不利益被ってんだぞと八つ当たりじみて怒りをぶつけるダルイゼン!怒りの度合いが半端ない、よほど苦しかったというか屈辱だったというか……

「あなたには分からないかもしれない……だけど、わたしたちは……支え合ったり助け合ったり……そうやって生きてるんだよ!!」
「ラビ!」

“誰かのために”で苛まれることになってしまったダルイゼン。あまりの怒りぶりにメガパーツを取り込む際の痛みや苦しみはよほどのことだったのだろう………他者に理解されぬという辛さはそれこそ前年スタプリでのカッパードが主人公のキュアスター/星奈ひかるに抱いた苛立ちに近いものがあるかもしれない。


しかし忘れてはいけない。彼はビョーゲンズなのだ。自分とは違う種族に故郷の資源を根こそぎ奪われてしまった凄惨な過去のせいで「みんな仲良くなれる」と呑気にぬかしていたひかる(そして彼女は“それ”を知り、手を差し伸べたのだ)に怒ってたカッパードとは違う。なぜならダルイゼンはその自身が苦しんだほどであるメガパーツを……






「ちょうどいい。実験開始」
24話「いま行きます!お手当てを風に乗せて」より。彼は、ダルイゼンはそんなメガパーツを、苦しみを与える因子をただそこにいた雛鳥に注入しネブソックを生み出した過去がある。そりゃビョーゲンズなんだから生命を苦しめる奴らだし幸いすぐにネブソックが生まれたのか雛鳥は生きていた、しかし他の生命に遭わせた苦痛を自分が(本人が望まぬ形として)いざ受けたら苛立ち怒る。当時の視聴者の大半がこの事実を指摘しなかったのだ。かくいう自分もだ(もし当時で気付けた人いたらすごいぞ!)

そしてそもそも他人のためは素晴らしいとぬかし苛立たせたキュアグレースにも彼は……


「そうだ。キュアグレース…お前を使って育ててみるのは、どう?」

27話「気球を飛んで!アスミとラテの熱い想い」にて視聴者ほぼ全員騒然したあのラストより。気球の原理の説明とかグアイワルがやってたバカの実験とかプルンス型の気球あったとかみんな覚えてる……?
飛ぶことに馴れてない雛鳥を素体にしたネブソックは飛行できるのに高所恐怖症と致命的な欠点を持ってたし今度は成鳥にするかと森の中をうろついてたダルイゼン。その存在に気付いたのどかは変身し、よからぬ企みを阻止しようとするも……一撃と共にメガパーツを体内に埋め込まれた。そして再びあの時のように、かつて自分が長きこと罹っていた謎の病と同じ症状で苦しんだ……

「自分さえ良ければいい」あの時そう言ったようにダルイゼンには自分しかいない。他者を死なせる程に傷つけ苦しめる行為をなんの躊躇なくやる傍らで、己が他者に傷つけ苦しめられる行為に怒りを露わにする。放送当時あの末路にちょっとばかし可哀想かもと感じてしまった自分がバカみたいに思えてきた。ちょうど泥塗られた時のキュアグレースのような顔してこの事実を書いてる。というか君ホントに花寺のどかから生まれたの?いくらなんでも他のテラビョーゲンだってそこまで邪悪な描写じゃなかったよ??

そんな思うくらいにダルイゼンと彼の宿主だった花寺のどかは対比の存在として書かれてる。ダルイゼンが自分の身の都合ばかり考えてる一方で、花寺のどかは自分の身に危険が迫ろうとも他者を助けようと心から想い無茶する(それもお前自身のせいで)という最悪すぎる構図で。それでもダルイゼンは決してそんな事実を鑑みたりはしない、何度も言った通り「自分さえ良ければそれでいい」から。彼女のことが気になったり運命を感じたり、自身の受けた理不尽さ…“誰かのために”で苛まれたのにそれを肯定することぬかすことに不理解だと怒るのも、すべて自分の中でだけ完結している。彼女が、キュアグレースが、花寺のどかがどう思おうが実のところ知ったこっちゃない

前編で話したようにヒープリは時に「自分が心から想ったことを貫きたい」ために我を通す描写が発生する。しかしそれは主に仲間が優しさ故に心配して止めそうになっている上でそうしたいと申し立てている。生を諦めようとしたカグヤちゃんも本当はお母さんに誕生日を祝ってほしいという本心を知ってたからこそグレースは意地でも我を通し諦めなかった。そこにはコミュニケーションがある。しかしダルイゼンの「自分の心から想ったこと」は他者がどうなろうが構わず一方的に行使する。そして“あの時”も……

あの時。彼の最期になってしまった42話「のどかの選択!守らなきゃいけないもの」。これまで苦しむ人をなんとしてでも助けたいと活動していた花寺のどかが唯一彼のことを心の底から“助けたくない”と感じてしまい、そして拒絶した。前編ラストでなぜそう思ってしまったのかという理由を敢えて書かなかった。これからそれを記そう。彼女がそう思った理由を、彼の末路を、彼女にとって彼は何だったのかを。

あれ?プリキュアと別れたくないんだろ?だったらお手当てをやめればお前達の望みが叶うんじゃない?
オマケ。ふたりの関係ではないので今回そんな触れないが37話「季節をエンジョイ♡ラテ様おもてなしツアー!」でのすっげー悪そうなダルイゼン。ヒーリングアニマルが地球の自然やそれを大事にするすこやか市の人々に触れる秋の日(放送したの12月だったけど)しかし彼らは「地球のお手当て(ビョーゲンズとの戦い)が終わればヒーリングガーデンに帰らねばならない」とふと別れを考えてしまい……そんな折に襲撃したダルイゼンが放った上の台詞。そんなのやめたらお前らのせいで地球もろとも仲良く病死になるだろうが。うーん性格が悪い言い方。いくらずっと一緒とはいかなくなるけど一生じゃないし、なによりそんな帰れる場所を奪おうとするお前らに絶対負けないからなと屈しないヒーリングアニマル達の勇敢さよ。


・なぜダルイゼンを助けたくなかったのか

それは41話「すこやか市の危機!忍びよるキングの影」から始まった…

「オレの相手もしてよ?」
邪魔だったキングビョーゲンをプリキュア達に浄化してもらい自らをキングと名乗るグアイワルはすこやか市を蹂躪していた。そんな中でプリキュアは彼と戦うも、別に反抗心とか無いのでグアイワルに協力している(彼はビョーゲンズ組織内ではマトモだ)ダルイゼンも加勢し苦戦する。しかし……

最初の方に語ったように間抜け野郎の精一杯の策謀は見抜かれており、粛清がてらにグアイワルを“養分”にするキングビョーゲン!主が麗しき元の御姿に戻られたと歓喜するシンドイーネ!そしてダルイゼンはキングの目論見を聞き啞然とする……オレに進化しろと催促したのはそういうことかよ……そして案の定さらなる進化のためにこっちを食うつもりだ…

「助けて……くれ……」

命からがら逃げてきてボロボロなダルイゼン。アイツの元に行けば…と早朝ジョギングしていた花寺のどかを見つけ助けを求める。そこには騙し討ちなんてしようとは微塵も思ってない彼の心からの叫び、真に命の危機だとすがり昨日の惨劇を見ていたのどか達も察するが……彼女は逃げた。拒絶した。見捨てた。

そして42話…救いを求める声も絶たれ下水道に逃げ込み独りぼっちなダルイゼン。このまま逃げても埒が開かない、キングビョーゲンに対抗するしかないと所持してるありったけのメガパーツを吸収する。1個ですらあんな苦しんでるならオーバードーズな量を取り込んだら当然その苦痛はただものではないだろう……そして……

「なんだか正気を失ってるみたいペェ…」「誰もがいいかんじに進化できるとは限んにゃいのか…」
あれだけ人間ぽかった姿から一変して巨大化した異形の姿(正式名称スーパーダルイゼンだそうだ。安直!)に……そして周囲をメガビョーゲンのごとく汚染し続けるのでラテ様も体調不良になり出動するプリキュア達。しかし「誰が泣いてるかわからないラテ…」と……

「……グレース……キュアグレース!!」
「ダルイゼン……わたしが分かるの!?」

助けてくれ……
意思すらも消え暴走してたかに見えた彼だが、まさかあろうことかキュアグレースのことはハッキリ認識していた。あれだけ自分以外興味ない彼が唯一関心した特別な存在、それだけは忘れない流石な執念である……そして「こんなのオレじゃない!」「お前だけが頼りなんだ……」と再び助けを請うも……(ちなみに扉の向こうにいたアスミとラテはともかく、フォンテーヌやスパークルはのどかの身になんかあった程度しか知らないので完全に置いてけぼりにされてたりする。まぁそもそもそんな彼女の問題を信頼できるパートナーのラビリンに解決を任せたので…)


「私はやっぱり、あなたを助ける気にはなれない!!」

1話で彼が花のエレメントさんを媒体に生成したメガビョーゲン相手に叩き込んだ懐かしのカカト落とし。これが彼女の心からの返答…「無理………私どうしても嫌!嫌なの!」
たしかに「そうした方が良かったんだと思う」と漏らしたように助けたい気持ちは少なからずあった、しかしそれ以上に助けたくない気持ちが遥かに上回った。だから助けない。むしろ泣きっ面に蜂とばかりにそのまま浄化技をかます

こうやってダルイゼン側のみに視点を合わせると可哀想と同情しそうになる。というか流れが『フレッシュプリキュア!』22話でクーポン券で命削られてボロボロになるイース様に近いのに、あっちと違って救いの手は授けられなかったし却ってボコボコにされた。ラブちゃんはイースがせつなだと知らなくても彼女の泣き叫ぶ声を聞いて助けたいと行動したのに……血も涙もねえ!!






―ダルイゼンについては、グレースにすり寄って拒否される展開は、香村さんは初期段階から考えていたそうですね。
 
香村:はい、そうです。女の子が生きていく上で闘わなければならないことって、たくさんあると思います。たとえば「女の子だから」という括りだけで、自分の意志や気持ちを無視されて「優しさ」を求められたりとか
(中略)
もちろん、和解や救済はすばらしいことだと思うんです。でも、それにこだわるあまり、自分の心が死んでしまっては元も子もないのでは……
【出典】アニメージュ2021年3月号70P スタッフインタビューにおける香村純子の返答より引用

……はい。ダルイゼン側“のみ”で判断するとそうなるんですよね。確かに彼を拒絶したというのは残酷と言われればそうなるし、のどか本人もそこんところの選択をネオ・キングビョーゲンに意地悪く指摘された際にも否定しなかったし。それは紛う事なき事実。
しかし、しかしだ。このトピックのタイトルは「なぜダルイゼンを助けたくなかったのか」だ。花寺のどかが心からそう思ってしまった“理由”だ。それは…………


“あの時”の早朝まで戻そう。

昨日あんなたいへんなことあって疲れてる筈だけど、それでも早朝のジョギングはやらねばならぬとはりきるのどか。ラビリンはちょっと心配顔だが…

そんなことで通学前の日課をやっていたら目の前に彼が……

「見つけた……」
「ダルイゼン!?」
「いいからよこせよその身体!!」

息も絶え絶えなのは分かるが……しかし彼の言った台詞をよく聞くとこの時点で既に嫌な予感しかしない。

変身して臨戦態勢を取るもお相手さんは見ての通りボロボロでそれどころじゃない。そして「助けてくれ」と求めているではないか。いくら花寺のどかだって不安そうな顔をしてしまう。再三言及するが「そうした方が良かったんだと思う」と言ったように、助けたい気持ちは少なからずだが確かに存在したのだ。それならなぜそれ以上に助けたくないと思ったのか……

助けをすがるダルイゼン。しかしその要求こそが………あまりにも彼らしく、それでいて彼でなければ出てこないだろうものであった


「頼む……キュアグレース……お前の中にオレを匿ってくれ………

「な、なに言ってるラビ!?」
「お前はオレを育てた宿主だ……お前の中ならきっとこの傷は癒える……キングビョーゲンに見つからずに回復できる………」


「たのむ………助けて……くれ…………」

キュアグレース…かつてメガビョーゲンの種子だった頃の自分が寄生し今の自分自身を生成してくれた。ならばそれをもう一度寄生することも可能だし、ついでに回復もできる。オレは消えたくないんだ。死にたくないんだ。それができるのはお前しかいないんだ……開口一番「いいからよこせよその身体!」と言ったのはそういうことである。

……彼の悪気の欠片も無い必死な縋り様で気付きにくいかもしれない。その要求の意味するものがなんなのか。ビョーゲンズである彼を体内に宿すということ、すなわち宿主は病を抱えることである。それを彼自身が求めている、自分自身が助かりたいから。
……そうしたらキュアグレースがどうなるかだって?そんなの劇中で一度ならず二度も示してきたじゃないか。前編で触れたように幼少時代からの長きに及んだ入院生活、そして彼自身によって再び…

「無駄だよ。ヒーリングアニマルにできることは祈ることくらいさ」「じゃ、がんばってよ。キュアグレース」
28話「苦しみの再来!?ダルイゼン、あなたは」より。前回ラストでメガパーツを体内に埋め込まれてしまった花寺のどか。かつての苦しみが再び襲いかかる……それを埋め込んだ本人であるダルイゼン、新たなテラビョーゲンを作るための実験を妨害せんと来たキュアグレースに前々からどこか気になる部分があったという興味があった。だからこそ。

かつて自分が意図的に苦しめていた過去があるのに、まるでそれを忘れたかのように苦しめた本人に(オレを助けるために)もう一度同じように苦しんでほしいと頼む。そういうことになっている。普通の人間なら過去のやらかしあるってのにこんなの頼めないでしょと良心が咎めると思うかもしれないが、自分がさんざんメガパーツを他の生命に埋め込み苦しませる一方で、自分自身がメガパーツを取り込めと言われたら難儀を示すし、なんならその受けた苦しみに対して怒るような彼なら良心による躊躇もなく言えちゃう。彼はそういう存在なのだから

そんな命の危機で必死だから彼女がどうなるとかそこらへん気付いてないだけかもしれないじゃないと贔屓目で考えたくなる人もいるだろう(それはそれで彼が自身の過ちに気付いてないバカになっちゃうけど…)しかし彼の言葉をもっとよく聞いてほしい。それこそ前編でちょっとだけ触れた……

「お前オレに言ったよな!『自分さえ良ければいいのか』って!?」
「結局お前も一緒じゃん!!」

6話にてビョーゲンズである自分が住み心地いい世界にするために自種族以外のあらゆる命を病毒で苦しめるダルイゼンに対してキュアグレースが言った言葉「自分さえ良ければいいの!?」彼はよりにもよってこのタイミングで意地悪く投げかけた……自分可愛さに弱ってるオレを見捨てやがる彼女に向かって。もう病で苦しみたくないと逃げる彼女に向かって。
ダルイゼンは己の行動によって彼女にもたらされる現象…病による苦痛を認識した上でキュアグレースに頼んできている。ビョーゲンズである自分を身体に取り込み、自分の傷を癒すという行為がどういうことを意味するのか……時間経過でメガビョーゲンが強化された際に花のエレメントさんは命を使い果たされそうになり死に瀕していたように、宿主の生命を喰らい……最終的には死に至らしめる可能性だってある。それを知っての上で己が助かりたい故にブーメランめいて投げつける。自分さえ良ければ他の命がどうなろうと知ったこっちゃない、オレが助かる為ならお前が苦しもうが最悪死のうが別にどうだっていいだろとして……あまりトゲが立つようなことをなるべく言いたくはないが言わざるをえない、どの口がぬかしている?と。ここまでだったなんてお前ほんと………



こうも最悪の捨て台詞とはいえ自分可愛さで拒絶したのは紛れもない事実、のどかの心に罪悪の念は残り続けていた……たとえ自分の身を犠牲にしてでもダルイゼンをも助けなくてはならなかったのかという迷いが。しかしそれ以上に……

「あのとき……わたし、自分のことしか考えてなかった……。だって…つらくて怖かったの………」

「強い気持ちでいなきゃ負けちゃうから……笑ってないと自分が潰れちゃうから……。だからすっごくがんばった………今のわたしを作った大切な経験だと思ってる………」


前回話したように花寺のどかは過去に病(ダルイゼン)で長い入院生活を送っていた。時に酸素マスクをつけねば呼吸もままならぬくらい辛く、そして苦しい日々だった……それでも優しき人々に支えられ生きる希望を諦めずに病魔と立ち向かうことができた。この頃も、そしてあの時も……

「前はね、原因が分からないままずっとずっと苦しいのが続いて…身体も心も不安でつらいままだったけど……今はビョーゲンズのせいだって知ってるもん。」
身体はやっぱりつらいけど……でもね、心はがんばれる……だってね、ラビリンがいてくれるもん
28話にてメガパーツを埋め込まれ再び昔と同じ苦しみに苛まれるのどか……それでも彼女は心の底から悔やみ心配してくれるラビリンを気遣い笑顔を見せる。昔と同じように大切な人が一緒にいてくれるから。だからその病を払い除けられた(言い忘れたけどケダリーはそれで生まれたし即効で倒された)

過去の経験があるから今の自分がいる。かつての自分を支えてくれた人々がいたから自分もそうなりたいと想い、そしてその想いがあったからプリキュアになれた。彼女のおかげで多くの苦しむ命を助けることができた。命の危機に晒す敵と立ち向かえた。21話で戦士以外の使命を知らなかったアスミに対して「経験で変わったんだよ」と言ったようにそのつらい闘病生活自体は忌まわしい過去だけではないと受け入れてる。しかし、しかしだ。だからといって………





「でも……それでも……叶うことなら……もう二度とあんな苦しい思い…もうしたくないよ……………」

だからといって(オレが助かりたいから)もう一度その病に罹って苦しい思いをしろなんて絶対に嫌だ。たしかに病を克服したのは事実だ。けれど、彼女はビョーゲンズがもたらす病がどれほど肉体的にも精神的にも苦しい病状というのは己が身で既に二度も受けよく知っている。本当に辛く、美化しきれない痛ましい記憶……そりゃ“助けなきゃならない”とは少しは思った、だからこうやって誰にも言えず悩み続けていた。それでもそれ以上に心から感じ取ってしまった。恐怖を。自分の気持ちをこれっぽっちも考えずお前がいくら傷つこうと別にいいから助けろと強要してくるダルイゼンに。

1話の頃からそうだったように花寺のどかは誰かを助けるために自分を危険に晒されようが絶対に実行したいという強き想いがあった。優しさ故に止めようとするラビリンもその信念の強さを知ったからこそ共にプリキュアになろうと手を合わせたのだ……時に勝算が見込めないほど敵が強くなろうとも、絶対に助けたいと心から想い諦めない優しさは存在し続けた……
 
……されどその危機を顧みぬ危うさもたまにある優しさはかつての自分を助けてくれた大切な生命を、命ごと脅かし苦しめ蝕む最終的に殺さんとする邪悪なる敵から守りたいためにある。すこやか市に住む温かい人たち、豊かな自然そのものなエレメントさん………いわば自分の命を支えてくれてる存在のために。そして彼は…ダルイゼンはどうだった?自分の大好きな存在を苦しめようが、そして自分自身を心身共に追い込もうも微塵も悪びれないどころか見向きもしない。一方的に因縁を感じつつも自己完結に過ぎずこちらの事なぞ実のところ全く意に介してない、挙句の果てには助けてほしいという要求すらも自分の命を脅かそうが構わぬという延長に過ぎなかった……

前編ではあくまで「花寺のどかは心から助けたいと想い生命を助けたように、ダルイゼンに対しては心から助けたくないと思ったから助けなかった。それは社会的な正しさ云々以前としての物語である」と強調するために、そこまで思わせてしまった理由を伏せていた。彼の所業を書いてしまったら「そりゃ誰だってそうなるだろ」と判断されてしまい、問いかけたい正しさからブレてしまうだろうから。こんなことされようが花寺のどかはネオ・キングビョーゲンに(自分がさっきダルイゼンを喰ったことを棚に上げつつ)見捨てる選択をしたと責められようが、その罪という事実を否定しないから……そこはちゃんと表さねばならないから。『ヒーリングっど♡プリキュア』という作品はそういうのだと伝えたいから。



「無理………わたし…どうしても嫌!嫌なの!」

「そうした方が良かったんだと思う」そんな“正しい”のような論は分かってる。でもそれ以上に何度も自分自身を苦しめてきたのにまだその苦行を強要してきた行為に心底嫌だと感じてしまった。それこそが「なぜダルイゼンを助けたくなかったのか」という理由……花寺のどかは望まれたら誰であろうと無償で助ける女神なんかではない。自分の大切な存在を助けたいから身の丈以上にがんばってしまうだけであって、本当は普通の女の子なのだから。最初からずっとそうであったように………

「…だったら助けなくていいラビ。悩まなくていいラビ!」
「え………」

のどかの心からの叫びを聞いたラビリンは…その答えを肯定した。本心を聞くまでは「自分の使命のせいでダルイゼンを助けたくても助けられないなら使命に背こうが助ける」と思ったが、そんな彼女の本当の気持ちが分かれば……後を押すだけだ。のどかのために。

「のどかが自分を犠牲にしなきゃいけないなんて、そんな義理も責任もないラビ!のどかは十分がんばってくれてるラビ!それはラビリン達がよく知ってるラビ!!」

“自分を犠牲にしてまで助けなければならない”そもそも彼女が助けてきたのは義理や責任そして生まれ持った使命なんかではない、純粋なる気持ちで“助けたい”と想ったからだ。そしてそのために多少の無茶をしてでもがんばってきてるのはよく知っている。ちゆちゃん、ひなたちゃん、アスミちゃん、ニャトランにペギタンにラテ……そしてラビリン。強くなければならないと一人で抱え込むんじゃない、本当に掴むべき手は既に掴んでいるんだ。

「もしのどかになんか言ってくる奴がいたら…ラビリンがぶっ飛ばしてやるラビ!!!!」
「だからのどかは自分の気持ちも、身体も大切にしていいラビ!のどかが苦しまなきゃいけない理由はひとつもないラビ!」

思えばラビリンは歴代シリーズの妖精において珍しく体育会系というか熱血系という印象が強かった。同期の2人より正義感が強く、スポ根ビーチバレーアニメにハマり、この「ぶっ飛ばしてやる」という力強い台詞……そして彼女もまた、のどかのように“助けたい”という熱き優しさを備えていた

だからってほっとけないラビ!地球がこんなに苦しんでるのに!
それは1話「手と手でキュン!二人でプリキュア♡キュアグレース」からだった。単独では戦えず人間と協力しなければならない見習いとはいえ残されたヒーリングアニマルとして地球のすこやか市に降り立ったラビリンたち。当初は絶対に失敗しないお医者さんと組みたいと某ドラマの天才外科医を彷彿させる人がいいと言ってたが実際のところ巡り合ったのはごく普通の少女…いや、普通の少女にも関わらずビョーゲンズ現る危険地帯に自ら侵入する向こう見ずめいた危うげ含む少女・花寺のどかだった。本当に危ないと注意しても「だからってほっとけないの!この子(ラテ様)こんなに苦しんでるのに……」と決して引かぬ…見習いごときじゃ勝てるわけないメガビョーゲンに果敢に立ち向かうもワンパン返り討ちされた際の自分も同じ事を言った……使命という先天的なのと経験による後天的なのという違いはあれど、ラビリンとのどかの「命を助けたいために無茶を承知で駆け付ける」は同じだった。そして心の肉球にキュンとくる……
のどか……本当にあいつに立ち向かう勇気はあるラビか?
この子を助けられるならいくらでも!

のどかの事情も……気持ちも聞かないで色々決めちゃって………ラビリン、お医者さん失格ラビ……
ラビリンはのどかに助けてもらったみたいに、のどかに難しいことはラビリンが助けるラビ……だから、のどか……やっぱり……ラビリンのパートナーを続けてほしいラビ!
そんなラビリンだが次の2話「パートナー解消!?わたしじゃダメなの?」でのどかの体力の無さを鑑みて危ない戦いに巻き込みたくないとプリキュアとしてのパートナーを解消すべきと思ってしまう……だけど彼女の過去の闘病生活を聞き、命を助けられた過去があるからこそ大切な命を助けたいという覚悟を受け入れ、そして相棒が困っているなら彼女の為に全力を出して助け共に戦うと決めた。そして地球とそこに住まう生命を護るために共にビョーゲンズと戦い続け……



「ありがとう………」
ヒーリングアニマルは“お手当て”という形で悪しき存在から地球を護り命を救う戦士。そして見習いであろうともラビリンは間違いなく花寺のどかの、心からの大切なパートナーの命を救った……一番最初に出会った際に倒木に足を挟んだのを助けてくれたように。のどかが心から感じた“本当の気持ち”ならばどこまでも一緒に付いていく覚悟を持ち、そしてのどかを“助ける”ために全力で害する悪と戦う。ラビリンこそ真に共に立つパートナー…これこそが一年かけて積み重ねた“絆”なのだ。どれだけ気になろうとも相手側がどう思おうが聞く耳を持たず一方的に搾取しようとしたアイツとは決定的に違う。ラビリン、君が彼女のそばにいてくれてよかった……


そして戻ろう、あの時へ。


「助けてくれ……」
「ダルイゼン!グレースの優しさに付け入るのはやめるラビ!!」
暴走してる筈のダルイゼンだがキュアグレースに対しての意識だけはハッキリと……未だ諦めずその巨体で彼女の体内に侵入しようとしつこく接近してくる。「お前だけが頼りなんだ……お前の中に……」と迫ってくる。たしかに苦しみの中で必死に求める命乞いなのは事実だろう。しかし、しかしだ…ここから先は本人が言うべきだろう。ということで始めよう、己のこれまでやったことの、これからやろうとすることの精算を

「そしたら、わたしはどうなるの!?」

もはや彼女には迷いがない。お前の要求というのは何をするつもりか、それが何を引き起こすのか、真正面から向き合って言ってやる。もはや恐怖で後ろを向けたりなんかしない。

「いつまで!?あなたが元気になったらどうするの!?あなたは私達を、地球を二度と苦しめないの!?」

彼は…ダルイゼンは助けてくれと言ったのは嘘偽りない本心だ。しかしそれがのどか本人をどれだけ苦しめるのかを無視してるのは勿論のこと、仮にそれで回復した後に改心するなんて保証は微塵も無い…というかこれまでの意に介さない行いの積み重ねから絶対そんな恩知らんがなと地球を蝕み命を奪うだろという負の確証すらある。事実フォンテーヌとスパークルに蹴られつつそんな事実をグレースに言われた際は拒むことへの苛立ちが顔に出ており……


「私はやっぱり、あなたを助ける気にはなれない!!」

「ダルイゼン……あなたのせいで私がどれだけ苦しかったか…あなたは全然分かってない!分かってたら地球を、たくさんの人を蝕んで嗤ったりしない!」


「都合のいい時だけわたしを利用しないで!わたしはあなたの道具じゃない!!」
「わたしの、身体も、心も全部、わたしのものなんだから!!」

花寺のどかの体内に侵入し、その身体を媒体にして生まれたテラビョーゲンのダルイゼン。彼はビョーゲンズの自分が住みやすい病毒に汚染された環境にせんと他の生命を蝕み命を蹂躪することだって全く悪びれない…「自分さえ良ければそれでいい」から。そして運命のいたずらか彼女に再び出会った。自分を生み出した花寺のどかに、自分の侵蝕行為の邪魔するキュアグレースに。他の生命に無関心な彼がなぜか彼女に特別な関心を抱く…それの理由を知り、そしてだからこそ自分の命の危機の際には助けを縋った。お前ならばと。お前はなぜ逃げる。オレを見捨てるのか。オレを拒絶し、むしろオレを叩きのめすのか。オレはこんなにも苦しんでいるのに。オレは………

ふざけるな。自分が何をやったのか顧みないのか。お前のせいで彼女は長きこと病に伏せていた、そして時に息することも苦しく、いつ終わるか分からない辛き入院生活を強いてきた。その際に彼女は助けてくれた心優しき人々のおかげで生きる希望を持ち続けた。それなのにそんな彼女から生まれたお前は彼女が大切にしたいと想う生命を苦しめ、傷つけ、殺さんとしている。なんの悪びれもなく。さらには彼女自身を同じ病で今度は意図的に罹患させ苦しめた。そんな他者の痛みを無視する割には自分の身に起こるものには敏感で、己が積み重ねた非を棚に上げたかのように申し立てる。そしてこれも……結局は彼女のことを傷を癒やすための道具にしか見ていなかった。その命を犠牲に自分を助けろと強要しているに過ぎなかった。どれだけそれが彼女の心を追い込んだのかを知らずに。お前を追い込んだキングビョーゲンとやってる事は全く変わらない
ビョーゲンズのダルイゼン、お前にとっては花寺のどかは『特別な存在』として認識しているかもしれない。だがな、彼女にはお前なんかよりも遥かに大切な存在がいっぱいいる…支えてくれた両親やお医者さん達、引っ越した先のすこやか市の住民、自然に息づく命、一緒に時を過ごす友達、そして自分を助けてくれた相棒……花寺のどかにとってダルイゼンは所詮……彼女の大切なものや彼女自身の命を平然と奪おうとする災厄であり、彼女に心の底から嫌だと思わせた害悪であり、彼女の大切なものや自分自身を護るために克服しなければならない病原体に過ぎないのだ

「医者モチーフなのに敵とはいえ命を奪っていいのか」今作に対してよく言われる批判のひとつだ。たしかに敵ビョーゲンズはその名の通りウイルスや細菌といった病原体がモチーフだが、その病原体だって生命として生きている。それなのに敵という命を浄化という形で命を奪うのはいかがなものかと。ニチアサには以前にウイルスもワクチンとして応用することもできるし、彼らも立派に生きているからと自身が生んだウイルスと手を取り合った作品なんてのもあった。たしかにこんな医学的視点から和解・救済できると示したのは感動したし本当に素晴らしいと自分も思う。
しかしだ……現実にも病を抱え暮らしてる人間はいる、それこそ花寺のどかのように幼き頃から罹り入院生活を送っているような子もいる。それはいわば「病気と共生している」と言えるだろう。だけどのどかの苦しく辛かった入院生活で示したように病というのは自分や大切な存在を苦しめ傷つけ、重症になれば平常に生きることすらできぬ不自由な生活を強いて心すら苛め、最悪は死に至らせる、できることなら患いたくない存在だし完治できるに越したことない。「(そういう重い病に罹らずこれまで生きていけた自分が)病気と和解しろなんて言える勇気はない」と香村純子氏がインタビューで言ったように。それゆえに(皆で支え合う心優しきすこやか市の住民たちと対称的といわんばかりに)他者の命を奪うことに躊躇しないビョーゲンズは和解や共生の余地が入りこまない敵として描かれた。皆が元気な日常を過ごすためには倒さねばならない病として……その「お手当て」をするのも医者という側面である


そしてもうひとつ、病は現実でも感染者の事情や感情など知らぬとばかりに常に一方的に体を蝕む。そんな病の悪しき部分を特に強調されたのが、主人公の花寺のどかの中に長き間巣食って宿主である彼女を苦しませ続けたダルイゼンだろう。
そりゃ現実のウイルスや細菌は人の言葉なぞ喋れんしで当然だが意思疎通できる訳ない。しかし人のような意思を持ち人の言葉を話す筈のダルイゼンもグレースの頬に泥を塗った時のように他者の声に耳も傾けず一方的に命を苦しめ続ける。特に宿主であった花寺のどかに対してはこれまで綴ったような仕打ちを何度も行い、それでも悪びれずお前がどうなろうともオレを助けろと迫り……

「一話の時点でこの結末は既に決めていた」
その言葉のとおり、彼女と彼の関係…かつて病に罹った患者とその原因である病という設定が成された時点で二人の話は迎える結末へと積み重ねられていた……いつか分かり合える優しきものではなく、それでいて因縁のライバルのような熱きものでもなく、病による被害者と病そのものという加害者として。最初からの関係を徹頭徹尾に一貫して
そしてその病であるダルイゼンは……これまで書いてきたとおり、最初から“病”そのものであった。こちらの心情を意に介さず傷つけることしかしない侵略者だった。そして最後も……結局は加害者であった。根底から“病”だった。
「のどかが苦しまなきゃいけない理由なんてひとつもない」相棒が言ったように、彼は最初から最後までずっと自身の何もかもを苦しめる存在であった。そしてこの「結末」へ辿り着くべきして到達した……その“病”の一番の被害者であった自分が、己を身も心も苦しめようとする“病”という敵を打ち払い、大切なみんなと一緒に健康に日常を暮らせるようにしたい為に戦うという結末に。最初からそうであったように





「オレだって……オレの身体も心だって……」

そんな彼女からの心からの糾弾を聞いてもなお、最後の台詞は自分のことばかりであった……本当に、彼に和解などという余地は無かった。あのエゴエゴだって他者への優しさの力に負けた際に理解してたというのに。
そして完全に浄化しきれず、念願のメガパーツを埋め込んでない元の姿に戻っていた。いやあ ほんとによかったね!……最初に語ったように香村純子は敵に対して無慈悲なる最期を与えるのに定評ある人だ。あまりにも悪行を積み重ねた彼に待つ末路は……

「バカね、あんなに派手に暴れちゃ見つけてくれって言ってるようなもんじゃない……キングビョーゲン様〜♡ダルイゼンはこちらで〜す♪」
「ようやくか……もう少し早ければもっと進化した状態で取り込めたものを……まぁよい。」

キングビョーゲンの目論んだ計画通り吸収されていった。“自分のため”だけに他者の命を喰らおうとしていた存在は、襲わんとした者の“自分のため”にで跳ね除けられ、そして他の“自分のため”に命を喰われるという典型的かつ悲惨な因果応報な終わり。そしてこれ以降彼の出番は終わり……終盤プリキュア達のピンチになんかカッコよくキングの体を突き破って助けたりとかしないし『Go!プリンセスプリキュア』のクローズみたいに最後まで残る因縁の相手みたいにならない。お前のような(顔が良くて同情されがちな悲劇の悪役みたいに表向きは見せようが)最悪なことばっかやってた奴が有終の美を飾れると思うなよという後味悪い結末をあえて捧げるとは……
確かにテラビョーゲンのダルイゼンはのどか達にとっては最後まで相容れぬ敵だったのは事実である、しかしビョーゲンズという組織内においては反逆もせず真面目に活動していた。それなのにそんな仲間すら平然と喰らいつつ「ダルイゼンを見捨てながらよく地球のみんなを守ると言えるな?」と直前までやってた非道をさも棚に上げるような事を言ったキングビョーゲンに彼女は……

「そんな言葉には負けない……わたしは絶対あなたを浄化する!それがわたしの……今の気持ちだよ!」

もうそんな狡い言葉に絶対に惑わされない。こっちは仲間を守るために戦って、だからその為にダルイゼンを倒したというのに、仲間の命すらも使い捨ての道具にしか見てなかったお前なんかにそのことだけは言われたくない。そしてお前自身もそうやって他者を苦しめ殺すことしかできない存在なら……絶対に負ける訳にはいかない。みんなのために。自分のために



・おわりに……?

「思った以上に最低最悪で、哀れみすら惜しいくらい愚かな奴」改めてダルイゼンというキャラクターを見て自分はそう感じた。本編であれだけ彼サイドにのみ映し出される同情を煽るような描写も、結局は彼の罪をさも隠すような騙しの手段に過ぎず、本人もその罪を顧みないからこそ感情に嘘偽りのないものになって、それでも最後の最後に全て被害者にバラされてしまい、終わる寸前にもその過ちを振り返ることすらできず……

こんな歴代プリキュアシリーズでも類を見ないレベルで救えない存在で悲惨な退場をしたダルイゼン。流石にここまでの敵はなかなかいない……なかなかということは個人的見解として似たパターンが思い浮かんだ敵がいたというなる。それは…『Yes!プリキュア5』のカワリーノ、それと『Yes!プリキュア5gogo』の館長。

カワリーノさんって黒い紙で追い込む激ヤバ上司のイメージばかりでむしろキングビョーゲンっぽくどんな最期だったか忘れがちだし、館長に至ってはそもそもどんな奴だったけと思い出せない方にそこらへん詳しく書いたのがここに(まさか前回書いたのがこんな形で活かされるとは思わなかった)ざっくりまとめればカワリーノさんは「親愛する主のためにとやってた凶行が所詮は一方的な独り善がりに過ぎず、自身の頑張りがその主に否定されて全てを失った」で館長は「自身が欲する物以外を蔑み親愛してくれた部下すら切り捨てたのに、その欲する物が横暴な彼を救おうとした想いすら踏みにじり悲哀と共に見限られた」というかなり自業自得で悲惨な末路になっております。

とまあ自分は今回ここでダルイゼンのことをメタクソに書いちゃったけど、実のところ彼は敵としては好きなんですよ。カワリーノさんしかり館長しかり自分のどこが悪いか分からぬまま消滅していった悪というのは終わりが美しくないからこそ輝くってものがあるもんだし。プリキュアシリーズといえば作品ごとに毎回変わるコンセプトやテーマの多様性がウリとも思ってるし、前年のスタプリの「理解されない故の軋轢」のえげつなさから彼らビョーゲンズみたいな真に分かり合えない悪になったのはいい差別化だと思うし、たまにはまたこういう真に救えない敵とか出てきてほしいなぁと思ってたり……流石にあとまわしの魔女のみんなは全員仲良く生還してほしい。いやマジで。そんなことされたら泣いちゃう。【追記】よかった……。やっぱちゃんと謝るの大切だよね。聞いてるか最期に侘びの一言を残せんかった者よ

個人的にはみんなを助ける為に戦ってたキュアグレースがダルイゼンを許せなかった結末に対して不満を抱いてる人はちょくちょく見かけるし別にそれは仕方ないで流すしかないんだけど、それはともかく自分としては彼が何者だったのかを、そして彼女が助けるとはどういうものなのかを文章に記して『ヒーリングっど♡プリキュア』という作品に対してきっちりと向き合いたかったもんで。なぜなら彼みたいな奴は現実にも実際に……


……この話はあとがきにでも書きましょう。それではまた!すこやか最高〜!!!

あとがきです。









【しょうもないお気持ち表明タイム】

なんでこんなの出したバカ!!!せっかく「1話であの結末は決めていた」と言ってたのに確認せずこんな勘違いするようなの売るなよ!!受注生産の大人向け高額商品なんだからそこらへんちゃんとしろよ騙してるみたいじゃねーか!!仮にこれがちゃんとやってたらキュアピーチ&イースとかキュアハート&レジーナとか出る可能性あったのにそのチャンス潰しやがって商売下手くそか……ほんと駄目。ZAIAスペック(裏側スカスカで1万以上のアレ)。反省してほしい。企画した奴どんな神経してやがる!!ガシャッ!(電話を切る音)

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