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11月2日「犬も歩けば棒にあたる」

昔、それほど小規模ではなかったけれど、看板を制作している家族経営の会社の面接を受けた事がある。筆記試験から始まり、お母さんらしき女性と息子らしき男性とそれぞれに面接を受けたが、お母さんらしき人から座右の銘を教えてくださいと言われて困惑した事がある。咄嗟に「犬も歩けば棒に当たるです。」と答えたが、それに対してどのような突っ込みをされたかは記憶にない。

座右の銘がどうゆうものなのか良く分かっていなかったので、その答えで良かったのか不安になり、その後友達に聞いてみたところ「棚からぼたもち」と言っていたので、それほど悪い答えではなかったと思った。

その後、妹夫婦にその話しをしたところ、人事を担当していた義理の弟が、「そうゆう質問をする時は、相手に興味が無いときなんだよね。」と、薄っすらと笑いを浮かべながら言っていたが、数日後やはり履歴書が返送されてきた。私の座右の銘が悪かった訳ではない事は分かった。

「犬も歩けば棒に当たる」と答えたのには理由があって、昔から外を歩くとかなり頻繁に顔見知りや知り合いや友達に偶然出くわすからだった。

親しい友人がたまたま仕事で遠出をした先でランチをしていた店の前を、たまたま通り掛かって窓越しに目が合うとか、駅の階段を降りてきた人が昔の憧れの人で、ちょうど同じ方向のバスに乗るという偶然にはときめいたが、翌日もう一度繰り返された時は結構驚いた。どの人ともお互い遠くから近づいて再会に驚くというドラマチックな場面を経験する事が多かった。何でこんなところで?!という場面で知り合いに遭遇することが本当に多々あって、家の近くの大学で授業を受けていた英語の先生と、札幌のホテルのビュッフェでばったり会うという事もあった。(ちなみに東京在住であります)

ともかく外に出ると大なり小なり知り合いに会うものだなと、常々思っていた。新しい知り合いが出来る事も多くて、外を歩くとよく出会いにぶつかったものだ。

さて、その看板屋さんの面接を受けてから座右の銘をちゃんと決めておこうとしたが、その後座右の銘を聞かれることは一度もなかった。

そしてその面接の最後はコピー取りのテストで、ストップウォッチを持った若い女性の横で必死にコピーを取った事を思い出す。これも人生でたった一度の貴重な経験となった。

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