【二胡の運指】もしも楽器が逆さまだったら
前の記事で、1音の指の距離について調べた。
手のポジションが胴に近づくにつれて、1音の押弦点の距離は縮まる。どれほど距離が変わるのか、その数値をものさしで測って調べた。いちばん長い距離は♭B調外弦なら千斤から半音の「1」から次の「2」の音までで、約40mm。1オクターブ上の「1と2(上に点)」の間は約19mmで、距離は半分弱になることがわかった。(原理上ではなく、ものさしで測ったざっくりな数字)。
ポジションが胴に近づくにつれて、1音の弦の長さは段階的に縮まっていく。間隔を感覚で身体に叩き込むしかない。音程正しく演奏するのは、なんともやりがいのある技である。
40mmの「1,2」と19mmの「1,2(上に点)」を交互に押さえながら、ふと思ったことがある。
「これ、逆じゃなくてよかった!」
もしも、もしも、二胡がこんなふうに弾く楽器だったら。。。
つまり、上下逆さに持つ楽器だったらどうだろう?
手のポジションが下(足のほう)にいくほど、1音の指の距離は長くなることになる。
普段、40mm幅で押さえている「一の指」「二の指」をそのままの距離を保ったまま、スルスルと下げて、第3ポジションを押さえることはできるだろうか。かなりツライ。
なぜツライのか。手首と弦の角度を同じに保ったまま、肘を支点にして手首を弦の下の方にずらしていくと、手首を親指側に曲げることになる。が、曲がらない。手首は小指側への可動域は大きいが、親指側にはほとんど曲がらない。
弦を押さえるとき、掌は下向きにする。指は弦に対して横からではなく、上から弦に向かう。指をなるべく弦と平行にするのが基本だ(平行にはなり得ないけれど)。特に、1音の幅(距離)が遠いときは、そのようにしなければ押さえられない。1音の幅が狭ければ、指が弦に対して垂直に近くなっても押さえられることは押さえられる。
だから、通常の持ち方で、第3ポジションでの1音の距離が短いのは、身体のつくりからみるととても合理的で、ありがたいことだ。
【実践】
もしも二胡が逆さまに持つ楽器だったら。。。と考えているうちに、やってみればいいじゃないか、と気づいた。
やってみたら、弾きにくかった。1音の距離のせいだけじゃなかったが。
お試しあれ。
注1 「押弦点」とは、勝手な命名なので、正式名称がわかったら修正する。
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