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【二胡の運指】1音の指の距離(1)

ラーーソラーーソラドシソラーソ
単純だが、なんとも美しい旋律。

『二胡で奏でるTVテーマ曲 ジャー・パンファンセレクション』に入っている「モヒーニー(魅惑)〜シルクロード」の出だし。調は♭B。
低い音で始まり、8小節のメロディが次に1オクターブ高くなって現れる。

(線と点が赤いのはtextmusicで入力したため)

さて、二胡の運指は、ポジションが胴に近づくにつれて、1音の指の間隔は狭くなる。これは二胡に限らず、バイオリン、ギター、弦楽器に共通。説明されなくても、二胡を練習していれば感覚でわかる。でも、実際どのくらい1音の指の距離は違うのか?知りたくなって調べてみた。

本当は計算して半音ずつの距離を知りたかった。理系の弟に聞いた回答は…

半音の比率は2の12乗根。弦が出す音の周波数は最も単純な原理的物理モデルでは弦長に反比例する。つまり半音で隣り合う音の弦長の比は先ほど出てきた2の12乗根に等しい。

それでつまり、千斤から半音ずつの押弦点の距離は何ミリなの?
答えは、「計算は自分でやって」だった。お手上げ。
計算で出すのは諦めて、アナログに行くことにした。

ギターのフレット間の距離

ギターにはフレットがついている。その距離をものさしで測ってみたら、こんな感じだった。34mmの幅のどこを押さえても同じ音が出るとは楽な楽器だ。

さて、二胡の場合は、フレットがない。どうやって測ろうか。指で押さえたポイントに印をつけるのは無理がある。

そうだ!いいものがあった。

天華之韻 二胡 付属「音位標尺」

これは、千斤の下につけられる棒で、指の位置がわかる小道具。私が最初に買った二胡にはついていなかったので、このようなものがあるとは夢にも思わず、ひたすら弾きながら耳で聴いて音程をとって練習した。だから、新たに買った天華二胡についていたこの棒は、使ったことがなかった。

この点々の間の距離を測ればいいではないか!と思いつき、ものさしで測った。赤はモヒーニー冒頭の内弦旋律の4音。緑はその1オクターブ高い第2ポジションでの外弦旋律の4音。第3ポジションの紫は旋律後半で出てくる音。

引用:『賈鵬芳の二胡教本 〜入門から極意まで〜』p.139 ♭Bポジション図
赤、緑、紫の数字は筆者が記入

引用元のポジション一覧図の下には、「わかりやすくするために、全音、半音の幅をどのポジションでも同じように表しています。実際には高音域になるにつれて、音と音の距離は縮まっていきます」(賈鵬芳2001)とある。
測ってみると、本当にそのとおりだとわかる(当たり前だが)。

距離はいずれも極めて「だいたい」の数字なのであしからず。また、当然ながら、自分の二胡の千斤から駒までの距離によって変わる。
それでも、こうして数字を見ると、全音も半音も、♭Bで1オクターブ高い旋律を弾くときは指の距離は約3分の2だ。「かなり違う」と思う。

紫、第3ポジションの 1 2 (上に点)の間は19mm。モヒーニーでは使わないが、第1ポジションの 1 2の間は40mm。なんと、1オクターブ上がると指の距離は半分以下になる。

第1ポジションから第3、第4ポジションにかけて、半音の指の距離は「少しずつ」縮まる。寸分狂わぬ音程で演奏できたら、これはもうすごいことを成し遂げているとしか言いようがない。測ってみてわかったことは、やっぱり練習あるのみ、ということ。

ギターはいいなあ。。。

参考

「モヒーニー」が入っている楽譜↓


ポジション図の引用元↓


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