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お姫さまのお話

お姫さまはお花の中で暮らしています
お姫さまはお花がすきで、お花もお姫さまのことがすきです
いつもお互いに相手のことをずいぶんすてきだな、と思っています

あなたの目にうつるお姫さまは1人だけど、実は1人ではありません
彼女がいるのはお姫さまの胸の中
月も星もよく見える森のような場所に立つ小さなかわいらしいお家の中
生まれた時から2人はいつも一緒です

夜になってお姫さまが眠るとき、彼女も同じように眠ります
でも時々は起きて星をじっと見つめていたり(そんなとき、お姫さまはとてもすてきな夢を見ます)お手紙を書いたりして過ごします
誰に書くかって?
それはお姫さまだったり、お姫さまはまだ知らない、でもこの時に会おうねって約束している人たちに
それはお姫さまが生まれる前からの古い大切な約束です
すてきでしょう
お姫さまは今こんな気持ちです
こんなお願い事を大切にしています、とか
(ええ、彼女はお姫さまのことを何でも知っています)
そろそろ約束の時間です、とかね
お手紙と言っても紙に書くのではありません
ここでは風や光に話しかけます
わたしたちの中には宇宙があるでしょう
それぞれ雰囲気は違うけれど、遠くまで見渡せばひとつに繋がっているでしょう
風や光はどこでも好きなところ、自由に飛んでいけます
だから必要な場所に届くのです

お返事が届いたら、彼女はお姫さまに伝えます
心臓でもハートでもないところをそっとやさしくあたためてみたり、色々な方法で
そうそう、お花にお手伝いをお願いすることもあるのよ
うんと静かに陽の光をつかまえて、花びらが透けるようすをお姫さまに見せてねって

彼女はお姫さまのことがだいすきです
お姫さまにうれしいこととたのしいことが何度もくり返しやって来ますように、といつも願っています
お姫さまが彼女のことを知っているのか、知らないのかは聞いてみないと分かりません

ね、そこのあなた
鏡をじっと見つめてごらんなさい
あなたは美しいでしょう
そしてあなたの中にきれいな色や景色をあつめて仕舞っておく場所、あるいは箱、または引き出しがあるでしょう
そこを開けて(のぞいて)ごらんなさい
きらきらした瞳の小さなかわいいあなたがいるはずよ

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