EDHの"勝利"を再定義する
EDHのデッキレベル、勝敗の決め方、特殊ルール、金額云々と色々話題に上がるのは最早日常茶飯事ではありますが、個人的にオススメしたいやり方があります。それはあなたの勝利条件を定めるというものです。
これは特殊ルールやハウスルールを新たに設ける、という話ではありません。例えば「手札を10枚以上にする」を勝利条件とした場合、手札が10枚以上になった時点でゲームが終了しあなたが勝利するワケではありません。
勝利条件を満たすと何が起こるのか、そう、あなたが満足します。
何言ってるんだ?と思われるかもしれませんが、要は楽しめれば良いワケで、実際にゲームとして勝利する必要は無いのです。ゲームなのですから「楽しむ」という目的が達していればそれは勝利なのです。
どんな勝利条件でも構いません、条件の難しさも自由ですし何個勝利条件を持っても良いです。デッキ毎に勝利条件が異なっても大丈夫で、そもそも対戦相手に勝利条件を公開する必要は全くありません。あなたが満足すればそれでいいのです。
ゲーム的な勝敗以外の基準を設ける事で、カードの強弱や金額・プレイングの差で中々勝てない、デッキレベルにどうしても差がついてしまう、といった問題を緩和する事が可能になります。
Timmy, Johnny, and Spike
ではその勝利条件をどう決めるか、突然言われても迷いますよね。そんな時に参考になるのが公式にあるプレイヤー分類です。
MTGではプレイヤーの気質や目的に応じてTimmy, Johnny, and Spikeという分類に分けることができます。それらの分類の説明に合わせて自分がどのタイプのプレイヤーか、どんな勝利条件が良いかを考えていきましょう。
ティミー/Timmy
つまり派手な・凄いカードや展開を求めるプレイヤーという事ですね。その中でも更に細分化されているので、それぞれを見つつそのプレイヤーに合った勝利条件を考えていきましょう。
パワー・ゲーマー/Power Gamers
巨大なクリーチャーや派手な呪文で対戦相手をぶちのめしたい。ステレオタイプなティミー。
「パワーが8以上のクリーチャーを3体以上戦場に出す」「全てのパーマネントを破壊または追放する」といった数字や効果が派手な事を勝利条件にするのが良いですね。
ソーシャル・ゲーマー/Social Gamers
親しい友人と一緒に遊びたい。多人数戦やハウスルールも好んで使うティミー。
「他のプレイヤーを驚かせた、笑わせた」「対戦後の感想戦が盛り上がるようなゲーム展開があった」といった、特殊ルールの「民主的勝利」に感覚が近いです。
ダイバーシティ・ゲーマー/Diversity Gamers
未体験のゲームを体験したい。新しいデッキ、新しいセット、新しいフォーマットを次々と求めるティミー。
「最新セットのカードを使用した」「毎戦新しいジェネラルを使用した」といった目新しさを重視した勝利条件にするのが良いでしょう。
アドレナリン・ゲーマー/Adrenalin Gamers
予測を裏切るゲームがしたい。コイン投げや今引きに左右されるゲームを好むティミー。
「ダイスやコイン投げで大きく勝利、または敗北した」「続唱や発見などでパワフルなカードが捲れた」といった運に任せた結果熱い展開になるのを勝利条件にしていきましょう。
ジョニー/Johnny
コンボやギミック、カードに興奮するプレイヤーですね。プレイだけでなくデッキを作る事も非常に楽しめるプレイヤーです。
コンボ・プレイヤー/Combo Players
新しいコンボを発見して、それを皆に見せたい。ステレオタイプなジョニー。
「最新セットのカードを組み込んだコンボを決めた」「必要カードが5枚以上のコンボを決めた」といった目新しさや難解さを持ったコンボを決めるのを勝利条件にするのが良いでしょう。
オフビート・デザイナー/Offbeat Designers
例えば土地単など、突飛な発想に基づくデッキを構築したいジョニー。
「相棒を用いたデッキを組む」「土地0枚デッキを組む」など、ゲームプレイよりデッキ構築に力を入れ、それを発表する場としてEDHを活用していきましょう。
デッキ・アーティスト/Deck Artists
例えばエルフの文化を体現したデッキや、ストーリーを再現したデッキなど、構築方法そのものが創造的なデッキを作りたいジョニー。
「灯争大戦」や「機械兵団の進軍」といったストーリーに準じたカードでデッキを組むようなフレーバー重視の構築をし、プレイングでその物語を披露しましょう。《一つの指輪》を《火の中へ投げ捨てる》といった対戦相手も巻き込んだ展開が出来れば最高の勝利と言えます。
ユーバー・ジョニー/Uber Johnnies
非常識なこと、他の誰もやらなかったことを実現することで個性を示したいジョニー。
「引き分けを目標にする」「誰も知らないカードを使用して対戦相手にテキストを確認させる」といった物珍しさを勝利条件にしていきましょう。
スパイク/Spike
所謂ガチ勢と呼ばれるタイプですね。スパイクの場合はゲームの勝敗に直結することが多いですが、しかしそれも正しい事です。勝利条件が「ゲームに勝つ事」なのも当然楽しみ方の一つなのですから。
イノベイター/Innovators
誰よりも早く「壊れたカード」を発見し、次のメタゲームを支配するデッキを生み出すことを目指すスパイク。
最新セットのカードからより強力なカードを見つけて試していきましょう。仮に試した結果思ったよりも強くなくゲームに負けたとしても「自分で見つけて試した」という結果が楽しめるタイプです。
チューナー/Tuners
いわゆるデッキチューナー。既知のデッキをパーツ選択や枚数調整によって最適化し、誰よりも完成されたデッキを目指すスパイク。
例えば構築済みデッキやネットにあるデッキレシピをブラッシュアップしてガチデッキまで引き上げるなど、デッキの洗練に力を入れ負けたとしても「どこをより洗練できるか」を見つけていく事が楽しめるタイプです。「洗練の課題を見つける」が勝利条件と言っても良いでしょう。
アナリスト/Analyst
メタゲームに注目し、仮想敵となるデッキを洗い出すことで、その環境で最適のデッキを見つけることを目指すスパイク。
特定のコミュニティでやると顔メタになってしまうので、どちらかというと統率者神決定戦のようなcEDHの大会を目指すタイプですね。
ナッツ・アンド・ボルト/Nuts & Bolts
プレイングを磨き、ミスを極力無くすことで他プレイヤーと差をつけることを目指すスパイク。
ゲーム毎の勝ち負けに固執せず、プレイングによって勝率を上げていく過程を楽しむ事ができるタイプですね。
ヴォーソス/Vorthos
現在は他にも追加の分類があり、ヴォーソスは所謂フレーバーやコレクション性を重視するプレイヤーです。
「特定のアーティスト・次元・カードセットのカードで揃えたデッキを組む」「拡張アートや高額カード・フルFoilを見せつける」など、EDHの場でこだわりを披露していきましょう。
メルヴィン/Melvin
メルヴィンはパズルのようにマジックを楽しむプレイヤーです。
「《謙虚》+《オパール色の輝き》のような複雑な相乗作用を引き起こす」「対戦相手が説明を求めるようなコンボを決める」といった、難解さに富んだ勝利条件を設けるのが良いでしょう。
あなただけの勝利条件を
色々な勝利条件を例示しましたが、この中から選ぶワケではありません。例えば「予算5000円以内のデッキで勝利する」のような縛りプレイ型もありますし、「プレイを配信して視聴者が50人以上」というような現代らしい条件を設けるのもあり得ます。
勝利条件はゲーム中に満たす必要も無いので「統率者を《アーイシャ・タナカ》にする」が勝利条件ならゲームを始めた瞬間に勝利しています。《武具師、アーイシャ・タナカ》も出せたら完全勝利と言って良いでしょう。
例えば私の場合は《幽霊火の修練者、オマルティス》の勝利条件を「オマルティスの上に+1/+1カウンターを10個以上乗せる」としています。元々コンボ好きなので様々なシナジーカードを使ってガチャガチャやってサイズを大きくしていくのは非常に面白いです。
あなただけの勝利条件を考え、それを目指してデッキを組んだりゲームをプレイする事で、ゲーム自体の勝敗に依存することなく満足する事が出来るのです。
無論それで100%問題が解決するワケではありませんが、よく話題に上がるような軋轢は緩和されるはずです。
ということであなたの"勝利"を目指して良きEDHライフを。
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