新型コロナにおける子供からの家庭内感染 傾向と対策
新型コロナに家族全員感染したので、知見をまとめます。何ぶん個人差の大きいものではありますが、これが地震や台風のような一つの災害の例として、家族で備えるための一助となればと思います。
経緯
小学校低学年の子供が高熱、通っている学童で既に陽性者有(小学校で陽性があったと発熱の前日にお知らせが来たが、同じ学童の子だという事は熱を出して学童を休む連絡をした時に知った)。検査して陽性。
2 日後私が高熱、検査して陽性。
夫はその翌日微熱、濃厚接触者として保健所から検査を手配後。陽性確認。
自宅療養約 1 週間の後、私と子供はホテル療養。
やっていた感染対策
夫婦共に40代前半、在宅勤務、基礎疾患なし、外食・会食・旅行はここ 1 年半以上なし、手洗い・消毒、マスク(不織布)、出かけたのは近所の小規模なショッピング施設での買い物、人のいない近所のマイナーな公園だけ。とても感染に気をつけていたというよりは、単に出不精なんだけど。
学童では、マスク・換気・おやつなしなど、基本的な感染対策はされていたが、陽性者がでていた。感染経路はおそらく学童。マスクをしていると濃厚接触者にはならないので、同じ学童で陽性者がでても、子供は濃厚接触者にならなかった。基本家族以外は濃厚接触者にはならない。
子供からの感染については想定していた。というか、もうそれだけは防げないから、そこは運に天を任せつつ、そうなるものとした上で、できるだけ自分達以外には広げないようにしようと行動していた。
路上飲酒や外食、会食をしてなくても、旅行にでかけなくても、不織布マスクをしてても感染はする。残念ながら。何か感染した人の行動がおかしい事にして安心したいかもしれないけど。子供がいたらもう運ですよ。今の蔓延はウィルスの特性によるもので、人々の気の緩みのせいではないと思う。
予防接種
予約できるようになって即予約したが、夫婦共に 1 回目が 8 月後半で間に合わなかった。ちなみ医師に相談の上、予約通り接種した。
新型コロナのワクチン接種の問診票で、1ヶ月以内にかかった病気の欄に「新型コロナ」と書くのシュール。
家庭内感染
子供が感染したら、家庭内感染はもう防げないと考えた方がいいかもしれない。熱が上がって、感染が発覚する前にもう感染しているから。あとは発症するかどうか。小学生以下の子供を、接触しないで看病したり、都度消毒したりしつつ 1ヶ月近く外出せずに過ごすなんて無理だよ。だいたい、子供の看病ってさ、夜は寝息を確認しながら横でウトウト眠る感じでするでしょう。自分も陽性と分かって、子供が熱を出してから部屋の中でもつけていたマスクを外し、トイレや洗面所をこまめに消毒するのをやめた時は、正直気分爽快だった。家族にどうしても感染させたくない人がいるなら、その人を隔離した方が良いと思われる。
濃厚接触者
同居の場合、家族は濃厚接触者になる。検査は保健所が手配するため連絡待ちになるが、連絡はこない。その間発熱した場合は自分で電話して濃厚接触者の検査をしてくれる病院を探す(保健所からそうしろと言われた)。
私はかかりつけ医が子供のかかりつけでもあった(小児科内科というやつ)ので、そこで検査した。
夫は保健所の手配で検査。私宛にきた保健所からの健康観察の電話で、濃厚接触者の検査の連絡が来ないと言ったら 3 分後くらいに夫に検査手配の連絡がきた。保健所まわってなくて大変そう。
なお、保健所への電話は全然かからないので、かかってきた時に必ずとってそこで色々訴えるしかない。
隔離期間
陰性なら濃厚接触者として子供の発症から 10 日 と 2 週間外出禁止(同居の場合)。なお、この後他の家族で陽性が出た場合、そこからさらに 10 日 と2 週間外出禁止。陽性なら発症から 10 日。陽性の場合のほうがかなり短い。
予防接種で重症化や発症は防げても、隔離期間は変わらない。リモートワークできない人は詰むと思うし、会社は業務を維持できないだろう。ゆえに子供が熱を出しても検査しない人が増えると思う。検査自体困難だし、陽性でもどうせ治療してもらえないし。そして感染はさらに拡大する。
病状
個人差が激しい。完全に運だと思う。私達家族は、症状や発症のタイミング、環境など、全てただただ運がよかった。家族感染して 40 代の母親が亡くなったニュースを聞いて、実はその母親は自分のことで、今見ている現実は夢なんじゃないかと思えた。
子供
39 度〜 37 度の熱がいったりきたりするのが 3 日間という感じ。アデノウィルスとか、ウィルス性の熱によくある、朝下がってると思ったら、昼ぐらいから上がるやつ。
幸い終始元気で、食欲もあり、漫画読んでゴロゴロしていた。解熱後匂いがしなくなったようだが、これはすぐに回復した。
夏休み中なので、授業に参加出来なくなることは無かったが、宿題計画の見直しを余儀なくされた。
私
40 度で、解熱剤を飲むと 39 度が 4 日間という感じ。熱より関節痛の方が辛かった。4 日目に関節痛が消え、熱だけになった時は身体が軽く感じで家事とかしてしまった。処方されたカロナールを絶え間なく飲んでいた。解熱してからは少し吐き気があり、匂いがしない程度で、デスクワークなら全然出来るという感じ。
辛さでいうと妊娠出産のほうが辛かった。悪阻が酷く、難産だったからだけど。本当に、妊婦さんと同居家族の予防接種は何よりも優先して欲しいと思う。
夫
一旦 38 度まであがってすぐ下がった。その後微熱が続く。匂いがなくなるなどの症状はなし。関節痛がひどく、熱がそれくらいでも全然起き上がれない様子だった。平熱が低いというのもあるのかも。
自宅療養
検査で陽性になると、保健所に連絡が行き、保健所から電話がくる。簡単な行動調査と濃厚接触者の確認など、その後毎日健康観察の電話がくる。40 度の熱でこれに応えるのは結構大変。それとは別に、かかりつけ医の方が完全なる善意で症状の確認とアドバイスのための電話をくれたのが有り難かった。息子が保育所の頃は毎週のように通院していて、毎年インフルエンザの予防接種でもお世話になっている方なので安心感が違った。
自宅療養で 1 番困ったのは食べ物がなくなる事。大人なら適当にすればいいが、先に感染して元気になった子供のご飯を 3 食用意するのは難しい。防災用の備蓄を使ったが、用意するのも大変。解熱剤がきいたタイミングを見計らって、対応した。
なお、市区町村提供の自宅療養セットのようなものはなかった。言ったら貰えたのかもしれない。
ホテル療養
発症から数日後、ホテル療養の案内がきた。もう私も解熱していたので( 37 度 8 分前後。平熱高め)、このまま自宅でいいかと思ったが、備蓄食料は残り少なく、病み上がりで家事などのケア労働をするのがキツイなと思ったので、私と子供はホテル療養へ。行きは介護タクシー、帰りは現地解散。
子供は入院経験が何度かあり、私も付き添い入院の経験があるので、こういう規則正しい隔離生活には慣れていた。子供と私は同室で部屋はツイン。
熱下がっているのにいいのかな?もっと酷い人を優先すべきでは?と思ったが、発症から 5 日前後に急激に悪化する人が多いらしく、ホテル療養中に救急車で運ばれていく人も何人かいたので、理にかなっているかもしれない。そもそもホテルでの健康観察アプリへの入力や内線電話の受け答えなど、40 度の熱でてきそうな事は何もなかった。もっと酷い人に必要なのは入院だろう。ホテル療養は現在、入院待機の意味合いが強いが、本来は無症状だったり、症状が軽かったりする感染者を隔離する目的のものだろうし。
なお、ホテル療養施設には子供の薬がないらしく、子供にじんましんが出たが薬は出せないと言われた。そんな予感がしたので家から市販の塗り薬を持参していて助かったが、療養施設は子供がいることも想定しておいて欲しい。
子連れは同じフロアにもいた。その子は 3 歳くらいで、母親はだいぶ参ってそうだった。うちの部屋で預かったり、おもちゃを貸してあげたりしたいと思ったけど、宿泊者同士は交流してはいけない。
療養者は看護師の方やホテルの方とは完全に隔離されており、全て窓越しや電話越しでの会話だった。館内放送でホテルの方が廊下に出る時間も案内があり、その間療養者は廊下に絶対出ないようにする、など徹底した隔離が行われていた。同じフロアの人達も、食事を取りに行く時にチラ見する程度で、お互いにあまり顔を合わせないようにしている感じだった。
あと、なんかすごいオシャレなホテルだった。新型コロナがなければ、オリンピックやパラリンピックに訪れた観光客が沢山とまっていただろう。いつか家族で泊まりに行こうと思う。有難ございました。
仕事
たまたま発熱したのが一般的な夏休み期間中だったため大幅な調整の必要なく休む事ができた。それでも出れなかった会議もあって、申し訳なかったけど。概ねラッキーだった。会社に報告した時「ひとまず何も気にせず 1 週間寝てすごして。その後のことはその時の状況でまた考えよう」と言われてとても心強かった。私も誰かが困った時、何も気にしないで任せろ、が出来る人になるぞと誓った。
解熱していたので、ホテル療養中はホテルで仕事をした。誰も仕事しろなんて言ってないが、私はやりたかったんだもの。もともとフルリモート、かつ比較的個人でできるデスクワークだから、私としては特に問題はなかった。ワーケーションみたいな感じ。後ろで子供が飛び跳ねてるけど。
ちなみに夫は自営業かつリモートのデスクワークで、特に差し迫った仕事がなかったのと、症状がそこまでひどくなかったので特に困らなかった。
傾向と対策:自宅療養
かかりつけから処方されたカロナールを 6 時間おきに飲んだ。鎮痛解熱剤は常備必須。とはいえ肺炎にさえならなければ、そこまで酷い症状ではないと思う。
頭痛や関節痛は保冷剤で緩和される感じがした。保冷剤は無ければジップパックに水入れて凍らしたやつとかでいい。大量に作れるのですぐ交換できる。
食事は備蓄のゼリー飲料がメイン。他には水分を意識的にとった。百均のペットボトルの口につけて寝ながら飲めるストローのやつ便利。出産時に定番のあれ。
あと、できればアイスクリーム。ハーゲンダッツよりもガリガリ君。なぜかガリガリ君が食べたくてたまらなくなった。あの溶けた雪が凍りかけたみたいなやつを口の中で溶かしながら食べたいと思った。天上のアイスクリームとは、ガリガリ君の事だったのだと私は高熱の中で確信した。
最近オートミールを朝食にしているから、たまたまオートミールが大量にあったのも良かった。フレークタイプのもので、炊かなくていい米という感じ。お湯と出汁の素を混ぜて電子レンジでチンしたらお粥になるし、粉末スープに入れて洋風粥にしたり、単に牛乳かけたり、ヨーグルトかけたり万能だ。オートミールはモードレス。
家族感染の場合、母親はちょっとでも症状が良くなるとケア労働にまわりがちだけど、産後だと思って養生した方がいい。
防災用の備蓄大切。他の災害にも使えるから、ぜひ備えて欲しい。
傾向と対策:ホテル療養
食事
ホテルや市区町村にもよるだろうけど、食事が唐揚げとかトンカツとか、揚げ物の弁当なので連日はきつい。運動部の高校生かよ、くらいのボリューム感。フルーツなどを持参、もしくは差し入れしてもらえるといいが、そんなに持てないし、買いに行けないし、家族も陽性で差し入れにいけないし、などあってなかなか難しい。
粉末スープやインスタントコーヒーなどは軽くて家にあるものを持って行きやすいので重宝すると思う。
私は揚げ物の衣をはがしたり、ホテルはお湯を沸かせるので、持参したマグカップにお湯とご飯や漬物などを入れて雑炊のようにしたり、濃い味付けの肉や魚をお湯であらったりして対応した。そう、離乳食のとりわけの要領である。こういう事も解熱しているからできることだけど。
正直、食事はお弁当ではなく、市販のロールパンと 6P チーズとオレンジジュースとか、コーンフレークとパックの牛乳とか、そういう適当な物でいいと思った。病院食も朝食はそんな感じだし。
あと、これは入院の時にいつもやっているのだけど、ピクニックシートを持っていき、食事はいつもそこでした。子供がこぼしても平気だし、なんだか楽しい気持ちになる。敷く場所も色々変えたり、照明を真っ暗にしてベッドライトだけつけ、敷物をテーブルクロスみたいにして、オシャレなディナー風にして食べたり、隔離生活を楽しむ方法は色々ある。比較的元気ならだけれど。
洗濯は洗濯機は利用できないので、下着や T シャツはお風呂で洗って室内に干した。子供はお風呂で洗濯するのが面白いようで、たしかに現代ではあまりやらないよなと思った。折り畳みのピンチハンガーやロープがあると便利。
些細なことだけど、長期にわたる隔離生活なので、あらかじめ爪を切っておいた方が良い。子供のは切ってたのだけど、自分のを忘れていて滞在中何かと困った。
子供
せっかくの夏休みが大変な事になったが、子供はホテルでの生活をそれなりに楽しんでいるようだった。キャンプみたいな感じ。性格にもよるけど、なんでも楽しめるのが子供という生き物なのかも。漫画、夏休みの宿題、iPad 、LEGO 、お絵描きセットなどを持ち込んだ。
YouTube で動画を見たり、ノートに漫画を描いたり、ベッドと布団で基地をつくったりしていた。
なお、なぜ子供と私でホテル療養なのかというと、夫は陽性が分かったのが遅かったので、順番的にそうだったのと、子供が自宅療養に飽きており、かつ食欲旺盛だったのでホテルという環境の目新しさや、食事が手配されるのがいいと思ったからだ。あと、子供と私のペアは入院経験が豊富で、そのような環境に慣れていたというのもある。ただ熱でボーッとしていた事もあり、今思えば正しい判断だったのか疑問ではある。
我慢しない
これは付き添い入院時に覚えたことだけど、どんな症状も遠慮したり我慢したりしない方がいい。優しい人ほど何かと我慢しがちだけど、それでは相手が症状を正確に把握できない。
お金
自宅療養やホテル療養は医療保険の入院給付金が受け取れる(契約内容によるかも)。面倒でも療養の証明を保健所に依頼した方がいい。
傾向と対策:学校と家庭内感染
家族全員感染する前提でシミュレーションを。
ネットで色んな人の意見をみる限り、正直見積もりが甘いと思う。親の隔離期間の事を考えてない人が多いし、感染する可能性を低く見積っている。クラス全員感染していたとしても、陽性になるのは高熱などの症状が出て、親が検査をしたいと望み、医者がした方がいいと判断した時だけ。学校ではマスクしてるので濃厚接触者はいないし検査もしない。これではまず感染は防げないから、そこははなから期待してはいけない。検査状況は流石に改善されるかもしれないが、それはそれで隔離期間の学業や仕事の問題が残る。
個人的には学校は少なくとも親世代の予防接種が終わるまで再開してはならないと思う。しかしこの親世代は、7 月のワクチン供給不足のせいで、8 月後半から 9 月にやっと 1 回目ができるという状況だ。
予防接種が完了したとしても、隔離期間中の子供の教育と、親の仕事の問題があり、学校ではオンライン授業併用、会社ではリモートワークの推進、リモート不可能な職種は補償の充実などが不可欠だろう。
しかし現状ではその双方とも可能な環境は、裕福な家庭に偏っている。感染したり感染によって困窮するかどうかは、賢いかどうかではなく、裕福かどうかだと思う。この先、格差がより明確になっていきそうだ。
傾向と対策:後遺症
匂いがしない
今のところ、匂いがしなくなる症状が残っている。香水や石鹸、刺激臭などはするので、日常生活ではそこまで困らない。
味覚はあるので食欲も全然減らない。ドーナツは匂いがしなくても美味しい。私がちょっと食に貪欲というのはあるのかもしれない。妊娠中ずっと酷い悪阻で吐いていたが、吐きながらも普通に食べており、吐き気があるのに食欲があるってすごいな、と医者に言われていた。ただコーヒーはただの苦い汁になるので、仕事で料理する人や専業主婦で料理を担当している人はかなり困るかもしれない。匂いを頼りに焼き加減をみたり、味を整えるのが難しい。全然匂い分からんから雰囲気で作ったわ、が許される状況でないと料理は出来ないかも。
また、匂いがないというと食事などでの風味の欠落についてがフォーカスされがちだが、嗅覚というのは何かを嗅ぎ分けて識別する役割よりも距離を知覚する役割が強いものだと分かった。身体感覚としては音が聞こえなくなったのに近いような気がする。これはなかなかの発見で、あらゆるものの見方が変わった。失ったのだけど、得たものも大きいという不思議な後遺症だ。
倦怠感など
正直よく分からない。普段から月の半分くらいはバイオリズム的に眠いし、しょっちゅう貧血になるし、頭痛はあるしで、全く健康体とは言えないので特別いつもと変わらない。
普段健康で、特に何の不自由もない人は、後遺症で突然何か不具合が出ると絶望的な気持ちになるのかもしれないなと思った。でも人類の何%かは思い通りにならない身体を抱えて生きているんだよね。新型コロナ関係なくずっと。
発症から1ヶ月後に色々症状が出ることがあるらしいので、本格的に困るのはこれからかも。ちょっと抜け毛が多い気がするなあ。なんとなく産後の感じと似ている。抜け毛は少し地肌が気になる程度なら、ヘアターバンとか便利です。可愛いやつ買っちゃおうかな。
私は、虚弱な人もそれなりに楽しく生きれた方がいいと思うし、忘れっぽくても髪の毛が抜けても平気でいられるような社会になって欲しいと思う。そうしたら新型コロナの後遺症以外の病気の人も生きやすくなる。
後遺症に関しては医療モデル的アプローチも必要だが、社会モデル的アプローチをもっとするべきだと思う。感染対策を促進するために、後遺症の恐ろしさで人々を脅す事に力を入れすぎてはいないだろうか。倦怠感があると働けない、髪の毛が抜けると人前に出るのがつらい、それは後遺症ではなく、社会の方にある問題だ。
そういう意味で、新型コロナ後遺症は、社会が作っているとも言えるのではないか。後遺症による生きづらさは、社会が変わる事によって無くせる。既に新型コロナの蔓延はそのような考えを社会に広げていく必要がある所まで来ている。今は世界的にとても大変な状況だけど、ならばせめてその社会の変革によって、病気の人も、障害のある人も、貧しくても、皆んながもっと、それぞれのやり方で、楽しく生きられたらいいなと思う。
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