見出し画像

【ファシリに悩む人へ】問いのデザイン~創造的対話のファシリテーション

会議のファシリテーションを任せられて、ドキドキしたことはありませんか? 自分がファシリテーションをしなくても、上手な人の会議に参加すると充実した時間だったと感じたり、新たな学びがあったり。

私も、国際女性ビジネス会議でのテーマ別円卓会議にてユニリーバ・ジャパン取締役人事総務本部長の島田由香さんのファシリテーションに憧れ、どうすればいいのかと、試行錯誤しているところ。

今回紹介する「問いのデザイン~創造的対話のファシリテーション 学芸出版社 安斎勇樹・塩瀬隆之著」には、その名のとおり問いかけの本質に迫る内容もあり、ファシリテーションの技法についても考察されていています。

ファシリに関する目次は以下のとおり。

1.ファシリテーションの定義と実態
2.ファシリテータのコアスキル
3.ファシリテーターの芸風
4.対話を深めるファシリテーションの技術
5.ファシリテーションの効果を高める工夫

ファシリテーションの初心者の私が、一番困るのが「問いかけ」です。
この本にはその「問いかけをうまく伝えるポイント」を3つに絞って書いています。

① 問いの焦点を明確に伝える
② 今、なぜ、その問いなのかという背景の意図
③ その前の問いとのつながりについて補足する

でも、問いかけをしていても、周りからの答えが、的外れに感じてしまうことがしばしば。私の問いかけが悪いのだろうと落ち込みます。
難しい問いかけであればあるほど、まとまらない。そんな時は、この本で挙げているコアスキルの一つ「情報編集力」が役にたちそうです。まとまらないように見える意見も、的外れに感じる意見でも、共通点、相違点は必ずありそうです。発言者も自分の意見がどこにも取り上げられないのは悲しいはず。

【情報編集の工夫】
①共通点を探る
②相違点を探る
③情報を構造化する
④視点の不足を探る

更に、コアスキルとして挙げている「リフレーミング力」
発言がまとまらないのではなく、場がシーンとしてしまった時に、或いは、質問への回答ではないと思われる回答が続いている時に、改めて別の認識から枠組みをし直すことも重要です。

【リフレーミングのテクニック】
①場の意見が自分本位の視点に偏っている場合に、利他的な視点を促す。
②手段ばかりが話されるようになっている場合に、大義を確認する。
③場がネガティブな意見に偏っている場合に、前向きな視点から捉えなおす。
④規範的な意見に偏っている場合に、敢えて規格外の意見を促す
⑤場の意見が抽象的かつ壮大な場合に、具体的な複数の意見に分割する
⑥名詞形のキーワードが繰り返し使われている場合に、動詞に言い換える
⑦未定義の言葉が繰り返し登場する場合に、その言葉の定義を確認する
⑧特定の主体による発言が増えている場合に、別の主体から捉え直してみる
⑨特定の時間軸に意見が集中している場合に、時間軸を変えてみる
⑩意見が二項対立に陥っている場合に「第三の道」の可能性をさぐる

ファシリテーターの芸風
個性ではなく芸風。人には得手不得手があり、自分の強みを生かしたファシリをすることが一番。筆者は芸風を3つに分解できると書いています。とても興味深い視点です。

①場に対するコミュニケーションスタンス
②場を握り、変化を起こすための武器
③学習と想像の場づくりに関する信念

①は分かりやすい。「感情」か「論理」か。「触発」か「共感」かのベクトルで考えます。触発×論理タイプであれば、場に対して説得的な切り口や枠組みを提案し、思考を刺激するタイプ。 共感×感情タイプであれば、参加者の本音に耳を傾け、共感しながら対話の場を作っていくタイプ。
自分のタイプに合わせてコミュニケーションスタンスを取ることが大事。
②については、何が得意か。「リアルタイムで図解できる」とか「金融の専門家」とか。自分らしい武器です。
ここで、私のように自己肯定感が低い人は「何もない、、、」と思ってしまうのですが、その場でファシリを頼まれているぐらいですから、ファシリを頼まれた理由を深く深く考えていくと、一つぐらい見つかります。遠慮せずに、その武器を使っていこうと思います。
③の信念の一つが「社会構造主義= 現実はコミュニケーションから生まれる」と「個人主義= 現実やアイデアは個人の頭のなかに存在する」というものです。筆者は、前者を信念の基盤としているため、題名も「創造的な対話」と言う言葉が入ってます。この信念は一つではなく、経験を積む中で、必ず複数の信念を保有するらしいです。

「対話を深めるファシリテーションの技術」「ファシリテーションの効果を高める工夫」は、具体的なワークショップのプログラムに沿って、どのようにファシリテーションするかの解説をしています。

私は職場のMTGでファシリをやっていますが、ただの司会という域を脱しておらず。いつか「ファシリならあの人に任せよう」と思ってもらえるように、ただの司会ではないと思ってもらえるように、勉強してみます。そして、この本の前半部分は、「問い」そのものを捉えなおす。方法が書かれています。読み応えのあるいい本です。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?