千盤一夜物語(5)

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今夜はマルティノン&パリ音楽院管のフランス音楽集。「おっ、よさげ!」と思って買った記憶がある1枚。「ル・シッド」はイスラエル・フィル。

まず、最初のイベールの「ディベルティメント」に感じ入るところ大である。ご多聞に漏れず、フランス音楽はデュトワ&モントリオール響がもてはやされていた時代で、このコンビのフランス音楽集を持っていた気がする。鮮やかで、デッカロンドンの華やかな録音とCD的な音がマッチしていてよく聴いた。しかし、デュトワ&モントリオール響の来日公演(名古屋)の「ウィリアムテル序曲」の嵐の場面でのトロンボーンの合いっぷりが気に入らず、というか「CDとおんなじじゃん、この団体。だったら、CDでいいや。」と思ったものである。知らないということは恐ろしい。音楽との出会いってこんなものだろうが。だから、記録魔でもないズボラな私は、メイン曲も覚えていないし、調べるものもない。

さて、マルティノン盤である。ゴリゴリしない低音とえも言われぬ香りを醸す管楽器がいい。そうさせているマルティノンもいい指揮者なんだろう。シカゴ響では、評価はされていないようではあるが。フランスのオケは、パリ音楽院管のような音はもうしなくなったんだろうな、と他のオケを知らないくせに独り言を言いたくなるような、いい音である。パリ管などは創立時からコスモポリタンな性格を義務付けられているわけで、今ではアンコールが多いのと、おしゃれなステージ衣装しかいいと思わないかもしれない。うまいとは思うけど、あれがフランスの作曲家が描いた音を今に残すオケかといわれると違うように思う。ビゼーの「子供の遊び」も洒脱な音がしていて心地よい。フランスのエスプリとか言われると、全く具体的にはわからないが、このマルティノンのイベールとビゼーに聴かれる音にある、といっても良いかもしれない。

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