千盤一夜物語(4)

今晩、ラックから手にしたのは、ロッシーニの序曲集。セラフィン指揮のもの。オペラ指揮者としてのセラフィンは全く分からない。かつて、カラヤンが弟子の小澤征爾に、「オペラを知らないと音楽の半分も知ったことにならない」旨のことを教示していた話を聞いた?読んだことがある。私は、オペラはほとんど知らないし、室内楽も知らない。音楽の森はかくも深遠な世界であると実感する。

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さて、久し振りに聴くと、少々乾いた音ながら、手慣れた感じで各曲の演奏が始まる。たぶん、どの曲もオケのメンバーはよく知っていて、大した練習もいらないんだろうなと思う。ただ、「今日の棒は誰だ?」「あの若造か。ちゃっとやって終わろうぜ」的な陽気なイタリアンたちが、たぶん真剣にやっているように思うのは、セラフィンだからか。録音用にちゃんとやろうぜという肩肘張った余分な気構えはなく、きちんとやっている気がする。そのぶん、芝居っ気というか、大向こうをうならせるようなこともない。また、勢い一発でということもなく、普段の職場での演奏をしっかりやっているような演奏。

ロッシーニ序曲集で入門編としてベストバイとは思えないが、妙に味わいのある、明るい音の中に“どっしり”とした音楽のある演奏といえる。しっかり聴くと、いろいろな音がしてくるように感じた。

買った当初は、フーンで終わったように記憶しているが、改めて聴くと、これしか知らないが、トゥリオ・セラフィンはやはり名指揮者なのであろう。

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