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【令和7年度】北海道大学物理学科3年次編入学試験 合格体験記

 初めまして、この度北海道大学理学部物理学科に三年次編入学試験に合格し、令和7年度より進学予定となりました。
北海道大学に加え複数併願受験を行った経験から、誰かの役に立つ情報を残せればと思い、この記事を書くことを決めました。

北海道大学物理学科3年次編入学試験と題していますが、基本的に自身の編入学試験受験にまつわることを区別なく書き散らしているため、北海道大学の編入試験について個別の情報を知りたい場合はその項目のみを参照してもらうことを強くお勧めします。

受験を終え日が経たないうちに書き始めているため、都度何かあれば追記しようと思います。


想定する読者

 次の自己紹介の項目で改めて書きますが、私は他大学の工学部の2年次在籍時に編入学試験を受験しました。
そのため、編入学試験を最も多く受ける層であろう高専生へ向けて、というよりも同じく大学に在籍しながら編入学試験を受験する方を想定しています。
しかし、物理学科への編入学試験を受験する層は必ずしも多くはないですし、不偏的に役に立つ情報を残せるように心がけていますので、そうでない方もお付き合いいただけると幸いです。
また、noteに記事を投稿するのは初めてなので、至らない部分も多くあるかと思いますが、大目に見て頂ければ幸いです。

自己紹介

編入試験を受験することになった背景、受験時の環境の参考となるよう自己紹介をしたいと思います。

所属
 令和6年度まではある大学の工学部に在籍していました。(記事を書いている現在はまだ在籍しています)
ここでは在籍している大学について詳細に触れることはしませんが、
在籍していた大学の環境そのものには全く不満はなかったこと、決して学歴ロンダリング目的だったわけではないことを強調しておきます。これまでも現在も多くの先生、先輩方のお世話になっており感謝の念に絶えません。

・学部学科、専攻について
 私が所属していた大学の工学部では、限定的ではありますが進振り制度が導入されていました。
進振りについては東京大学や名古屋大学理学部、北海道大学の理系入試などがイメージしやすいかと思います。
つまり編入学試験を受験する以前は専攻が無く、広く工学を学ぶための基礎として数学(ベクトル解析や微積分、線形代数、微分方程式等)や物理(力学、熱力学、電磁気学等)、教養科目を学んでいました。
そのため、編入学試験で出題される範囲について、独学ではなく大学の講義で履修済みの部分が多い状態で編入学試験を受験したことになります。

受験した目的、受験を決意した時期

   受験した目的については、自分の興味が工学よりも物理に寄り過ぎていたこと。(具体的な内容は割愛しますが、理論系の物性物理学に興味があり、在籍していた大学で専攻することは難しかった) 兼ねてから大学院への進学、可能であれば博士課程への進学を考えており、自分ができるまでやり切ってから社会に出たいという強い思いがあったため、それを踏まえて自身の興味に素直に従おうとして行動した結果だったように思います。
最悪受験校すべてに落ちた場合は、異なる分野であっても現在の在籍校で院に進学しようとも同時に決意を固めていました。

    受験を決意した時期は、編入学試験を受験した年の3月頃でした。当時の自分でいうと大学1年の春休みになります。
それまでは基本的に編入学試験の受験資格者は高専生のみだと思っていたのですが、この時に一部の大学の理学部の編入試験では「必要単位数の取得と大学に2年以上在籍した者およびその見込み者」によって出願資格を満たすことを知り、同時に受験を決意しました。

受験した大学および結果

まず出願した大学は
・神戸大学
・北海道大学
・九州大学
・広島大学
の4つの大学、いずれも理学部物理学科で出願しました。
またこの並びがそのまま試験日の日程順になっています。

結果について
・神戸大学 不合格
・北海道大学 合格
・九州大学 筆記試験通過 現在合否発表待ち
・広島大学 不受験
という結果になりました。九州大学は筆記は合格し面接を受け結果を待ちながらこの記事を書いています。
また、広島大学の受験は辞退しました。

北大の編入試験本番での流れと振り返り

試験の時間割としては

9:15 試験室入場開始
9:45 試験室集合時刻
10:00 ~ 12:00 筆記試験(物理学) ※遅刻限度時刻 10:30
12:00 ~ 14:00 昼休憩
14:00 ~   口述試験

が主な流れとなります。北海道大学では筆記試験での足切りが無く受験者全員が口述試験まで受験するので、試験自体は一日で終了となります。

筆記試験(物理学)

筆記試験は例年3題程度出題され、今年度も3題でした。
それぞれの問題につき解答用紙が一枚ずつ計3枚。また記憶が正しければ草案用紙が2枚ずつで計6枚配られます。(3枚の記憶違いでしたらすみません)

問1
速度の二乗に比例する抵抗力が働く物体の投げ上げ問題

問2
円筒導体二つを組み合わせたを組み合わせたコンデンサの問題
前半で静電容量を求め、後半では静電容量を用いて接地や電圧、円筒導体の半径等の条件を変化させる問題

問3
前半 : 気体分子運動論から圧力と体積の関係を導出し、さらに分子の二乗平均速度の温度の依存性を表す式を導く問題

後半 : 万有引力から第二宇宙速度を求め、前半で導いた分子の二乗平均速度の温度依存の式から、第二宇宙速度に達する温度を算出する問題

筆記試験を通しての振り返り
 
まず問題に目を通した時、熱力学が出題されていないこと、また令和6年度から課されるようになり、実際特徴的だった前期量子論が出題されていないことに面喰いました。この時点で例年の問題と今年度の問題が大きく異なっていることが分かります。
また、これは私の演習不足に過ぎないのですが、速度の二乗に比例する抵抗力の投げ上げ問題に初めてあたり、微分方程式を解くだけの問題くらい余裕だろうと高を括り対策が甘かった部分でもあり、とにかくパニックになり吹き飛ばしました。後になって冷静に考えれば、複素数で部分分数分解するだけで後は本当に変数分離法で解くだけの微分方程式の問題にすぎませんでした。(解の形が双曲線関数になって複雑には見えますが…)
第二問に関しては、ある意味一番スタンダードな問題ではありましたが最後の問題は解ききれませんでした。
第三問は高校時代の気体分子運動論の知識を全力で思い出しながら書けるだけ書き完答しました。この問題が完答する難易度は一番低いと思います。

結果から言って、私の筆記試験は非常に悪い出来となりました。解答用紙だけで採点すれば甘く見てもせいぜい6割程度でしょう。
言い訳がましいことを言えば、令和6年度の前期量子論の問題のようなパターンを最も警戒していたのですが、実際はほとんど力学と電磁気、それも微分方程式が中心の問題が出題されるとは思ってもみませんでした。
周囲の出来はわかりませんが、少なくとも試験終盤ではみな手が止まっていたように感じたので、ほとんどの受験生が面を食らったのではないかと思います。
また、このことから同時に解答用紙だけをみて採点していないということを確信しています。
要は解答用紙の○×で点数をつけて合格者を選ぶならば私は間違いなく受かっていません。個人的に自分の良かった点は、解ける問題でもどう考えたのか思考の跡を全て草案用紙に書き起こしながら解いたこと、特に解けない問題でも思いつく限りのアプローチを書いていたことだと思います。
これは普段の演習でも、常識的にわかるようなことであれ過程を飛ばさずに記述する癖をつけていたことがそのまま出ただけだと思うので、普段から意識することをお勧めします。

昼休憩

筆記試験の段階でほとんど不合格ルートだろうと確信していたのですが、とはいえ数時間後には面接があるため軽く昼食を取って解けなかった問題の解きなおし、また一番興味をひかれていた北海道大学の先生の研究内容についてを読み返していました。
この時、問2の問題で序盤から実は分母分子を逆にして全て吹き飛ばしている可能性が浮上し、(結果合格していたので真偽は定かではないですが)吐きそうになりながら過ごしていました。

口述試験

 口述試験では受験番号順に一人ずつ呼ばれ、待機中はスマートフォン等外部と連絡が取れる機器は使用できないので、昼休憩からグロッキーな気分を持ち越し惰性で本を読んでいました。具体的には、この時は編入試験が終われば本格的に進めようと思っていたサクライ先生の量子力学を開いていましたが、落ち込んでいたので全く頭に入っていなかったです。
一つ先の人の口述試験が終わると終わった受験生が待機室に次の方を呼びにくる仕組みだったのですが、人によってかかっている時間が大幅に異なっていることに気づき始めてから、非常に嫌な予感がしました。

他の大学の口述試験では基本的に志望理由、学びたい分野、筆記試験の問題についてなどが問われ、ある程度穏やかな雰囲気で口述試験が進むことが多いと思います。北海道大学でも実際数年前はそうだったと聞いています。
そのため、私もある程度はカジュアルな面接を予想していたのですが、
いざ自身の番になり、試験室に入った途端、大きくスライドが映し出されている景色が目に飛び込んできました。
ここまできてようやく、直近1,2年で全く北海道大学物理学科編入学試験の形式が大きく変更されていることを悟りました。

形式としては、面接官の先生が3人いらっしゃり、主に一人の方が受験生に口述で試験を行い、残り二人の先生が内容を評価していたように思います。
受験生は、スライドに写されたものと面接官の方からの話を踏まえ、黒板に書き込んで説明する形式でした。
何をどう聞かれたか、どこまで具体的に書いて良いか定かではないので、出題された分野だけ簡単に書こうと思います。

1問目
フーリエ解析についての問題が数問

2問目
相対論に関する問題

3問目
複素関数にまつわる問題

4問目
偏微分係数にまつわる問題

の計4問と、最後に志望理由についての質問で終了でした。
自分はフーリエ解析や相対論については未履修だったため本当に慌ててしまいなんとか考えられることを口に出すことで必死でした。
申し訳ないのですが、より詳細な内容についてはどこまで踏み込んで良いか判断できないため割愛しようと思います。
試験自体は全く圧迫面接等ということは決してなく、受験生がその場でどこまで今の力で数式に取り組み、導出することが出来るかを引き出そうとされていることを強く感じました。
その分、私は最初の少しのやり取りで期待してもらい、その後の質問で期待に応えきれなかったことで試験後に本当に落ち込みました。

まとめ

 ここまで読んでいただければ、北大物理学科の編入学試験が数年前とは全く異なる形式になっていることが分かると思います。
そのことに加え、筆記と口述試験の配分も大きく変わっていると考えられることから、筆記が高くても口述試験の内容次第では簡単に落ちる可能性がある試験のように思えました。
個人的には、ただ編入学試験のために物理の問題を解くことで問題を解けるようになっているかどうかや、学部2,3年レベルの基礎的な物理に関する知識があるかどうかということよりも、数式的センスが身についているか、基礎的な知識を基に粘り強く数式に対してアプローチできるかどうかを重視しているように感じました。
しかし、これらはあくまでいち受験生の邪推に過ぎないので「そう思ったんだ」、程度に読み飛ばしてください。

対策に利用した教科書

 次に試験対策に利用した教科書に加え、それまでに勉強した教科書を取り上げつつ、具体的に自分が行った対策の流れを説明したいと思います。
先に断りを入れておきますが、私は背伸びをして多くの教科書に手を出し、ろくに理解が及んでいなかったこと、さらに上記で述べたように、編入学試験という試験そのものの変則さを身に染みて体感しました。そのため、これをやればいいなどとは考えず、試験のためだけの対策ではなく、試行錯誤しながら自分ならではの方法で物理に親しむことを一番大事にしてほしいと考えます。

力学

力学ではおそらく多くの大学の講義で教科書として指定されているであろう
「考える力学」と大学の講義ノートで勉強を進めました。

また、試験対策として主に、「演習しよう 力学」と「詳解力学演習」

を用いて演習を続けていました。
一応挙げましたが実際のところ、ほとんど「演習しよう 力学」を完璧にこなすことを目標に、ある程度固まった部分は詳解演習でもう少し固めるというような対策でした。

電磁気学

こちらも大学の講義で指定された教科書 物理入門コースの「電磁気学Ⅰ・Ⅱ」で基本的な勉強を行いました。また、背伸びをしただけできちんと身になった部分はほとんどありませんでしたが、砂川先生の「理論電磁気学」を少し読んでいました。

試験対策には力学と同様に「演習しよう 電磁気学」と「詳解電磁気学演習」を用いて演習に取り組みました。

基本的にはこちらも力学と同じように「演習しよう」を完璧にすることを最優先にしていましたが、力学と比べて電磁気学は対策がしづらかったためコンデンサの問題などは特に詳解演習で演習を行いました。
また、編入試験で頻出の双極子モーメントについては「演習しよう」では少ししか取り扱われていなかったので、大学の講義ノートやEMANの物理学にお世話になりました。

熱力学

熱力学は大学で履修していた時期が2年前期であり、編入試験まであまり余裕がなかったこともあり苦戦して色々手を出して失敗してしまったことが悔やまれます。
初めは、講義に先んじて田崎先生の「熱力学-現代的な視点から」を用いて独学をしていたのですが、並行していた大学の講義の期末テストで大きく失敗し、内容を理解できず半端に読んでしまったことを悟り猛省しました。その後、手を動かすことに切り替え、「演習しよう 熱力学」を解きながら都度清水先生の「熱力学の基礎」を読んで復習していました。

やはり「試験を突破するだけ」と「理論構造を理解できているか」に最もギャップがあるのが熱力学だと感じます。私自身編入試験に出題されるレベルの問題なら大抵完答できるまで演習をこなしましたが、今だ適切に構造や理論を理解できているとは到底思えず、あまり対策方法などについて語ることは恐れ多いです。とはいえ、九州大学や北海道大学の筆記試験で出題される熱力学の問題の対策としては、演習しようの熱力学パートを完璧にしていれば必要十分に感じます。

・その他、量子力学(前期量子論),波動
多くの大学で力学、電磁気学、熱力学は共通して出題されますが、それに加えて北海道大学では前期量子論、九州大学では振動・波動が出題されます。
量子力学に関しては大学でも講義が進んでおらず、砂川先生著の「量子力学」を少し独学で勉強していました。

また前期量子論の演習の対策にも同じく「演習しよう 量子力学」を利用していました。

令和6年度編入学試験の過去問を見ればわかるのですが、北海道大学の前期量子論の問題は非常に独特で対策がしずらいように思います。これは私が履修していた工学部としての前期量子論と、物理学科での前期量子論のギャップに由来しているのかもしれませんが、今年は出題こそされなかったものの、いずれにしてもこの範囲の対策については力不足でした。

波動については、筆記試験として課されるのが九州大学のみであったこと、大学でもまだ履修していなかったこともあり、最低限を抑えるためにネット上の記事をいくつか読んで自学していました。一つ具体例としてお世話になったFNの高校物理 波動方程式と一般解のページを挙げておきます。

基本的に利用した教科書については以上になります。
どの科目においても、基本的な公式やよく使う式は全て白紙から記述の飛びなく導出できるようになることを心掛けて勉強していました。
また、ここまででお分かりの通り、演習のほとんどを「演習しよう」シリーズに頼ってきたことになります。この大きな理由として、第一志望であった北海道大学の先生達が著者となって出版されている本であるため、実際過去問を見ればわかる通り、問題の傾向が似ているどころかそのまま出題される問題が被っている問題があることが挙げられます。
実際、北大の試験会場でもそこそこの受験生が同じように「演習しよう」シリーズで勉強していました。
ただ、上記で述べたように今年の問題は「演習しよう」シリーズの内容とはかなり毛色が異なっていたことに注意が必要です。
しかしそのことを差し置いても、個人的には最低限抑えるべき基礎がまとまっている素晴らしい演習書だと思っています。基本問題が全て解けるようになることがどの大学の編入試験の問題にも対処できる適切なスタートラインと考えて間違いないと思います。

とはいえ、演習書に何を使うかによって正解や近道があるわけがないので、自身で最も適切だと感じるものを見つけることが一番大切だと思います。(流石に初めから編入対策に詳解演習を丸々やるなどは大変だと思いますが…)


編入学試験を決意してから本番までのおおまかな流れ

3月~6月

編入を決意したのが3月下旬時点でしたが、この時点ではまだ熱力学を履修していなかったり、電磁気学では静電場や静磁場の取り扱いしか履修していなかったりなど、編入試験の出題範囲全体をカバー出来ていなかったため、6月を目途に独学と大学の講義を並行して一通り足りない部分を履修し切ること、しばらく触れていなかった範囲の力学等の復習を終えることを目標としていました。また、大学によっては編入試験に公式TOEICのスコアが必要だったため、5月末のTOEICを受験しました。

6月~7月

6月上旬は大学の中間テストがあったことで大幅に編入対策のために取れる時間が減ってしまった時期でした。人にもよるとは思いますが、大学の在学と平行して編入学受験をする際は、編入学試験に全て失敗した場合を想定すると、以降の進級や卒業要件に影響が出ないように履修を組まざるを得ないと思います。特に工学部の場合はただでさえ履修が詰め詰めのため、試験期間中は編入対策がなかなか進まなくなりました。その後、中間試験が終わったと思えば1週間高熱で体調を崩し、体調が快復したころにはもう神戸大学の編入試験が迫っており、やけくそで残りの日数で演習をしたものの、やはり対策不足で結果は上記の通りとなりました。

7月~8月

神戸大学の結果を受けて猛省し、力学および電磁気の演習が圧倒的に足りないことを痛感し、この時期は隙をみては演習を重ねました。
また、7月末から8月にかけては中間試験の時と同様に、期末試験で大幅に編入試験対策の時間が削られてしまいましたが、夏休みまでの辛抱と思いなんとか乗り切り、無事単位を落とすことなどもありませんでした。

8月~9月

8月に入ってから夏休みが始まり、私は実家から離れた大学の寮に住んでいたため、編入試験直前までは実家に戻らず毎日大学の寮の自習室やセルフカフェ、図書館等で勉強をしていました。
その後、北海道大学の編入試験を8/26に受けましたが、この時点では不合格を確信していたため、九州大学の試験対策により強い覚悟で臨んでいました。そして最終的に、北海道大学の合格発表と9/7の九州大学の編入試験をもって編入試験の受験を最後としました。

対策にあたって意識したこと

以降は、編入試験対策の上で心掛けていたことをいくつか取り上げたいと思います。

早寝早起きを徹底し、集中できる時間を作り出すこと

 先に述べた通り、私は工学部に在学しながら編入試験対策をしなければならなかったため、一日中対策などが可能なのは休日くらいであとは平日は隙間時間しか取れませんでした。しかし、ただ過ごしているだけでは工学部生の自由時間はあっという間に実験のレポートや日々出される課題の処理で消えていきます。そのため、私は毎朝2時間半必ず編入対策をする時間を取ることを徹底しました。具体的には、必ず毎日11時までには寝て、5時~5時半に起床し、朝6時から1限が始まる直前の8時半までの2時間半は何があろうと編入対策の時間に充てることを徹底しました。その分、午後は全力で大学のレポートや課題に取り組み、基本的には平日は次の日の朝の2時間半の質を高めることにのみ重きを置いていました。

信頼できる人に相談すること

 まず大前提として編入学試験を完全に独りで勝手に受けきることは不可能です。これは精神的な話だけでなく、出願に関する制度上の話を含みます。望むか否かに関わらず、大学に在籍しながら出願の書類を準備する上で、関わりの強い教員の方や事務の方に必ず話を通す必要があるでしょう。そのため、私は受験を決意した春休みから大学の学期が始まってすぐに、証明書等の管轄である学生支援課に相談に行き、以降も何度も出願書類や制度上の不安なことがあれば足しげく通い相談させて頂きました。当然、大学の事務の方はこちらでも3年次編入学試験を実施しており、いち学生よりはるかに制度に詳しい上、快く応援してくださり何度も助けられ本当に感謝しています。
 また、制度的な面だけでなく、精神的な面から友人に話すことも重要です。ただ、個人的にはいくら親しい友人とは言え無暗に話さず、自分を応援してくれそうだと信じられる友人にのみ話すことをお勧めします。実際、日程が一番初めだった神戸大学の編入学試験に落ちた際は、気晴らしに一緒に飲んでくれた友人の存在は代えがたいものでした。

自分の興味に関するリサーチを続けること

 これは自分が終盤やりきれなかったことでもあるのですが、試験本番が近づくにつれて対策ばかりに気を取られて、自分が本当に何をやりたいのか、どこに行けばそれを実際に学ぶことが出来ると思うのかを考えることが少なくなりがちだと思います。しかし、これもモチベーションやひいては口述試験の内容そのものに十分関わることなので、疎かにすべきではなかったと思っています。
 私の場合は、自分が専攻したかった分野の先生が在籍校にもいらしたのですが、現在は研究室で学生の受け入れをされなくなっていたため、話だけでもと思い担当されていた講義が終わった後や、アポをとって直接居室を訪ねさせて頂きました。
その際に、その分野を専攻するためにどういう勉強をすすめていくべきかなどを何度か相談させて頂き、それが大きくモチベーションに繋がっていたように感じます。

関われる教員の方と積極的に関わること

これは編入試験対策とは全く関係なく私が大学生活の中で意識していたことでしたが、結果的に役に立ったことだと思います。
私は、講義後に積極的に質問をしたり、研究室を訪ねて研究の事や勉強のことについて話させて頂いたり、また実験後の口頭試問の経験が何度もあったことによって、大学の教員の方と物理や数学の事について話す機会が(学部2年の割には)多かった方ではないかと思います。
こうした経験からある程度教員の方話す最低限の心構えが身についていたため、口述試験で過度に緊張せずに済んだことに繋がったのかもしれないと思います。

食事、運動に手を抜かないこと

 大学入試を受ける際はほとんどの方は実家暮らしだったと思いますが、3年次編入学試験を受験する方は、今は一人暮らし、または寮暮らしの方もいると思います。実際、私も実家から離れた大学の寮に住んでいました。
そうした場合、受験にすべてをかけようとすると睡眠時間の前にまず料理や運動の時間を削ろうとする人が大半ではないかと思います。しかし、私個人としては、生活習慣と運動、食事は精神的な安定に直結するため、対策時間を増やす以前に、長期的に試験対策を継続する上で手を抜いてはならないと考え、週に2,3回はジムに行き、朝と夜は必ず自炊することを心掛けていました。

最後に

 3年次編入学試験という決して一般的ではない受験を受ける上で、私自身間接的に様々な方の情報の恩恵を受けてきたため、こうして合格体験記として取り組んだこと、受験時に体験したことを残そうと思い、至らない点も多くあること承知の上で書かせて頂きました。もし最後まで読んでいただけた方がいらっしゃるのであれば、何かしらの役に立てることを祈っています。

また、もしこの記事をここまで読んでいただいた方がいるとすれば丸わかりだと思いますが、同じように他大学から北海道大学に編入学した先人の方の記事に大きく影響を受けています。編入学試験受験前に私の至らなさから情報を求めて不躾なお願いと対応をしてしまったことを誠に恥じています。しかし、間接的ではありますが大きな影響を受け、編入学試験の対策の中で本当に励みになったため、自身もごくわずかでもそのような影響を残していければと思うばかりです。この場にて謝罪とお礼を申し上げます。

以上ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。




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