表紙

もしも あなた (貴方の仲間) が 営業スランプ になったら


お前、このままじゃヤバいぞ?


営業を始めて2年半、上司に言われた言葉。

当時、最年少プロジェクトリーダーともてはやされて、順風満帆だと思っていた私のセールスエリート街道は、深い闇へと誘われました。


そう。いわゆる大スランプの経験である。


ともかく、あんな思いは二度と経験したくないし、願わくば 営業に関わっている方には なるべく経験して欲しくない…。

このノートは

・営業スランプにはまった人
・仲間が営業スランプで悩んでいるという方
・営業マネジメントに携わる人


上記の方々に贈ります。

営業の楽しさを知ってもらいたい、取り戻してもらいたい…そんな想いで筆を取らせて頂きます。

この、noteは2019年 #営業アドベント の企画として執筆しています。わたしにバトンが回ってくるまでに、"これでもか!"と唾をのむような生きたノウハウやテクニックの紹介がありました。是非、SNSで #営業アドバント を検索いただき、これまでの投稿にアクセスいただけると幸いです。


突然訪れた私の営業スランプ

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はじめに私が経験したスランプを紹介します。
※当時の様子は多少加工しています

今すぐHowToが知りたいせっかちさんは、この章をすっ飛ばして下さい。


私の場合はとある社内のキャンペーン(勝負事)がきっかけで“営業スランプ”に陥りました。

私が所属している会社セレブリックスでは、会社で営業代行や営業コンサル事業を行っています。

そのため、弊社の社内は沢山営業パーソンがいますが、それぞれ担当しているクライアントや営業している商品は人によって全く異なるのです。

セレブリックス 案件の様子


そんな中、新規案件を増やす施策の一環で上司からある日突然、こんな事を言われたのです。


図7

※実際はこんなファンキーじゃないよ♩

同じ商品でアポ数や受注数を競いあう…ということなので、今回はセレブリックスの営業代行サービスを売る、というテーマで争うことに決定しました。


その時の 私の気持ちは…


図8

そう。 自信に溢れていました。

・・・

ただこのキャンペーンには、営業代行という事業を行っている私たちならではのルールがありました。

・コアタイムはクライアントの営業代行をする
・毎朝30分早くきて、8:30〜9:00までの時間でアプローチをする
・上記以外は残業の観点もあり営業禁止
・コールはリーダーも行う
・メンバーやリーダーが取ったアポイントはリーダーが行く

ちなみにこの頃、私は10名程のメンバーを抱えたリーダーでした。
他のリーダーも10名位のメンバーを持っていたので、まさにチーム対抗戦という、名誉 & 賞賛 & 昇進 & 誇り をかけた戦いなのです。


ストレングスファインダーにて自己確信4位、競争性5位の私は漲ります。


図9


こうした前提で、このキャンペーンのゴングは鳴らされたのです。


結果。



アポイント獲得キャンペーンが始まって2週間弱、まったくアポイントが取れませんでした。


今となっては本当に自惚れなのですが、前評判では『今井はトップ争いするだろう』と言われてましたし、私も自分を信じていました。

しかし蓋を開けてみると…

このキャンペーンで、1件目のアポイントが取れたのは2週間後。

私がやっとの思いでアポを獲得できた時の順位は110名中108位…そう、ビリから3番目でした。


この時の心境は…

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この一言に尽きます。。

営業のプロを目指す集団、CEREBRIXの管理職である私がアポを取れないのは許されるのでしょうか?

メンバーの不安そうな視線が突き刺ささり、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

このままではメンバーに示しが付かないので、辞表を鞄に忍ばせて通勤していました。勿論、退職のためではありません。不退転の決意で臨み、退路を断ちたかったのです。


この時、沢山悩んで、様々な施策を行いました。

中には愚行と呼べる対策も沢山ありました。

しかし結果として、最後まで私を信じてくれた上司の存在や、現実に謙虚に向き合い、ひとつずつ問題を解決していくことで、最終的にはキャンペーンの受注実績は1位で終わる事が出来ました。


この時の苦しい体験や解決できた軌跡は、この日以降の私のキャリアに置いて、強い励みと自信になりましたし、こうして成果が出なくて困っている営業パーソンの支えになれることを嬉しく思います。



スランプ脱却メソッド①スタンスの在り方

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ここからは具体的なスランプの脱し方について解説させて頂きます。

前提として条件が異なればその最適解は変わりますので、スランプ脱却のモデルケースであるとご理解ください。



❶ 突然新しいことをやってもうまく行かない

成果が出ないと、とにかく何か違うことをやりたくなりますが、それは止めるべきです。
こんな時こそ 基本に立ち返りましょう。
コロコロ施策を変えると、そもそも何が原因で成果が出ていないのか特定ができなくなります。

野球のイチロー選手の考え方として女性セブン2016年7月7日号にて下記のような記事を見つけました。

イチローは、準備こそが自分をコントロールするという考えの持ち主です。毎日、同じルーティーンを淡々とこなすのは、それがパフォーマンスの発揮に欠かせないものだから。その結果、凡打に倒れたとしても、一喜一憂せず、結果を冷静に受け止めることができるのです。

上手くいかない時、私たちは新しいことを何かとやろうとします。しかしそれは総じて悪手となる可能性も含んでいます。ジタバタあがくのではなく、「忠実になれる自分の型」を普段から作っておくことが重要です。



❷ 上手くいかない時こそ“量”にこだわるというのは合理的な判断

成果が出ない理由が不特定である環境において、唯一コントロールできるのが「行動量」です。
基本的に行動量が増えて損することはありません。
量が増えればサンプルも増加し、改善のカギが見つかりやすいのです。

こうした議論の際に「量よりも質」だろ!!という意見を拝見しますが、そもそも質をコントロールできるのであれば、スランプになんて陥らないはずです。
※質をあげない・・という話ではなく順序的に量→質の流れが理想です


❸ 出来ない自分を肯定するな

成果が出ないことが続くと、人は「成果が出ないことへの意味付け」をしたり、極端に偏ったものの見方をすることがあります。
この現象を心理学では「認知の歪み」と呼ぶそうです。

営業で言えば、

私に渡されているリストは古い業界が多い

このように、成果が出ない理由を正当化しだすようになります。

この状態に陥ると残念ながら「イタい人」です。
周りが助けようとサポートしてくれなくなります。


❹ コトを進めることが大切

ビジネスでは誰がやるかよりもコトが進むことが重要です。
上司や周りを巻き込み、苦手なところは人を頼ることも含めて、「成果が出た」という体験を得ることにスコープを当てましょう。

私は昔、器械体操部に所属していましたが、宙返りなどで着地に失敗した時は、間髪入れずにもう一度同じ技をやるようにしていました。
何故なら、時間を置いてしまうと「失敗するかもしれない」という不安が大きくなり、飛べなくなる&失敗しやすくなる からです。
そのため、出来るだけ早く同じ技に挑戦して、「うまく行った‼」という成功体験を脳と体に染み込ませることを重視していました。


❺ 結果をつくる原因はプロセスの中に存在する

スランプを脱却する上で、闇雲に状況を改善しようと もがいても うまく行きません。木の枝ばかりを見るのではなく、根っこの真芯をとらえましょう。

結果ばかりを見るな!プロセスを見よ!


❻ 頼る人は限定する

スランプに嵌った時に不特定多数の人にアドバイスを求めないことを推奨します。
異なる意見や営業のアドバイスを受けたあなたは、きっと何が正しいのかわからなくなり途方に暮れることでしょう。


スランプ脱却メソッド②スランプを可視化する

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一流のアスリートは常に基準となる数字を持っています。
スランプを感覚値にするのではなく、「ファクトベース」の情報可視化に努めましょう。


❶ 自分のプロセス変数を知る

下記の図は、B2Bの新規顧客開拓におけるセールスプロセスを図式化したものです。

B2Bセールスファネル‗CEREBRIXモデル

この顧客開拓のフローをフェーズごとにかみ砕いていくと、下図のように細分化できます。
ここではその細分化されたプロセスの一例をご紹介しましょう。

■ インサイドセールス(PUSHのコールドリストに対するテレアポの場合)

図11


■ フィールドセールス(提案型営業の場合)

図12

取り扱うプロダクトや、ターゲット属性によってプロセスの在り方は異なりますが、上図のようなセールスプロセスが描けるはずです。

このプロセスにおいて「変数」を可視化することがスタートです。

プロセス変数とは

セールスプロセスが次のプロセスへと推移する確率のこと

上記のように解釈してください。

例えば、コールコンタクト率、コンタクトアポ率といったように、ネクストプロセスに移行できる確率を定量可視化します。

このプロセス変数が判断基準になります。

スランプ時のプロセス変数と比べるデータの一例としては、

・自分の過去の数字や目標数値
・周囲の仲間の数字(条件が似ている人)
・統計的なデータ

上記を比較対象にすると良いでしょう。

成果が出ていない時は、過去・周囲・相場と比べて、どのプロセスで低迷しているのか把握できるようにします。

尚、今回は CEREBRIX が営業代行を行う中で溜めていった、新規開拓のプロセス変数の基準値をプレゼントします。

あくまで参考程度ですがご活用ください。
※ ターゲット×商材毎に研究したデータ

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❷ スランプの原因を特定する

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プロセス変数を比較することで、どのプロセスに問題を抱えているのかは明確にできます。

しかし、そのプロセスの低迷を引き起こしている原因は一つではありません。

風邪という病名はわかっても、風邪になる原因は様々ある

この原因を特定できない限り、対症療法(症状を軽減するもの)となり根本的な問題解決には至りません。
そこで、なぜセールスプロセスの変数が下がっているのか根本的な理由を突き詰めましょう。

尚、このプロセス変数低下の原因には大きく2つの要因が考えられます。

図13

上記のようにスランプ脱却では、そもそも原因が内部にあるのか外部にを確かめる必要があります。

そこで原因が内部/外部にあるのか見極めるために、「失注理由」の集計と失注理由分析フレームをご紹介します。

なぜ失注理由なのかは、

・データ量が多い
・受注よりも早くデータが集まる
・買わない理由は対策しやすい
 (売れた理由は属人的でマネしにくい事も)

上記の傾向からスランプ脱却では、買われた理由よりも顧客が買わないと判断した理由が大切になります。

■ 失注理由の集計(参考)

図15


■ 失注理由分析フレーム

縦軸:失注したプロセス / 横軸:失注した理由

図14


これをカウント&解析することで、営業活動において「何が」原因で成果が出ないのか特定できます。
逆にここを間違えると、これ以降のすべての対策を誤ることになります。


スランプ脱却メソッド③セールスプロセス別にメスを入れる

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セールスプロセスの問題点が特定出来たら、いよいよ具体的な対策を図っていきましょう。


❶ セールスプロセス別の対策早見表(マネージャー向け)

下記の図は、もともと新規開拓を行うセールスマネージャー用に作成した、【プロセスマネジメントチェックリスト】となります。
各プロセスで「失注要因」を減らすためのフォロー内容が書かれています。

図17

図18


❷ 失注理由を減らすための問題提起フレームワーク

失注理由が顕著になっていても、具体的な対策が練れなければ意味がありません。

そこで私が問題解決の整理に使用しているフレームワークを紹介します。
非常にシンプルですが具体的な対策を構造的に捉えることができます。

図19

このフレームを使用すると、結果に対する対策ではなく、結果を引き起こす原因を根本的に潰す対策を考えることができます。

そして対策は出した以上「絶対やります」
行動を恐れていたらスランプなんていつまで経っても脱却できません。


❸ 外部環境を踏まえて、戦略や戦術を練り直す

スランプに陥っている理由は必ずしも営業パーソンに原因があるとは限りません。
失注分析を行った際に、外部環境による影響が強そうであれば、

3C + 2C × マクロ環境 フレーム

を使って分析することを推奨します。

狙っている顧客(顧客群)を起点に3C分析をしてみよう!!ということなのですが、これを活用することで外部環境の変化や顧客にとってインサイトのある提案ができるようになります。

※このフレームの使い方はまた別途ご紹介させていただきます

図20


❹ 商談シナリオの整理

最後に紹介する考え方は、提案の精度を高めるための商談シナリオの作り方です。

仮説や提案に説得力を持たせるには、その言質となるワードを顧客から引き出すことが必要です。

そしてカギとなるワードを引き出すためには、商談を逆算してシナリオを描くことが重要なのです。

図21

そもそもプロダクトやサービスで提供できるベネフィット(価値)には限度があります。(すべての問題を解決できるわけではない)

従って、実現できる価値提案、つまり顧客の成功事例から逆算して、示唆すべきワード、顧客に言って欲しいワード、そのための質問項目を逆算するのです。

上図だけではわかりにくいと思いますので、
セレブリックスの営業代行で整理すると下図のようになります。

図23

上記は一例ですが、

1.マンパワー不足の解消を提案するには

2.競合にシェアで勝つ為に増員の必要性を示唆し

3.その為に人不足の現状を聞き出したい

4.3を答えやすい質問設計をする

というシナリオになります。

ここで挙げさせていただいたスランプ脱却のための対策は一例ですが、是非試してみてください。


終わりに:メッセージ

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さて、営業アドベントはいかがでしたか?

私に限らず、それぞれのフィールドで活躍する猛者達の思考やテクニックに触れ、心踊る瞬間や、朝靄が一瞬で晴れ渡るかのような刺激的な発見があったのではないでしょうか?


私はこれまで本当に多くの営業パーソンに関わってきました。
しかしこれまで関わってきた社員、クライアント…彼等を全て売れるようにできたか?と問われると答えはNOです。

営業は労働人口が第4位の330万人以上が就労する仕事ですが、【幸福度の尺度】でいくと、最もその格差が大きい仕事なのではないでしょうか?

現在も57%の営業パーソンが、営業職を周りにおススメしたくないと宣言しています。

そのような中、私は Sales is cool ‼ = 営業はカッコいい という世界観を作る野望を抱いています。

世の中、営業の How to や ノウハウをまとめた書籍は沢山ありますが、【 いま、苦しんでいる人。もがいている人 】を後押しするガイドラインはなかったように思います。

私も会社のノウハウとして知財をどこまで公開すべきか随分と考えました。

しかし

すべての購買に成功を

Sales is cool のスタンダードスタンスである、購買者が営業によって成功する世界観をつくるために、ノウハウを役立てていただくことを決断しました。

営業に携わる皆さんが、自分たちの仕事に誇りを持ち、“企業の問題解決を実現するプロフェッショナルなんだ!!”と胸を張って言えるその日まで・・・
私の営業革命は続きます。

もしも あなた が 営業スランプ になったら
~どん底から脱却するためのサンタの贈り物~

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ps:

最後までお読みいただき有難うございます。そんなあなたに今回だけのプレミアム特典コラムをお届けいたします。

#営業アドベント スピンオフ企画。

遂に私が禁断の扉を開けます。

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