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文字をつづる、かえるの子はかえるか

書こうっ!!  そう思った。2020年7月中旬に8日間の石垣島、西表島の旅行が終わり、新型コロナウイルス情報をおなかいっぱい与えてくれる世界に戻って数日のことだ。8日間テレビやインターネットを観ない生活をした反動か、帰ってきてからのコロナでおなかいっぱいが苦しい。どうしようか考えていた時に、そう思った。

書くことは昔から苦ではなかった。影響はおそらく父の存在と多感な時期に流行った文通ブームだ。父は学校の先生だったが、ちょっと特殊で私が物心が付いた時から何やら書いていた。論文?研究?とにかく書いていた。私によく『書くってことが大事なんだ』と話す。母が書く書類の添削も父が担当していて、母の書いた書類は赤ペン先生のように直され、母もそのことについては素直に聞いていたのが印象的だった。書いているときの父は実に楽しそうでルンルンしている。少し前まで大病を患い、書くことから離れていたが、最近、ようやく書く気になったようで、久しぶりに電話をしたら『あら、お姉ちゃん、ニーハオ♪』と機嫌が良いので話を聞いてみたら、新しい論文を書くために中国語の本を読み出したという。ルンルンするわけだ。

そしてもうひとつ、私が中学生くらいの時に密かな文通ブームがあった。雑誌の最後の方にペンフレンド募集のコーナーがあって、今では考えられないが全国の文通したい女子が自ら名前と住所と学年を公開していた。私は学年が一緒だったからという理由だけで島根県に住む智恵ちゃんという女の子にペンフレンドになって下さいと手紙を書き、それから約7年間、月に1~3回のペースで手紙のやり取りをした。お互い大学生になり、智恵ちゃんがイギリスに短期留学に行くというところで、どちらからでもなくパタリと途絶えた。今、考えても楽しい7年間で、もし出来ることならまた智恵ちゃんと文通がしたい。考えているとこを相手が理解できる文字にして伝え、伝わる幸福感をまた味わいたい。

書くことが好きになり、何度となく身を助けてもらった。勉強ができなかったので推薦入学の作文で大学に入ったし、就職活動の履歴書の自己アピール欄や課題作文、資格試験選考などのテーマ作文、会社内での昇格試験論文の場面、何か書く時に私はどんどん書いてそれは自分を助けてきた。書き終わるとルンルンしていた。父が書いている時のルンルンとはだいぶ違うだろうが、書くことで気持ちが変化するのは間違いない。『書くことは大事なんだ』かえるの子はかえるだ。

だから、書こう。