質問:整体で眼圧を下げられるのか?

https://news.yahoo.co.jp/articles/4454296deb991e5b623b21eca5b2377b8e6e9cf1

この記事のことは本当かと言うご質問をもらいました。

結論から言うと、デタラメですが、どこがデタラメなのか、どうして堂々とこんな意見をいえてしまうのかまで考察しました。

病院で眼圧を測定したところ、眼圧が1ミリメートルHg(Hg=水銀柱、圧力の単位)下がっていたのです。

ヤフコメの視能訓練士のかたも言っていますが、 眼圧の日内変動がありますので、1mmhgとかは誤差ですよね。

https://totsukaganka.com/faq-post/7541/#:~:text=眼圧は、緑内障など,違っても心配ありません。

あと、眼窩(眼球がおさまっている目の窪み)の施術について話していますが、眼圧の定義や眼球の解剖学について知識が不十分です。以下に解説します。

そもそも眼圧とは、視覚に欠かせない、眼球の中の圧力のこと。

違います。眼球の前部にある、前房というところの中の水の圧力です。

https://www.santen.com/jp/healthcare/eye/library/glaucoma/nattoku/about-gla/eye-pressure#:~:text=緑内障について-,眼圧ってなんですか?,眼圧」といいます。

頭蓋骨は一枚岩のヘルメットではなく、合計28個の骨が重なり合って構成されている、大陸プレートのようなものです。頭蓋骨は、おでこの部分に位置する前頭骨や、耳の周りにある側頭骨などに分かれ、細かい靭帯によってつながれています。この靭帯や頭蓋骨まわりの筋肉がこわばると、骨が引っ張られ、それぞれ本来あるべき位置からずれていきます。

異なります。成人の頭蓋骨は、前頭骨や側頭骨、後頭骨などの接合面は縫合という形で食い込んで一体化したり、それがない箇所でもほぼ接合しています。頭蓋骨って、転倒して頭を強打しても少なくともミリ単位ですら歪んだりしません。そんなに動的なものではありません。解剖や手術でさわればわかります。

眼球を収めている眼窩が広がり、眼圧の異常を元に戻して整えることができます。同時に、目のまわりの筋肉群がゆるむことで、圧迫されていた眼球が元の丸い形に戻り、あなたの本来の視力を発揮できるようになるのです。

眼窩と眼球の間は脂肪組織があるのでそんなにミチミチに詰め込まれていません。目の周りの筋肉とは、外眼筋(目を動かす筋肉)、眼輪筋(目を閉じる筋肉)のことなのか明示されていません。どちらにしろかなり薄い筋肉です。

間違いは山ほどあります。個人的な想像と断片的な医学的知識をまだら模様に組み合わせた文になっています。根拠のなく自分の思ったことに対して、矛盾しない知識をどっかから断片的に貼り付けていく作文です。よくあります。

問題は、眼圧の数値や生理的変動、測定誤差の概念がない、お客さんの感想イコール効果と考え、偏りのある情報と捉えていない基本的な解剖がまちがえているなどです。

なぜかというと、ばらつきのある測定を理解する統計学の知識がない主観的な結果の解釈を慎重に取り扱うためのバイアスの概念がない基本的な解剖学、生理学の知識がない解剖や生理を用いた身体の働きのロジックがないということがわかるからです。

回答:人の体を扱う上での基本的な素養がスカスカなように見えます。信用に値しません。

ではなんで、こんなデタラメを堂々とメディアで話してしまえるのかというと、

経験ですが、まず、小学校、中学校の算数や理科の知識がそもそもないです。

で、社会人になって、たまたま体を扱う職業(今回のケースでは整体師)になって、
見よう見まねや、知識の裏付けのない口伝による教えで、仕事をし始めます。

やがて、仕事上で、自信を持ってお客さんに説明したり、お客さんの反応を受けて自信がついてきます。

自信があるので、自分のやり方で効果が出ると信じてしまい、反実仮想(自分の考えが違うかもしれないという想像)はできないため、どんどん自分のことが正しくなってしまいます。

そもそも、客観的な知識がないので、自分の考えを疑うことすらできません。

で、自分のやり方に”矛盾しない”(支持する、ではない)断片的な知識をかき集め、論理性のない説明を作り始め、吹聴するというわけです。

多分、周りの人も注意してくれなかったんでしょう。

自信があって突っ走ると、こんな痛いことになります。
体のことに関しては、自信を持つとロクなことになりません。

こんなことにならないように重々気をつける必要があります。