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信金、公金預金戦略が岐路 入札金利上昇で撤退も


信用金庫の公金預金獲得戦略が変わりそうだ。信金界では預金減少に対する危機感を背景に、2023年度に公金預金で残高を積み増そうとする動きが広がった。24年度も継続して獲得に力を入れる信金はあるものの、過度な入札金利競争から撤退して預金の質向上に軸足を移す動きも出てきた。

23年度は、全254信金の約4割が公金預金残高を増やした。一部では「逆ザヤで公金を取りにいく」(信金役員)という動きまであった。24年度に入ってからも、東京都内で「複数の信金が高い金利で獲得した」などの情報が飛び交う。

その一方で、「以前は絡んでこなかった信金が新たに競争入札に加わっている」(東海地区信金)などの事情から、入札金利が大幅に上昇する地域が増えており、過熱する競争とは距離を置く動きもでている。

別の東海地区信金は、23年度に公金で積み増した残高分を個人・法人預金で補填することに注力し、24年度は預金の粘着性を高める考え。従来は落札できていた公金を逃したという四国地区信金は今後、全店で展開する個人向け定期預金キャンペーンと公金獲得の調達コストを天秤にかけて、戦略を再検討する方針だ。

「公金の規模そのものが縮小傾向にある」(東北地区信金)ことも競争に拍車をかけている。地方公共団体は運用の一環として金融機関に定期性預金を預けているが、人口減少により地公体の税収や国から配分される地方交付税が減っているためだ。

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