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銀行など、外債運用に新リスク浮上 仏国債格下げで含み損拡大か


銀行などの預金を取り扱う金融機関で、フランス国債が有価証券運用における新たなリスクとなりそうだ。5月末に大手格付け会社が仏国債の格付けを引き下げ、政治情勢の先行き不透明感から一段の格下げリスクが浮上しているため。財務省によると、3月末時点で日本の預金取扱金融機関が保有している仏国債など中長期債のエクスポージャーは約8兆8000億円。再び格下げとなれば評価損が膨らむ可能性がある。

財務省が7月8日に発表した「対外及び対内証券売買契約等の状況」によると、6月単月の預金取扱金融機関の中長期外債の売越額は約4兆3000億円。規模の大きさは、2017年4月(約5兆6000億円)以来の水準となった。

和キャピタルの村松一之取締役は、売越額が膨らんだ背景の一つとして「元々持っていた仏国債が売却されたのではないか」と分析。米国のS&Pグローバル・レーティングは5月末、財政赤字の削減が進まず債務残高が膨張するとの見方から、仏国債の格付けを「ダブルA」から「ダブルAマイナス」に引き下げた。

6月には、フランスの国民議会(下院)選挙の第1回投票で極右政党が躍進するとの見通しから、マーケットで再び格付けの引き下げリスクが浮上。仏国債10年物利回りの対ドイツスプレッドが拡大し、仏国債が大きく売られた経緯がある。

こうしたなか、仏国債を含む中長期債を9兆円近く保有する国内銀行などが売却に踏み切ったとの見方もある。前出の村松氏は「評価損が拡大する前に切るような動きがあったのではないか」と指摘する。

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