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マンガ「惡の華」を読みました

最近読んだ漫画の話をしようと思います。
自分は普段ほとんど漫画を読むことは無いのですが、過去に読んだ漫画の中で、藤子・F・不二雄の「SF短編集」と、きらたかしの「赤灯えれじい」の2作品だけは、中学時代に読んで雷に打たれるような衝撃を受け、まだ幼かった思春期の感性をひとつ上のレベルに底上げしてくれた作品でした。
そして最近読んだ押見修造の「惡の華」も、自分の人生にとって3作目になる、大きな衝撃を受けた作品となりました。

※ここからネタバレ有※

ヒロインの仲村佐和が発する「クソムシの海に沈めばいいと思う」「全部がくだらないものに思えてきた」という言葉の真意にある、世の中なんて茶番でクソどうでもいいものだという考え方は、仲村さんほど直接的にその想いをぶつけたことは無いものの、人生に大きな変化があった高校生の頃ぐらいからずっと自分の根底に渦巻いていたような気がします。このマンガはそういった自分のモヤモヤしていた心の扉を破壊して救出してくれたんだと思います。だからこそ仲村さんが春日くんの家の扉を破壊して連れ出したシーンは、中学生編の中では仲村さんが最もカッコよく見えた瞬間でした。

物語は結局、春日くんも仲村さんも佐伯さんも "クソムシの海の向こう側" には行けず、それぞれの道を歩み始める事で完結するのですが、この展開を読んで今この年齢でこの漫画に出会えて良かったな…という感想になりました。自分は思春期に様々なコンテンツに触れて心を動かされる経験が少なかったことがコンプレックスで、このマンガにももっと早くから出会っていたかったなと正直思っていたのですが、もし思春期に惡の華を読んでいたら、「なんでこの人たちは向こう側に行くのを諦めちゃったんだろう...?」という感想を抱いてモヤモヤしていたかもしれません。惡の道を進むのを諦め、クソムシの海を受け入れて生きるというのは、まさに「思春期から大人になる」事そのものなのかなと自分は思っています。今の自分が21歳という、まさにその過渡期の年齢であるからこそ、ここまで心を動かされ、自分の中でとても大事な作品になることが出来たような気がしています。

そして今日、押見修造大先生が現在連載している「血の轍」の単行本一巻の試し読みしたのですが、「惡の華」を上回るような、強烈に惹きつけられる展開で大変ドキドキしました。(悪の華も惹きつけられるマンガではあるのですが、1巻時点での感情の揺さぶられ度が別格です)
次の給料入ったら単行本買っちゃおうかな〜

現在進行系で自分の人生の価値観を破壊・再構築されているようなこのドキドキ感、自分の第二の青春が始まったようで本当に最高です。押見先生ありがとうございます!


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