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COVID-19 新型コロナウィルス関連

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#いま私にできること

エネルギー自立型建築からカーボンニュートラルへ

丹羽 英治 日建設計総合研究所 フェロー 2050年カーボンニュートラル社会実現に向けての取り組み 「エネルギー自立型建築」とZEB 日建設計総合研究所では、2013年10月に、NSRI選書の第1弾として、拙著『エネルギー自立型建築』(工作舎)を刊行しました。「エネルギー自立型建築」とは、徹底した省エネルギーと太陽光等の再生可能エネルギーの積極的な活用によって、建築物のエネルギー消費量をネットでゼロにするメソッドを体系化したものです。本書では、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギ

天気がいい日に行きたいオフィス

青柳 光、稲本 佳奈 日建設計 エンジニアリング部門 設備設計グループ はじめに ~ウィズコロナの一年間~ コロナウイルス感染拡大対策の一環としてリモートワークが定着し、働く場所を選べる環境がこの一年で整いました。アフターコロナの日常では、毎朝気軽にその日の働く場所を決める人も増えるのではないでしょうか。在宅勤務でも働くことができるという実感を手にした世の中で、オフィスに行く理由とは何でしょうか。 例えば、「今日は天気もいいし、いいアイデアが生まれそう!そうだ、オフィスに

Beyond COVID-19、nextコロナを見据えて ~医療福祉施設の設計技術を一般建築に~

國吉 敬司、片岡 えり 日建設計 エンジニアリング部門 設備設計グループ 新型コロナの第三波の中、この原稿を書いている現在、10都府県に緊急事態宣言の延長が発令されています。飲食店を中心とした営業時間制限や不要不急の外出自粛の要請、テレワークのさらなる実施など、生活スタイルに大きな影響を及ぼしています。 これまで事務所ビルなど一般建築において、地震・水害といった自然災害に対するBCP(事業継続計画)は認知されており、建築計画にもそれらを取り込んだ設計が求められていましたが、

ポストコロナにおける都市・地域の展望

都市・地域に求められる変革、これからの社会デザイン 〜両社ワーキングメンバーによる研究と提言〜2021年2月18日、日建設計とパシフィックコンサルタンツは共催イベント「ポストコロナにおける都市・地域の展望」を開催しました。 渋谷駅周辺など東京都心部の「駅まち一体開発(TOD)」で、都市が抱える課題解決に共に従事してきた2社が、「都市・地域に求められる変革、これからの社会デザイン」と題し、研究と提言を行いました。これは、両社の若手・中堅社員がポストコロナの都市像について昨年夏に

設計図通りに建築をつくるために・・・ ~ 現場段階での監理業務マップの活用 ~

川西 昭一郎  日建設計 エンジニアリング部門 監理グループ ダイレクター Construction Site(建設現場)の過去~現在 江戸時代、城や神社仏閣は、大工頭・大工棟梁が建築指図をもとに多数の職人を統轄し、400年後の現在も実存する建築物を造っていました。その手法は、建築指図に「起こし絵図」や「建地割図」(現代で言う施工図のようなもの)、1/10程度の模型なども使い、参画している人々のモノづくりの意志を統一していました。なかでも、幕府の京都大工頭であった中井大和守

自律走行ロボットによる室内環境モニタリング

山村 真司、鶴見 隆太 日建設計総合研究所  栄 千治 日建設計 設備設計グループ エネルギー・情報計画部 室内空気環境(IAQ)はワーカーの健康・パフォーマンスに影響 With COVID-19環境下において、いままで以上に室内の空気が人の健康に与える影響に関心が高まっています。テレビなどのメディアではスーパーコンピューター使った飛沫のCFDシミュレーションや、トレーサーガスを用いた換気の可視化実験の様子などが連日報道されています。 室内の空気の環境はIAQ(Indoo

つな木 Challenge1  ― 木×人+人×人。「つな木」のトランスフォーメーションが生む木育 ―

大和田 卓 日建設計 設計部門 Nikken Wood Lab プロジェクトデザイナー 徳島での つな木PJ 第二段! 多様なトランスフォームを可能とする つな木 の導入 私たちNikken Wood Lab(以下Lab)は、日建設計の木質・木造の開発研究を行うチームで、中大規模の木造プロジェクトを進める傍ら、極小木造の可能性を探る「つな木」の研究開発を進めています。これは木材利用促進を面的に広げると同時に、コロナ禍におけるライフスタイルの変化や医療現場への対応、またパブリ

京都駅ビル熱源改修 ~ASHRAE技術最優秀賞~

牛尾 智秋 日建設計 エンジニアリング部門 設備設計グループ アソシエイト 全世界のプロジェクトを対象に、毎年行われるアメリカの暖房冷凍空調学会ASHRAEの技術賞(TECHNOLOGY AWARD 2021)にて、京都駅ビルの熱源改修が、最優秀賞(FIRST PLACE)に選ばれました。ここでは、その内容を紹介します。 京都で最も二酸化炭素排出量の多いビルからの脱却 京都駅ビルは、COP3で京都議定書が結ばれた1997年に完成しました。完成当時から地球環境問題に関心をも

コロナ禍でも安心して業務ができるオフィスの例

藤井 拓郎 日建設計 エンジニアリング部門 設備設計グループ アソシエイト コロナが与えたオフィスへの影響 今、私は自宅でこの原稿を書いています。入社当初から在宅勤務の制度は会社にきっとあったと思います (正確には2014年4月からスタート) が、一度も利用したことはありませんでした。「家で仕事なんて・・・。打合せは大小必ず毎日しているのに、家に籠っても何もできないよ。調べるにも専門書は必須だし。コピー機、スキャナーも使いたいし。」なんて考えていました。今年になって、コロナ

STAY HOMEからSTAY OFFICEへ

平田 裕信 日建設計 設計技術センター セーフティエンジニア コロナ禍の今、大地震が来たらオフィスで仕事をしているあなたはどうしますか? これからは、感染症や地震などの災害が、複合的に発生することへの対応を考える必要があるのではないでしょうか。 そこで、私たちの安心・安全を守るひとつの考え方として「STAYできるOFFICE」を提案します。 BCPとLCPとは? まず、事業継続計画「BCP」(Business Continuity Plan)は、多発する自然災害に伴い、

withコロナ時代の光環境  ~自然を取り入れ、可変/パーソナルに呼応する照明とは?~

加藤元紀、谷口洋平 日建設計 エンジニアリング部門 設備設計グループ コロナ禍の状況で在宅勤務が常態化して久しいですが、自宅で過ごしていると窓から入る陽ざしで季節の移ろいをふと感じたり、日光の明るさに応じて照明の明るさを変えてみたり、オフィスにいるときよりも身の回りの環境を意識するようになった気がします。このように私たちの暮らす空間の光環境は、仕事の効率だけでなく、快適で豊かな生活に少なからず影響を及ぼしているといえます。 オフィスの光環境に着目すると感染症対策として有効

With / Afterコロナに適応する躯体蓄熱放射冷暖房+ One way換気のウェルネスオフィス

片岡 えり 日建ハウジングシステム 設計監理部 設備 新型コロナウイルスの流行が収まらない中、健康に意識が向いたニュースや商品などを見かけることが以前にもまして増えている気がします。全ての人の生活環境が大きく変わる中で、健康に過ごすことの大切さを一人一人が身にしみて感じているということだと思いますし、私もその一人です。 健康に過ごすということは、快適に過ごすことと密接に関係していると言えますが、快適な温熱環境と、新鮮な空気環境を実現する手法の一つとして躯体蓄熱放射冷暖房(

BIMを活用した設備設計の取り組み

本多 司、劉 建楠 日建設計 エンジニアリング部門 設備設計グループ Before COVID-19における建築設計においては、設計者(意匠、構造、電気、機械)、発注者、受注者、メーカーといった様々な立場の方々と対面で綿密なコミュニケーションを取ることでコンセンサスを得てきました。しかしながら、対面でのコミュニケーションが減少し、WEB会議が増えてきたWith/After COVID-19の状況下では、Building Information Modeling(BIM)を活

一般病棟が感染病棟に早変わり

宮坂 裕美子、伊藤 昭 日建設計 エンジニアリング部門 設備設計グループ  毎日ニュースで聞く、新型コロナウィルスの新規陽性者の数に、最近は驚かなくなっているのは私だけでしょうか。感染の拡大傾向が収束に向かっているとは思えない中、リアル飲み会で盛り上がれない自粛生活を送りながら、今後冬に向けて更なる感染拡大の懸念が喧伝され、安心が約束されない新常態に戸惑っている人は多いのではないでしょうか。 感染者の受け入れ状況 主に軽症患者用に、ホテルなどの宿泊施設を受け皿として自治体