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権利落ちについて注意喚起――影響は限定的、オンライン型総会の呼び水に?

東京証券取引所が3月24日(火)、「2020年3月期末の配当その他の権利落ちについて」というタイトルの注意喚起のリリースを出しています。一言でいえば相場への影響は極めて限定的と考えられますが、少々解説が必要と思いましたのでnoteします。

3月期末決算企業の場合、もともと3月27(金)が配当や株主優待などの権利付き売買最終日です。この日までに買っておかないと、権利が確保できません。30日(月)は配当落ち(配当見込み分だけ、株価が非連続に見える日)です。しかし、この投資家の権利を確定するのは、原則として事業年度末後、3カ月以内に定時株主総会を開くことが前提です。

一方、法務省からは新型コロナウイルスと株主総会に関連して次のような見解がすでに示されています。「定款で定めた時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合には、その状況が解消された後、合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りるものと考られます。なお、会社法は、株式会社の定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に召集しなければならないと規定していますが(会社法第296条第1項)、事業年度の終了後3カ月以内に定時株主総会を開催することを求めているわけではありません」。

この局面では「なお、」以下が特に大事です。通常であれば6月末までに株主総会が開かれます。株主の権利を行使できるのは年度末(例えば3月末)の基準日から3カ月以内と会社法で定められています。定時株主総会は事業年度が終了してから3カ月以内に開くのが慣習なので、3月期決算企業の株主総会は6月末に集中しているのですが、今回の法務省の見解は、「6月末にできなくても構いませんよ」と示しています。その場合、例えば株主の権利を確定する基準日が5月末となり、株主総会が8月末ということがあり得るわけです。

若干「ややこしいな」と思うのは、この3月末時点では株主の権利を確定したかどうか、投資家は確信できないということです。27日までの売買で権利を確保したと思っていたけれど、できていなかったということがあり得ます。市場関係者によると、2011年の3.11大震災の影響でそうした例があったとのことです。

さて、相場への影響。今週は機関投資家のパッシブ運用などの配当再投資の買いが7000億円から8000億円程度入ると言われています。配当落ちに伴うインデックス調整のために、実際におカネが入るのが通例ですが、ほぼ影響はないと思われます。また個人投資家を中心に配当取りや優待権利取りの買いがすでに入っていますが、今回の注意喚起の影響で配当取りの動きがなくなるとは考えにくいです。「逆に権利を取った後の売りが少し減る可能性がある」(大和証券のチーフテクニカルアナリスト、木野内栄治さん)との見方があります。権利が確保できているかどうか、確信が持てないからです。

それから、これを契機に株主総会についてもオンライン型の株主総会が広がる可能性はありそうですね。株主が総会の場所でリアルに参加するほかに、オンラインで参加することも許容するいわゆるハイブリッド型の株主総会については、経済産業省が「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」とするガイドラインを公表しています。コロナ危機の“前”と“後”ではいろいろな変化があるなと感じるのですが、このようにして株主総会がより多くの人に参加しやすくなり、活性化するのであればそれは歓迎です。

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日本経済新聞社に入社。証券部、日経マネーなどを経て、今はマーケット・経済専門チャンネル、日経CNBCで主に「朝エクスプレス」という番組を担当しています。幅広ーいことが経済やマーケットとつながっているため、どうしてもいろいろなところを「見て」「歩いて」「感じる」――日々です。
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