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“2階建てNISA”使いますか?――2020年度税制改正大綱の点検

自民、公明両党が12日に、2020年度の税制改正大綱を決めました。政府はこの大綱をもとに税制改正法案をつくり、来年1月召集国会の通常国会に提出するのが例年の流れです。13日付日本経済新聞朝刊に踊った見出しは「新産業育成へ投資減税 ベンチャー5G支援」というもの。大企業による異業種ベンチャーへのM&Aや5G通信網整備を促すなど、成長支援型の側面が見えます。

12月13日(金)朝エクスプレス「マーケットレーダー」には、大和総研の是枝俊吾さんにご出演いただきました。是枝さんは全体観として2020年度の税制改正大綱について「アベノミクス初期のころに比べると“小粒”な感が否めない」といいます。法人税率引き下げとか賃上げ税制みたいな“大玉”がないということですね。そういえばこうした税制上の措置はアベノミクスの象徴的な意味合いを持っていたように思いますが、「租税特別措置法の見直しとか外形標準課税の強化など、これはこれで企業に厳しい税制とのセットで進めるために、企業側から法人減税を強く求めなくなっている面があるのではないか」(是枝さん)といいます。

さて、個人投資家に関心が高いところではNISA(少額投資優遇制度)の改正。一般NISAについては2024年に2階建ての新しい制度へ移行し、つみたてNISAは期間を延長することになりました。恒久化とまではいきませんでしたが、資産形成を後押しする税制が少なくても続くとみられること自体はまあ、歓迎といってよいのではないでしょうか?下手したら、2023年からは一般NISAがなくなってつみたてNISAだけになる可能性もあったわけですから。。。

その2階建て。ざっくり言うと、1階部分(=安定投資)で現在のつみたてNISAのような投資をしている場合に限り、2階部分(=今のNISAとほぼ同じ模様)を認めるというものです。一般NISAが必ずしも長期・分散・積立とはなっていないことに対する反省のようにも見えます。ちなみに投資経験者は1階建て部分はパスすることができるということですので、恐らく現在NISAを使っている投資家ならば、2階建てのみ使うこともできる見通しです。ただ、限度枠がちょっと小さくなります。

現在つみたてNISAを使っている投資家ならば、そのまま継続するか、あるいは2階建てにするかその時点で選べばよいでしょう。

19.12 つみたてNISAイメージ

その他、年金の分野でも、確定拠出年金の見直しとかあるいは在職老齢年金の見直しが進んでいます。細かいことは抜きにすれば、「なるべく長く働いて!」という方向の税制・制度の見直しが着実に進んでいます。僕自身は、自分が働きたくて働くのは一向に構わないのですが、ひとに言われると何だか「余計なお世話だよ」と混ぜ返したくなるのはちょっとひねくれものなんでしょうか……。

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