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日経電子版おすすめコラム

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2020年1月の記事一覧

まずは「規格外」マインド ぶっ壊せ

先日、大根の価格が下落しているというニュースをみました。理由は、暖冬で大根が育ちすぎて「規格外」になったことが原因です。大きくなりすぎたり、形が悪かったりして「規格外」になると、お店で売れないと農家が嘆いていました。冬になり大根の煮浸しやおでんがおいしい季節なのに「なんてもったいない」と思ってしまった視聴者は私だけではないと思います。 消費者と生産者をつなぐ橋渡し役の不在が原因で起きてしまう、もったいない廃棄処分。「規格外でもいいので売ってください」。この気持ちをどうにかし

未来の食、支えるのは「ハエ」と「藻」?

正月太りを解消するべくダイエットを再開しようかと思っているきょうこのごろ。引き締まった体を目指すにはよく、タンパク質を意識した食事をとると良いといわれますよね。筋肉や皮膚の原料となるタンパク質は人間の生命活動を維持する上で欠かせない栄養素です。 そのタンパク質が近い将来、不足するかもしれません。タンパク質の主な摂取源は肉類などですが、世界の人口増や食文化の変化に伴い肉の需要が増え、食肉や家畜を育てるための飼料の供給が追いつかなくなる可能性があります。人類にとっても、無類の肉

それでも資本主義は続く

日経電子版の大型連載「逆境の資本主義」。 一区切りとなる第9回のキーワードは「民主主義」です。 「資本主義の逆境の根底を探ると、民主主義のありように行き着く」という問題意識です。いち早く資本主義を開花させたイギリスで18世紀に起こった産業革命の歴史的な経緯からも、自由や多様性といった民主主義の価値観が資本主義を育んできたといえるからです。 香港とアメリカの異変資本主義と民主主義。上手に二人三脚をしていれば問題ないのですが、呼吸が乱れるとギクシャクします。 資本主義が行き

モノを持つというリスク

モノを持たない人が増えています。「ミニマリスト」、「断捨離」…。使いたいときにいつでも借りることができるシェアエコノミーや、「メルカリ」などのフリマアプリの普及で、モノを持たないことの不便さが薄れてきているからです。 2020年1月1日から日経電子版で連載が始まった「逆境の資本主義」。第8回はモノを持たずにシンプルな生活を目指す「ミニマリスト」の断面を切り取っています。 自分の生活を振り返ってみても、「ミニマリスト」というほど徹底はしていませんが、手放してしまったものがい

2020年と第2次世界大戦の直前には、共通項がある

アメリカ・イランの対立で世界が緊張しています。タイトルの「戦争」という言葉に背筋が寒くなりますが、特にアメリカに目を向けると否定できないのも事実。その共通項とは、関税の引き上げです。武力衝突ではありません。 当然、武力に訴えることは深刻な問題です。戦禍につながることはなんとしても歯止めをかけなければいけません。一方で、今回のように直接的な衝突が起こるずっと前から、関税の引き上げ=保護主義 という火種はくすぶっていました。 2020年1月1日から日経電子版で連載が始まった「

大気の汚染物質が宝石に!?

「錬金術」というと、ありふれた物質を金に変えようとした昔の怪しげな秘術をイメージされるかもしれません。現代でも、あまりまっとうではない方法で大きなお金を生み出す利殖などを指す慣用表現として使われ、よい印象はないかもしれません。 今回は、大気中の汚染物質を宝石に変える、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を化学品や燃料に変える、そんな人類や地球の問題解決になる「よい錬金術」の話題です。 冒頭紹介しているのは、大気を汚染する空気中の微粒子を巨大な空気清浄機で集め、真っ黒

利益だけ追求と社会的責任

日経電子版で1月1日にスタートした新連載「逆境の資本主義」。第6回のテーマは「利益追求」です。多くの企業が信じてきた「ROE(株主資本利益率)神話」が揺らぎ、それだけでは経営が立ちゆかなくなっているという話です。何が起きているのでしょうか。 ROEとは   「Return On Equity」の略語で、企業が株主から預かった資本をどのくらい効率的に使って稼いでいるかを示す。より少ない資本で多くの利益を稼けば稼ぐほどROEは高まる。株式投資家が重視する指標のひとつで、ROEが

「競争」と「独占」 古くて新しい問題

日経電子版で1月1日にスタートした大型連載「逆境の資本主義」。 第5回のテーマは「独占」です。 <読みどころは?>資本主義の循環の起点となる「競争」を促す資本主義の仕組みが、デジタル化で生じた「独占」により揺らいでいるのではないか――という問題提起です。近年台頭が著しい、GAFA(ガーファ)とよばれる巨大IT企業4社にどう向き合うべきかが大きな焦点の一つとなっています。 自由競争の勝者が富を生み、それが社会全体に広がる――経済成長の起点となる競争を促すためのルールが、「消

経済発展に「個人の自由」はいらない?

日経電子版で1月1日から連載している「逆境の資本主義」。格差拡大や環境破壊など資本主義のゆがみが世界で表面化する中、資本主義の歴史を振り返りつつ、いま世界で起きている問題と、その処方箋を考える企画です。 4回目に取り上げたのは、国家主導で産業競争力強化へひた走る異形の資本主義国家・中国です。「個人の自由が不可欠」と言われてきた経済発展の定石を覆す中国式のやり方に、民主主義はどう相対すべきかを考えています。 記事を読んで、私は学生時代に友人の中国人留学生が語った言葉を思い出

『株式会社』はなぜ生まれた?

2020年1月1日から日経電子版で連載している「逆境の資本主義」。 第3回目は、資本主義の根幹を担う「株式市場の変質」です。 会社名の前後によく「株式会社」という言葉が入っています。これは「株式」を発行して投資家(株主)からお金をもらい、事業を行っている組織のことです。株式市場を通じて、多くの投資家がこれから成長しそうな企業の株式を購入したり、逆に売って換金もできます。企業が集めたお金を駆使して成長し、得た利益を労働者や投資家に還していくことで、広く富が配分されていく――

2030年、1日3時間働けば社会は回るはずだった。

2020年1月1日から日経電子版で連載している「逆境の資本主義」。 資本を集め、人を雇い、経済が拡大すれば社会全体が豊かになる――。 こうした資本主義の常識は、いまや昔。「逆境の資本主義」は、ほころびが目立つ社会の現状を伝える連載です。第2回のきょうは、記事「働き方縛るモノ作りの残像」をご紹介します。 2030年、最大8億人の仕事がなくなる「100年後には1日に3時間も働けば生活に必要なものは得ることができるようになるだろう」 今から100年後の話ではありません。19

ツンデレが争いから世界を救う

あけましておめでとうございます。お正月のツイッターでは #第3次世界大戦 #WW3 がトレンドワードになっていました。アメリカがイラン司令官を殺害したニュースに驚いた方も多いのではないでしょうか。 中東情勢に不穏な空気が漂うなか、争いを未然に回避する方法に注目が集まっています。解を探すのは人ではなく、人が構築したプログラミングです。 囚人のジレンマという有名なゲーム理論があります。 罪に問われた2人が「自白」か「黙秘」かで刑の重さが変わる。 (1)2人とも黙秘 ==>

繰り返す危機

日本経済新聞や日経電子版で新連載「逆境の資本主義」が始まりました。格差拡大や環境破壊など資本主義のゆがみが世界で表面化しています。これまでの雇用の枠組みを越えた働き方で、新しい競争も始まっています。新連載では、資本主義の歴史を振り返りつつ、いま起きている課題、それらにどのように対処すべきか、その未来を考えます。連載記事に加え、グリーンスパンFRB元議長ら識者へのインタビューのほか、アニメーションを使った解説動画などもご覧になれます。今週からデジタル部門の編集者が新連載記事を紹