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佐藤勝利という人間

姉から、あなたは勝利くんに似てると言われた。
その時は、妹溺愛の姉の戯言だと思った。

私は全てにおいて何かに勝った経験がない。
名前負けせず存在が勝利している勝利さんに似ているわけがなかった。

顔が似ているというわけでももちろんない。自分を特段ブスだとも思っていないが、あんな国宝級な整い方ももちろんしていないわけだ。

なので、大した気にもせず生活していたが、最近になって、たしかにわたしに似ているとおこがましくも思ってしまった。

それは何気なく読んだ雑誌。

風磨くんは、SexyZoneがまだ何も目標を成し遂げられていないことを焦っているような文面だった。

10周年。

私も社会人10年。私も10年前とは別人だ。
右も左も分からなかった人間が1人の大人になるには十分な時間だった。

周りもみんな家庭を持ったり親になったり、周りと比べだすと焦る。

風磨くんの焦りは、きっとそれに似ていた。

俺たちはスターになるんだ。
そう思ったであろう華々しいデビュー。

「君たちは枯れない薔薇」

そう言われた5人。

でも現実はそうではなかった。

3人になって、4人になって、やっと5人になったらまた4人になって。

ファンからすると息をしていてくれるだけでありがたいのだが、本人たちからすれば、勢いのある後輩がどんどん出てきて追い抜かされているような気持ちなのだろう。

すごろくで言えば3回休みを食らって、やっとサイコロを振ったと思えば1。
1すすむと、3マス戻ると書いている。そんな感じ。

息をしているだけでいいのに。

そう思いながら次のページが勝利さん。

まぁ、打って変わって。
SexyZoneらしい、フレッシュな10周年と。
前向きな文面。

「こんなにフレッシュな10周年てなかなかないよ」と言われたのを、普通と違うのかなぁと悩むのではなく自分たちは特別なんだと解釈する。

いや、そう考えようと努力していたのかもしれない。

どちらにせよ、勝利さんの言葉が正解だった。

歳上2人は頼りになる。負けず嫌いで男らしい。

だからここで「別に一番じゃなくてもいいんじゃない?今じゃなくてもいいんじゃない?」と提案できるのは勝利さんの役目なんだろうなと思った。

「僕たち特別なんだよ」
「いいじゃん、それってすごいことだよ」
「すごいパフォーマンスをするんじゃなくて、僕たちだからできることをしようよ」

そんな風に話す勝利さんを妄想した。

その時、あー、私に似てるってこういうことかと。

多分勝利さんが一番負けずぎらいだ。
勝手なわたしの妄想だけど。

言葉がポンポン出てくるタイプではない。だからきっと気持ちは少なからず溜め込むだろう。

多分1番繊細で、相手の気持ちを考えすぎて自分を責めて、また言葉を飲み込む。

多分1番プライドが高くてストイックでこだわりが強い

決して強くはないはずなのに、1番プレッシャーを感じているのは彼なのに

彼はほんの少しだけ器用で
そして頑固だ。

思考回路を柔軟にカチッと切り替えることができる。

ストイックで自分はどれだけ辛いことがあっても意地を張るだろう。

でも、他人にはそれを求めない。

器用な頑固は強い。

それが私と似ていると思った。

社会人一年目。色々と「もっとこうして」と先輩から指摘されると、育ててもらっていると嬉しくなった。
育てる価値のある人間だと思われていると考えたからだ。

繊細だからこそ、本当に育てようとしてくれてる人か、ただ、いじめたいだけの人かが分かった。

「あなたはゆっくりだけど、正確な仕事をしてくれるわ」と評価をされた。

私は、ゆっくりだということを理解してもらった上で受け入れられていると安心した。

友達はそれを聞いて、「私ならそんなこと言われたら、遅いって言われてるのかなって病む。」と言った。

友人達がどんどん潰れて行き、私だけが立っていた。

たぶん、健人くんと風磨くんは強い。
普通に強い。

私と勝利さんの共通点は
繊細で弱いからこそ、前向きに、テクニックで強く生きるところ。

本当は誰よりも折れそうなのに
しなやかに耐え切る。


2021年のコンサートでなんとなくそう思っていたのが確信に変わりつつある。

2019年のコンサートは松島聡くんのいないコンサートだった。

札幌公演では、来年のことを口走って、沈黙した。

たぶん、「次は5人で」という言葉を飲み込んだに違いないと思った。でもその言葉は聡ちゃんにとってはプレッシャーをかける言葉だ。

だから彼はその刃が聡くんに向かわないように自分で飲み込んだ。

今年は「5人でやりたい気持ちが強すぎて誰かのプレッシャーになってないかな」と言葉にした。

あの時飲み込んだ言葉の正体を確認できた気がした。


自分も今すぐにでも折れそうなんだけど、周りが先に折れられるとなかなか折れるわけにはいかなくなる。

私も昔からそうだった。

本当は体がちぎれそうなくらい心細かった。

でも人って、先に泣かれると、
なんだか泣けなくなる。

なんだ、そんなことか。と周り不幸話を聞いて思う自分の醜さにまた傷つく。

強くはないんだけど、強くいなきゃいけなかった。

私はね、勝利さんにありのままで生きて欲しい。
いっぱいわがまま言って、これ以上自分で処理しようとしないで、人を傷つけることを怖がらないで、他人と同じように自分にも優しくして。

どんなあなたでもみんな愛しているから。


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