#猛獣ども2
帯に書かれた
「姦通」していた男女が熊に殺されたーー―。
なんとセンセーショナルな!
しかしこの事件は書き出しではあっても物語の始まりでも終わりでもない
夏だけの来荘でなく、別荘地に定住している人は少ない 子どもが独立したあとの高齢者や自由業の人が多い
「神様にえこひいきされてるとしか思えないくらい幸せな」扇田夫妻は若くて妊娠が分かって喜び合っている
仲睦まじさを自他ともに認める夫婦もいるがそれを装っているだけの夫婦もある
そして例外なくみんな、自分だけのイライラを持て余している
それを狂言回しせざるを得ないのが、失恋の痛手を振り払い別荘管理人を志願した小松原慎一と、東京本社から山の中に飛ばされてきた小林七帆の二人だ
山の中の小さな別荘地でも時間は流れる
みんな時折は事件のことを思い出しつつ、心の中の猛獣を飼いならして自分の生活を作っていく
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