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依存症対策をIR推進の道具、 言い訳に利用する行政の姿勢が丸見え…

中村法道長崎県知事へ

長崎県の「依存症治療拠点機関」についての懸念事項です。長崎新聞(2020年2月29日付)には大きく『長崎大病院など…』と長崎大学病院を選定したと報じております。
「依存症対策全国拠点機関設置運営事業」における選定要件をご存知ですか?
【依存症専門医療機関は、①資格を有した精神科医、②依存症専門プログラム、③依存症研修を受けたスタッフ、④診療実績、⑤地域や自助グループとの連携、の5条件を満たす医療機関の中から、都道府県が依存症ごとに選定し、更にその中から、専門医療機関のとりまとめ、情報発信、研修などを担う医療機関を治療拠点機関として選定している】と。
県当局が選定している長崎大学病院は、アルコールはおろか、ギャンブル、薬物、何れの依存症専門医療機関に要する①~⑤の全ての条件を有しておりません。長崎大学病院精神科教室医局員全員が教科書的知識のみ。よって、県からの要請を受けるにあたって担当教授は、相当困っておられました。

*補足:私も大学病院精神科より顧問にとの依頼の電話をいただいたが、20年以上、長崎大学病院精神科より医師の派遣もなく、臨床活動を一緒に行っておらず、加えて、今年度から研修医の作成レポートに「依存症」が加えられた。私としては精神科のみでなく、医療全般の質の向上を願えば、軽々に顧問を引き受けるわけにはいかない。ただ、数年前に県の担当者から相談を受けたおり、まず事業計画を白紙にすること(その時点で県当局はほぼ白紙状態だったが~~一部地域保健所で自助グループのサポートを行っていた程度…それは維持)と、私が手引書らしきものを作ることを約束したはずだが~~、その後、梨の礫。書き上げた小著「依存するということ」ももちろん手引書として採用されることもなかった。

この件、メディア関係者に話したところ取材を行ってくれた。

回答は以下。
県障害福祉課に取材をしてきました。「長崎大学病院はギャンブル依存症の専門医療機関に選定されているのですが、選定基準のうち「専門プログラム」を有する外来診療について、現時点で保険診療の対象となるギャンブル依存症の専門プログラムはないため、認知行動療法に基づいた診療をしているため、該当するとの判断をしたということです。今後、保険診療の対象になれば、それに沿ったプログラムを実施する必要があるということでした。それ以外の基準についてはいずれも満たしているとのことでした」と。これでは記事にならない。
いずれも満たしていないのは自明のことだが…。さらに、依存症者に「認知行動療法」を行える精神医療従事者は、長崎県では皆無である。全国でみてもどれだけいるだろうか? もちろん難しい。私なんか「否認」の問題を抱える依存者への個々の「認知行動療法」など御免被りたい。現状では回復途上の当事者を交えた集団療法がやはり一番かな。私の知人が言った通り「依存症対策をIR推進の道具、言い訳に利用する行政の姿勢が丸見えで、このままでは依存対策について誤ったイメージが広まるのではないかと、素人の私でも危惧します」だね。

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