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ケアラー支援条例と子どもたちの「マスク着用」、「黙食」等々

★100年前流行したスペイン風邪の死者は世界で約1億人だったそうである。当時の世界人口は約20億人だから、全人口の5%が亡くなっている。
今回のCOVID19(新型コロナウイルス)の死者はWHO発表で1500万人と発表されている(現在、世界人口80憶人)。だが、社会・経済活動に及ぼした影響は桁違いに大きいとされている。この流行の広がりと収束、そして社会、経済活動への影響についてはこの先、もっと明らかになるだろうだろうが、良くも悪くもグローバリゼーションの一語に尽きる。そして、そんな中で、各国は得た情報をその時々の経過の中で、しっかり分析した上、正確に国民に伝えることが求められた。日本の場合、当初は正体不明のウイルスへの対応に苦慮しながらも、様々な感染予防策を講じた。それは行動、集会の自由の制限等々といった国民の主権に係るものであった。日本国民はそれを自粛、お願いベースで良く守ってきた。「強制ではありません、『任意』です」、と。ただ、以前のブログで述べたが、我々日本人はこの「任意」といった言葉にはなじみがないことが、今回の騒動で良くわかった。とくに2022年になってから、感染力は強いが、重症化、致死率の低下に至ったことを専門家、政府が正確な情報として国民に伝えず、国民も「任意」の意味を理解しないまま、「任意」とほぼ同じ意味の「個人の判断」にすり替えられて時間が経過し、国民は恐る恐る元の生活に戻ろうとしている。

★そんな中、令和4(2022)年10月14日、長崎県ケアラー支援条例が公布されている。それは、九州ではこの条例公布は初めてらしい。
冒頭、「・・・・・・ここに、私たちは、ケアラーに対する理解を深めるとともに、社会全体で支えていく仕組みを構築し、だれ一人取り残さないことを決意し、この条例を制定する。」と述べている。
そして(定義)としては「(1)ケアラー 高齢、障害又は疾病により援助を必要とする親族、友人その他の身近な人に対して、無償で介護、看護、日常生活上の世話その他の援助(以下「介護等」という。)を提供する者をいう。(2)ヤングケアラー ケアラーのうち、18歳未満の者をいう。」等が記されている。
次に(基本理念)でヤングケアラーについて次のように述べている。「(3)ヤングケアラーに対する支援は、ヤングケアラーとしての時期が特に社会において自立的に生きる基礎を培い、人間としての基本的な資質を養う重要な時期であることに鑑み、適切な教育の機会を確保し、かつ、心身や健やかな成長及び発達並びにその自立が図られるように行われなければならない。」としている。

★なるほど、少し考えていただきたい。
 この3年あまりのコロナ騒動下、子どもの「マスク着用」、「黙食」、そして諸々の活動が縮小、中止を余儀なくされてきた。それは、ご承知のようにCOVID19の感染予防ではない。子どもの重症化、死亡リスクは極めて低いことは早い段階で判明していた。子どもは繰り返し感染することで、免疫を確保するとの指摘もなされている。だから子どもたちの「マスク着用」、「黙食」等々の目的は、「おじいちゃん、おばあちゃんを守りましょう」と、新型コロナ感染症をうつさないため(伝染予防)だ、と言っていい。子どもとはいえ選択の権利を有するはずなんだが、となると「マスク着用」等とは、子どもたちの他者への無償の支援、奉仕ではないか。それも、大人の厳格な指導、指示の下で実践させられてきた。「健気」だね。

★日本医師会は「健康プラザ No. 566」で「子どものメンタルヘルス」について、次のように伝えている。〈子ども時代は多様な時期〉・〈コロナ禍から見えてきた子どものストレス〉・〈子どものメンタルヘルスを維持するために〉と。(日医ホームページ・健康プラザにて検索:2023年5月20日)

★少し考えた結果
コロナ騒動で諸々の制限を強いられた子どもたちは、「高齢、障害又は疾病により援助を必要とする親族、友人その他の身近な人に対して、無償で・・・援助を提供する者」の対象にならないか?つまりヤングケアラーだと・・・。
そして基本理念、ヤングケアラーに関して「基本的な資質を養う重要な時期であることに鑑み、適切な教育の機会を確保し、かつ、心身や健やかな成長及び発達並びにその自立が図られるように行われなければならない。」となっている。よって、本県は「長崎県ケアラー支援条例」に基づいて、県下の子どもたちが今後、伸び伸びと健やかに自立を図れるような策を講じるべきだと思う。

★追記:厚生労働省のホームページには「ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこどものこと」とある。そして、「例えばこんなこどもたちです」と、10項目が状況説明の絵付きで列記されている。その一つに「アルコール・薬物・ギャンブル問題を抱える家族に対応している」とある。
長年、依存症治療に携わってきた中で、私は依存症者の家族を通して、ヤングケアラーとは「機能不全家庭、あるいはそのような社会環境にある若者」との認識をもってきた。そうやって残りの9項目を眺めてみると、何らかの機能不全状態を垣間見ることができるのである。

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