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再び、IR推進のためのギャンブル依存症対策は要らない

IR官民準備会議が2020年11月11日、長崎県内で行われた。そこで、「依存症は相談から支援、回復まで相当な時間がかかる。」と発言が・・・と(西日本新聞)。その通りだ。ただ、その対策に全く取り組んでないのが長崎県当局である。IR推進のためだけのギャンブル依存症対策は要らないのである。

このIR官民準備会議で講演をした県精神医療センター大塚俊弘院長は今年春、数年東京で研究職後に院長に着任している。そういったことで、長崎県内の依存症対策の現状を私に何度か尋ねてきた。手持ちの資料も送ったし、メールでは最近の実態とはとても「ない実態」を伝えたところ、彼から「やってます!詐欺ですか」と・・・。県当局の「ない実態」のことであろう。「詐欺」ならば犯罪だ。それに近いものではあるが、「詐欺」だとは返信できず、その後は黙殺した。では、長崎県の依存症対策についてだが、私の私見より、まず以前も紹介した東京で依存症の回復支援に長年かかわる識者の意見を再度引用することにする。信田さよ子原宿カウンセリングセンター所長が最近の対談で次のように語っている。

『・・・私が危惧しているのは、治療や支援がことごとくパッケージ化していることです。CRAFTやスマープもそうですよね。アメリカから輸入されたこのようなプログラムは、ツールとして有用でも、支援がそればかりになっていくと、人の生き死にの物語が伝わってこない。アディクションの特殊性がなくなって平板化していくような気がします。力量に自信のない人たちが、とりあえず「専門家」であると思えるメリットもありますが。』

確かに近年、全国的に「専門家」が増え、行政も依存症についてよく理解しないまま相談業務を立ち上げている。長崎県も同様だ。それ以上でも、それ以下でもない。それ以下となると「何もしていないこと」になる。つまり県当局、恰好だけはつけたいようだ。
確かに、長崎県はそこそこ予算をかけた広報活動を活発に行っている。だが、それはCRAFTやスマープといった中身のないパッケージ化した技法を陳列、「やってます」を伝えているだけ・・・。因みに、先の「依存症は相談から支援、回復まで相当な時間がかかる。」は県の担当者が取材記者に語っている。しかし、既に国は「依存症対策は(手間暇かけた)切れ目のない継続的な支援が必要」と位置づけている。だからまず、各自治体がこれまでの経緯と今後の具体策を示すべきだ。だが、長崎県は「依存症は相談から支援、回復まで相当な時間がかかる。」と語るも、これまではパケージ化した技法をとりあえずの「専門家」が「やってます」をただただ繰り返すのみ~。それでは「何もしてない」どころか、「何もわかりません」と言ってるのと同じである。実際、その通りだが・・・。となるとIR官民準備会議におけるギャンブル依存症対策はただの「帳面消し」。それなら一層のこと冒頭で述べた如く、IR推進のためのギャンブル依存症対策は要らないのではないか? では、何故要らないのか!その詳細は次回ブログで解説したい。また、次回ブログの全文は、「財界九州」12月号(11月20日発売)で“Opinion 私の意見”として掲載されたものである。

引用図書)松本俊彦×信田さと子「掘下げ対談 アデクションアプローチとハームリダクション」.
『Be! 137』. ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)、
Dec. 2019

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